麗香茶課を加藤さんと立ち上げた時には
まさか自分が前に立ってセミナーをやることになるとは思わなかった。
事の発端は私の中国茶の師である
工藤佳治先生にセミナー講師を頼みに行った去年の10月。
以前、先生はもうセミナーの講師は引き受けないとおっしゃっていたけれど、
是非とも茶課のために壇上に立っていただきたいと粘っていたら、
「君がやりなさい、僕は助手ならいいよ」と。
先生を引っ張り出すには自分も立つしかないか、と
コラボで茶会でもやるつもりで話を進めていたところ、
蓋を開けてみればあくまでも講座は私が担当し、先生は水屋でお茶を入れるだけという。
私は中国茶のインストラクターであって、
茶会でお茶いれをしたり、初級中級の方に中国茶のレクチャーをすることはあっても
茶課の会員の方々のような中国茶のプロや上級者にお話しすることなんて何があるというのだろう?
自問自答の日々。
先生とのメールでのたくさんのやり取り。
背水の陣を敷いて先生のサロンにお伺いにあがった今年の4月。
やっとセミナーのテーマと内容が決まる。
<富田直美の中国茶語りwith工藤佳治>
「私の出会った人とお茶」 ~思い出のお茶と共に~
何とも照れくさいタイトルだけれど、
私が中国との長い付き合いの中で経験したこと・感じたこと、
中国茶・台湾茶との出会い、そしてお茶を通して出会った人たちのことをベースにお話し、
私にとって思い出深い三種のお茶を工藤先生が淹れてくださることになった。
そして当日。7月25日。
この三種を工藤先生が見事に再現してくださった。
一種目。
30年前、当時全盛期だった凍頂烏龍茶を飲んだ時の感動を
焙煎の効いた甘く爽やかな現在の凍頂烏龍茶で表現。
二種目。
15年前、初めて大陸のお茶が美味しいと言うことを実感したお茶、鳳凰単そう。
渋みを押え、フルーティな香り立ちを感じられるよう、丸く清らかに。
最後の三種目は私のお茶に対する考え方を変えた、木柵の名茶師、故張約旦老師のお茶。
先生が所蔵する2002年冬の張老師の木柵鉄観音が登場(トップ写真)。
一煎目は老茶らしく少し酸味を感じる。
二煎目からは柔らかく、甘く、鉄観音本来の香りが際立つ。
本当に素晴らしいお茶で、会場は感動に包まれた。
お菓子は白茶果工作室のヒロエさんに協力していただいて選んだ一幸庵のくずまんじゅう。
凍頂烏龍茶の三煎目でお出しした。
私の個人的な体験話が、皆さんにどう響いたかは人それぞれ受け止め方が違うのでわからない。
ただ、先生が淹れてくださったお茶のお陰で最終的にはセミナーの形にまとまったという気がする。
やはりお茶の力はすごかった。
猛暑の折、ご参加くださった麗香茶課会員27名の皆さま、ありがとうございました。
水屋を担当してくださったカトリーヌさん、ヒロエさん、
設営と受付を手伝ってくださったHさん、Sさん、
受付を担当してくださった敬子先生に
この場をお借りして、感謝申し上げます。
そして、最後に我が師工藤佳治先生に心から御礼申し上げます。