夕方の高速バスで稚内から札幌へ戻ってきました。
地下鉄駅まで妻に車で迎えに来てもらい、家へ戻る途中で前を走っている車がウィンカーも出さずに突然右折してアパートの駐車場へ入ってゆきました。
一瞬驚いた妻が「ウィンカーも出さずに…」とつぶやいたので、すかさず「世の中は理不尽に満ちているんだよ」と言いました。
「そうだよねー」「そうだろう?」と二人で笑って一件落着。怒りは笑いで消すのです。
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かつて娘が小学校に行っていたときに「先生は嘘つきだ」とプリプリして帰ってきたことがありました。
話を聞くと、先生が娘と約束してくれたことを守らない、と言ったのです。先生もその場しのぎの発言や言い訳をしたのかもしれませんが、それを幼心に「嘘つきだ」と断じたのだと思います。
「世の中は理不尽なことに満ちているんだよ」
そのときもそう教えたつもりですが、幼心のもつ正義感は純粋でまっすぐで我慢のできないものだったに違いありません。
子供もいくつくらいになると世の中が理不尽なことに満ちていて、それは直せることもあるけれど自分では直せないことの方が多いのだということに気がつくのでしょうか。
いや、大人になってもそういうことに気がついていない人もいるのではないでしょうか。
立ち向かって変えられることもあってそのための努力も惜しむべきではありませんが、どうしようもない理不尽さは甘んじて我慢するしかないというのは、決してただの無気力ということとは違う、人生の知恵なのだと私は思います。
小さな理不尽はどんどん飲み込んでしまって、人生はおおらかに生きましょうよ。
【ほら人生は理不尽だ…】