暑い、暑いと言っても冷茶ばかり飲んでいてはお腹に良くない。
夏バテを防ぐためにも暖をとらなくては。
こんな時はグラスでいただく熱いお茶が身体にしみわたる。
平田さんにいただいた新茶セット、緑茶はもうだいぶ消費していたけれど、まだ一回分ずつくらい残っていた。
なかでもお気に入りの二種類をいただく。
雲南紫芽(写真左)と雲南早春茶(写真右)。
紫芽は出来立てのプーアル青茶の香りと似た感じで、他の中国緑茶とはずい分個性が違う。
以前、サロンでいただいた普洱緑茶(野生大葉)も美味しかったが、これもいい感じ。
下関のプーアル沱茶も似た香りがするんだなあ。
早春茶はゆずのような柑橘系の香りがする、とても飲みやすいお茶。
お菓子と合わせたくなる美味しさだ。
雲南省の緑茶がこんなに美味しかったなんて嬉しい発見。
プーアルもいいけれど、緑茶にも注目だ。
雲南省と言えば、18年前に昆明に一度行ったことを思い出す。
一人で予約も入れずに行った気ままな旅。
昆明での目的は二つ。
石林を見に行くことと、昆成鉄道に乗ることだった。
石林には、駅から出ている一般向けの観光バスに乗ってスムーズに行くことができた。
昆成鉄道の切符は国際旅行社に頼めば一等寝台が取れるのはわかっていたが、手間とお金がかかりそうだし、
敢えて二日前の発売日に駅に並んで普通指定席を取った。
窓口の服務員は成都まで一枚、と言う私に向かって
「有没有回郷証?」とぶっきらぼうに聞いた。
一瞬何のことかわからなかった私は「はぁ?」という顔をした。
「ちっ!」と舌打ちした服務員は切符を投げて寄越した。
それはガイドブックに載っていた料金よりも遥かに安かった。
よく見ると、華僑料金となっている。
服務員は私に、華僑証明書を出せ、と言っていたのだった。
当時はそんな風にして買う外国人はいなかったのだろう。
ちょっと得した気分で翌々日昆明から列車に乗り込んだ。
ハッピーになったのもつかの間、私はとんでもない座席を取ったことに気付いた。
確かに並んで指定席を取ったのは正解だったが、そこは二等客席。
出発する頃になると、箱は200%くらいの乗車率となった。
これで一泊二日の旅をするのだ。
私が座った席の下を見ると、床に寝ている人の足が何本も見える。
朝、顔を洗おうと洗面所に行くと、洗面台で寝ている人がいる。
トイレもお願いして出てもらわないと使えない。
そんなとんでもない列車の旅ではあったが、山岳地帯を走る風景は素晴らしかった。
山から山へループしながら進んでいくこの鉄道は敷設するのに多くの死者が出たほど大変だったらしい。
ボックス席の他の乗客のおじさんたちがそう教えてくれた。
一夜明けて朝食の時間となり、私はおじさんたちから駅弁をご馳走してもらった。
それは昆明では決して見ることのなかった、真っ赤に辛い味付けをした焼肉弁当だった。
四川省に入ったことを実感した。
そういうわけで、私にとって、雲南省は強烈でいろいろあったけれどいい思い出の地だ。
雲南省にはまた是非行ってみたい。
次に行くときにはプーアルのふるさとに足を運びたい。
そのときには、美味しい雲南緑茶のチェックも忘れないようにしなくては・・・。