札幌は昨日から断続的に降る雪が42センチに達したとのこと。報道によれば、札幌で11月に積雪が40センチを超えるのは62年ぶりなんだそうです。
しかしこの時期の雪ならば、まだもう一度や二度は融けると予想されるので道路の除雪も出にくいのか、おかげで札幌から稚内へ戻るバスは札幌市内でまず時間を取られました。
高速道路も全線で圧雪状態になりバスは終始ゆっくり走っているように感じられ、稚内へは夏の間よりも30分ほど遅く到着。いよいよ冬の道路事情になってきました。
札幌では森林の専門家の知人のAさんを訪ねて、道路防災林の管理に対する意見を聞いてきました。
Aさんは、苫東の林地をコモンズと呼ばれる組織体で管理しているのですが、管理の対価は林地管理で得られる材木です。これが良い薪になったり林業資源となり、これらの処理もかねて切った林材をもらうことで管理費のかからない森林管理を行っているのです。
Aさんは「これは自分自身の経験から来るのですが、週末の土日を使って一年間かけて自分一人で管理できる森林面積は1ヘクタールくらいだと思います。これが一人の管理での原単位なのではないでしょうか」と言います。
「なるほど、でも相当熱心にやってそれくらいでしょうから、もう少し片手間ということになると、もっと現実的には小さい面積でしょうね」
「ええ、道路や公園など公共施設を管理するのにアダプト(養子)制度というのがあって、『好きにしていいからちゃんと管理してね』という管理の制度ですね。これに近い形で私のやっているところでは一人当たり0.5ヘクタールを自由に管理していいよ、ということをやってみています。すると、皆周りを見ながら、他の人がやっている良好な管理を真似して管理の水準が上がっていくんです。競争というのはやっぱりモチベーションが湧くんですね」
やらされ感でやるのではなく、自らのやる気をかきたてる手法が求められるようです。
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私の問題意識は、今は針葉樹が中心の防風林を将来はアダプト制度やコモンズのような管理形態になっていかないだろうか、というもの。
今はお金を払って防風林を管理してもらいますが、出た木材はこちらで引き取ることが中心です。
それを出る材をあげるからタダで管理してください、ということが可能ならば管理費はずっと安く済むでしょう。
しかしそれならばもらいたい材が多くないとこの関係は成立しません。薪やキノコのホダ木にするならばミズナラのような木が求められますが、それならば防雪林や防風林の一部にミズナラを植えるということだってあるかもしれません。
管理者側の求める条件と、管理をしたい、あるいはしても良いと思うような団体との関係性をどのように構築できるかが、中長期的な課題になってくるように思います。
いろいろな良い事例を勉強しておくことが必要ですし、生きている植物を相手にする林学や造園の世界って、ときどき役に立つ素養のように思います。