楊勤芳氏の証書で漢詩のことに触れたが、
最近また漢詩に傾倒している。
自宅の中国茶教室では「
中国茶指導・老師」の登録研修機関として
カリキュラムに沿って指導を行っているが、
中国茶文化概論の中に「茶詩」を組み込んでいる。
テキスト作成のため、茶にまつわる詩を調べているうちに
またじっくりと自分自身が勉強したくなったのだ。
学生時代は特別に漢詩を選択することはなかったが、
その後中国各地を訪れる度に、その土地と歴史と漢詩のつながりの強さを感じたものだ。
武漢を訪れた時には「ああ、これが李白や崔の詠った黄鶴楼なのだ」と思い(当時のままではないが)、
西安の華清池では白居易の『長恨歌』を想い、
成都では杜甫草堂を訪れ、高校時代に暗誦した『絶句』を口ずさんだ。
そう、漢詩と言えばまずは高校の時に習った漢文を思い出す。
漢文の先生はいつもバレエシューズを履いた元気なおばあちゃんで、学校の名物先生だった。
ある時、中国語で漢詩を詠んでくれたことがあった。
その時の美しい響きが心に残った。
今にして思えばそれがその後の自分の専攻選択に大きな影響を与えたように思う。
自宅教室でも茶詩をひととおり解説した後、
中国語で読んでお聞かせすることにしている。
書き下し文で耳に入れるよりも
漢詩のリズムと流麗さが伝わると思うからである。
詩人の中では私は李白が一番好きだ。
中国語で朗読するとそのリズムの美しさが際立つのだ。
しかし、残念ながら李白は酒仙と言われるほどの酒好きであったためか、
茶に関する詩は現存しているもので私の知っている限りではたった一句である。
『答族侄僧中孚贈玉泉仙人掌茶』 李白
常聞玉泉山,山洞多乳窟。
仙鼠如白鴉,倒懸清溪月。
茗生此中石,玉泉流不歇。
根柯灑芳津,採服潤肌骨。
叢老卷葉,枝枝相接連。
曝成仙人掌,似拍洪崖肩。
舉世未見之,其名定誰傳。
宗英乃禪伯,投贈有佳篇。
清鏡燭無鹽,顧慚西子妍。
朝坐有餘興,長吟播諸天。
いまでも湖北省玉泉山麓で仙人掌茶は作られているとのこと。
次に武漢を訪れる際には、
仙人掌茶を飲みながら黄鶴楼を眺めてみたいものである。
※トップの写真は最近購入した書の絵本。
漢詩が題材となっていて、平易で目でも楽しめる。
漢詩 こころの旅―江口大象「書」の絵本 (江口大象「書」の絵本)