ずっと行きたいと思っていた
今古茶籍さんにお邪魔する機会を得た。
駒場東大の裏手、山手通りに面してこじんまりとある、お店。
でも、お店に一歩入ると、そこはまるでおもちゃ箱をひっくり返したような世界。
まあ、お茶好きにとってはおもちゃ=中国茶ってことなんですけどね。
今回の訪問をセッティングしてくれた友人が名付けたテーマは
「今古茶籍さんの倉庫に眠るお茶をいただく会」。
オーナー、簡さんにお願いしてあらかじめ倉庫からお茶を出してきていただき、
新茶と飲み比べてみる、というもの。
白葉単欉2(2002年と2007年)、黄山毛峰(2005年と2007年)、
梅家塢龍井~老茶樹(2003年と2007年)、岩茶水仙(2004年と2007年)。
さすがに緑茶はやはり新茶のほうが美味しいと感じたが、
経年したものも単体として飲めば十分美味しい。
特に黄山毛峰の2005年は青味が抜けて、茶の本来の旨味が感じられて良かった。
青茶になると事情はちょっと違ってくる。
好みもあると思うが、今回お邪魔した5名、全員が
経年したものの味のほうが飲みやすくて気に入ったと発言。
白葉単欉の2007年のものはフルーティな香りが立ち、
華やかさがあってもちろん美味しいのだが、
2002年のほうもまだまだ生き生きとして、違った美味しさがあった。
香りこそ立たないが、煎が進むにつれて、奥にある本来の味、香りが顔を出す。
さながら5年の月日の間に無駄に派手なコートや上着を脱ぎ捨てて、
本人の本質を映し出すシンプルな服装になったようなイメージである。
この良さは5、6煎飲み進まないとわからないかも。
岩茶水仙は、今古茶籍さんの新茶がかなり強いこともあり、
2004年のほうが飲みやすく、岩茶特有の酸味や甘みがいい具合に感じられた。
このほか、2002年の永春佛手と1998年の岩茶大紅袍をいただいたが、
どちらも「古くなった」という感じは全くなく、
いい具合に落ち着いて、その茶葉本来の味わいが出てきていた。
特に永春佛手は柑橘系の回香が出ていて美味しく、全員お持ち帰りしたほど。
このところ、自分自身、新茶至上主義に囚われていた、と感じる。
必ずしも新しいことだけがその茶葉にとって全てではない、
ということがおぼろげながら見えたように思う。
華やかな表面の香りだけに引きずられて、
そのお茶の内に秘めた味わいや香りに目が行かないことも多い。
古い=陳年化、という図式だけではとうてい計れない、茶葉の力。
これだから、お茶は面白い。
今回はとってもいい勉強になったなあ
とは言え、家にある古いお茶が美味しくなる、とは限らないんだけどね
この場を借りて・・・・・
いろいろ準備をして、お茶をたくさん淹れてくださった簡さん、ありがとうございました
日曜なのにお店を陣取ってしまい、ゆっくりくつろげなかったお客様の皆さん、失礼いたしました
セッティングをしてくれた友人たちにも感謝です