今日は私たち夫婦の結婚記念日。
30回を過ぎると、もう何回目かも正確にはよくわからなくなりますが、33回目になるのかな?
毎年、結婚記念日の恒例は気の利いたレストランでお食事ということで、今回は地元西区で何度か行ったことのある、それほどお高くはないフランス料理のレストランにしました。
この一年を振り返りつつ、これからもよろしくお願いします。
さて、そろそろ食事も終わろうとしていたころ、給仕をしてくれていた奥様と思しき女性が近くのお客さんとの会話が耳に入ってきました。
「…そうなんです、この年末でこのお店も閉じるんです…」
ええ!?このお店が閉店?
慌てて、通り過ぎようとした奥様を呼び止めて、本当のところを改めて訊いてみました。
「今、こちらが閉店すると聞こえたのですが…?」
「ええ、12月29日で閉店することにしたんです。私たちももうここで19年続けてきたんですが、『いつ辞めようか』と言いながら、もう一年続いてきた、という感じで…」
「このレストランはどなたかが継いでくださるのですか?」
「いいえ、取り壊しになるんです。それで辞める決心がつきました」
「この土地と建物はどなたかオーナーがいて、その方の意向なんですか?」
「いいえ、土地も建物も私たちのものですが、お隣の土地が開発されることになって、それだけだと狭いので、うちにも土地利用のお話が巡ってきたんです。それで『ああ、潮時でしょうか』と思いましてねえ」
どうやら周辺開発の余波が訪れたことがきっかけのようでした。
景気の良かったバブル時代の地上げのようにも聞こえますが、土地や建物を手放す理由が地上げという事や、経営が立ち行かなくなったということではなく、自分たちの年齢と将来を考えた時に、これ以上頑張って続けることの限界を感じたことが大きかったよう。
「大変ですね」というと、「ええ、これから家もつくらなくちゃいけませんし(笑)」
チェーン店のレストランばかりが増える中で、数少ないオーナー経営のまちレストランでした。
ここにもマンションが建つのでしょうか。また一つ地域の名物が消えるのが寂しいのと、高齢化社会や事業継承の問題が大きくなってきていることを感じます。
何かの時には使わせてもらっていただけに、地域から多様さがまた一つ消えるような寂しい気持ちになりました。
残念です。