北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

サハリンへ運ぶ荷物を集めよう ~ ロシアとの貿易セミナー

2015-11-06 23:13:38 | Weblog

 「国際貿易セミナーin稚内2015」を聞いてきました。

 基調講演は島根県浜田港を母港に、ウラジオストックに中古車を送るなど、対ロシア貿易に実績を積んでいる株式会社エル・アイ・ビーの高橋克弘さんで、タイトルは「ロシア貿易の現状・成果と今後の取り組み」です。

 対ロシア貿易になかなか光明の開けない稚内にとって大いに参考になりそうです。




 さて、高橋さんはこれまでにロシアへ85回行ったそうですが、今回初めてサハリンへ行き今朝稚内へ着いたとのこと。

 ロシアには今年10回行っているが今回は地方都市へ重点的に行った。感じたのは、最近ロシアの地方都市の物流の形態が変化していること。

①これまではウラジオストックが中心的に荷物を集めて国内他港へ配分をするというのがロシア極東の物流だったが、変化が現れ始めている。

②それは資金不足か体力弱体なのか良くわからないが、ウラジオストックの物流センターのディストリビューターとしての力が衰えてきたように感じること。

③サハリンに行ってみたら大きな商業施設ができていた。イルクーツクでも同様の施設を見たが、各地方都市で商業施設の向上と地元企業の体力が強くなっている。


 サハリンでザ・魚という居酒屋で食事をしたが、ウラジオからサハリンの物流は不足している。ウラジオのサハリン向け販売量も減っている。

 今後サハリンはどういう変化を起こしていくのだろうか。今は原油安やルーブル下落で経済的に苦しいが、まだ国民の間に切迫感はないし、通貨が安定化すると貿易は安定してくるものなので、引き続き注目していきたい。

 そのうえで稚内がサハリンとの間で貿易を盛んにするためには、①稚内港へ北海道の産物にこだわらずに本州からも含めて荷物を集めた方が良い。そのためには高速道路の無料区間や通行の安定が重要になる、とアドバイスを送ってくれました。


     ◆  

 また、「ロシア貿易を振興するために見本市や物産展をするが、そこから先の『真の貿易』に繋げることが大切だ。貿易とは、単に安く売り出しをするということではなく、輸出をし輸入もし、それを経済ベースで成り立たせて継続させるということだ。

 そして特に高橋さんが強調したのは、「稚内港を使ってロシア貿易をしようという『輸出者』が必要だということ。輸出者というのは、荷物を集めてロシア側と契約事項をしっかりと結ぶ商談を行い、相手の信用調査を行い、そして代金決済の責任を担うということ。さらには税関、食物検査など必要な手続きをクリアする必要がある」ということでした。

 稚内では厳しいロシア貿易ですが、何しろ実績のある高橋さんですから、アドバイスにも重みがあります。


      ◆  


 第二部ではパネルディスカッションがあり、サハリン貿易の可能性や課題、解決への道筋などで意見が交わされました。



 興味深かったのは、稚内や道庁のパネラーが「稚内からの船が着くコルサコフでの通関がとても難しい」という現実に悩んでいるのに対して、基調講演をしてくれた高橋さんは「ウラジオストックでの貿易は、日本の税関職員が派遣されて通関処理のアドバイスをするなど問題解決が進んでいる」とコルサコフで通関が障壁になっている事態にとても驚いていたこと。

 どうやらサハリン、そしてコルサコフという港での通関の問題、人の問題、慣れの問題などがある実態が浮かび上がってきます。

 それに対して高橋さんは、「それにしても、ロシアの地元で通関事務に通じた人材を集めたエージェントとしっかり組んで通関は現地サイドの問題で、向こうで解決させる方が良い」という考え。ロシア側がどこまでやれるのか。

 
 しかしパネリストの一人である北友ストアーの吉川社長は言葉を強めて、「マイナス面だけ言ってもしょうがない。とにかくどうやって船を動かすに値する二千トンの荷物を集めて運ぶかに注力したい」と言います。

 そして、「物産展を五年もやれば、スイカやメロンが売れるというのはもう分かっている。他の野菜や花卉など、もっと他に売れるものがあるのか、今は売れなくても売れるように頑張るというようなチャレンジングな取り組みで行こうではないか。何事も諦めないで、一トンからでも良いからとにかく貿易らしきことをやってみよう。そして問題は「誰がやるか」なのであって、稚内の将来のために手を挙げる人を一人でも多く募るしかない」と強く訴えました。

 
 来年から新しい会社によるフェリー運航が継承されることを期待して、船が運行されたときにそれで運ぶ荷物をとにかく全道から、日本中から集めるという次のステップを一生懸命やるしかありません。

 稚内の未来はここにかかっています。

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