北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

こんなに面白い離島観光~みなとシンポジウムin稚内

2015-11-04 23:40:52 | Weblog

 港の利用と振興を考える『ザ・シンポジウムみなとin稚内』が開催されました。

 タイトルは『みなとが繋ぐ島々との夢街道』として、稚内港を拠点とした観光振興について考えるというもの。

 私はパネルディスカッションのパネラーでもあったのですが、面白かったのは基調講演をしてくれた鯨下(いさもと)あつこさんのお話でした。

 彼女は生後8か月の女の子の子育て真っ最中のお母さんです。かつて東京で大手の経済情報誌の出版社に勤めていましたが、地域振興の情報発信を続けるうちに、「離島専門の情報発信ツールがない」ということに気が付き、有人離島専門のウェブメディア『離島経済新聞』を作りました。

 今ではタブロイド紙『季刊リトケイ』の編集長であると同時に、地域メディアのプロデュースや人材育成などを行っています。

 今日の基調講演はタイトルが『島の光を観に行こう~離島地域の観光振興』というもので、彼女自身が回ったり学んだ離島観光の興味深い事例を数多く紹介してくれました。

 
 まず観光客が多く訪れる離島のベスト5はどこでしょう?

 答えは石垣島(年間64万人)、佐渡ヶ島(53万人)、奄美大島(48万人)、武富島(34万人)、宮古島(33万人)の順。

 一位の石垣島は人口4万7千人で、沖縄本島からのハブ空港になっていてここを経由して武富島や与那国島へもいくことができます。

 暖かい島が多いのは、南方の島の風景に憧れが強いのでしょうか。


       ◆  


 次に面白話題の島々。

 【一番遠い島は?】と訊かれたら、答えは小笠原諸島の父島、母島。丸一日以上船に乗らないと着かない島ですが、世界自然遺産の指定を受けた後はクルーズ船の立ち寄りが増えたとのこと。

 【なかなか渡れない島は?】と訊かれたら、答えは東京都の青ヶ島。人口わずか170人足らずの島で、八丈島からフェリーで二時間ですが海が荒れて着岸率が50%足らずだとのこと。リスキーな島です。


 【一番旅費のかかる島は?】と訊かれたら、答えは沖永良部島。羽田からの交通費で片道8万円がかかるのだそう。
 ただここで参考になるのは、島内に二つの町がありながら、数年前に観光連盟が連携して二町の観光情報をまとめて発信するようになったのだそう。


 【一番外国人観光客の多い島は?】と訊かれたら、答えは対馬。年間33万人の観光客の半数は韓国からの旅行客。ここではしばしば携帯電話やスマホに『韓国へようこそ』という表示が出て、自動的に国際電話になってしまうことがあるので気をつけましょう、とのこと。危ない、危ない。


      ◆   

 さて、離島観光をしようと思ってもそこには大きな壁があります。

 それは「もし渡れなかったら…」「帰れなかったら…」という不安。しかも離島への旅行には時間もお金もかかるのです。

 鯨本さんには忘れられない島旅があるのだそう。それは八丈島のことで、ここでは船や飛行機の欠航が続いた時に、地元有志の人たちが食事を振る舞ってくれたり太鼓を披露してくれる『欠航流人の宴』という催し物があるのだそう。

 欠航は不満だけれど、それを逆手に地元の人たちが手作りの振る舞いでもてなすことで逆にずっと心に残る思い出が作られます。


 また次は三重県の神島で、ここは三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台となった町と言われています。ここで鯨本さんは知人を訪ねたのですが、相手にちょっとした予定が入って行き違いになってしまったのだそう。
 そこで自分が案内をできないので小学生の子供たちに「お前たち、案内して差し上げろ」ということになり、子供たちが島のガイドをしてくれました。そのガイドっぷりが実にほのぼのして上手だったのだと。
 ところが実は子供たちのガイドを要請するコンテンツもちゃんとあるのだとか。

 観光ガイドと一言で言い表しても、人を感動させるためにはいくらでも深い工夫と挑戦の余地がまだまだあるのではないか、というのが鯨本さんの感想でした。


 今の私には利尻島、礼文島の観光振興も大きなテーマです。最近はフェリーターミナルに、天候に左右されずに乗り降りができるボーディングブリッジを作りました。
 
 こうして日常の暮らしを安定させ、質を向上させるのもインフラ整備の効果です。まだまだやるべきことが沢山あると知らされたシンポジウムでした。

 
 日本には有人離島が418、無人島を加えると6,852もの島があるのだそうです。どうです、離島観光をしてみたくなったのではありませんか。どうぞ離島へ来てみてください。普段は見られない観光コンテンツが多くありますよ。

【離島経済新聞】http://ritokei.com/

コメント (1)
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