北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

都市計画学会研究発表会~まちづくりの話題満載

2015-11-01 23:45:27 | Weblog

 昨日は都市計画学会北海道支部による研究発表会が行われました。

 札幌大通りにある札幌学院大学の建物を会場に、会員と会員外でも参加できる、研究発表会と講演会を開催しました。

 研究発表会では、制度論よりはまちづくりの実践活動報告が多くて興味深い刺激になりました。

 
 講演会の講師は、ツーリズムプロデューサーとして『長崎さるく博』や『大阪あそ歩』などのプロジェクトを指導された茶谷幸治さん。



 両方のイベントに共通するのは『まち歩き』ということ。ただ町を歩くということが多くの観光客を外から呼び、またその町の人たちを活性化する過程をつぶさに教えていただきました。

 茶谷さんは「長崎は"さるく前"と"さるく後"ではっきりと変わった」と言います。それはさるく博を行ったことで、①長崎に集客=賑わい&経済効果が生まれた、②市民に"わがまち意識"が生まれた、③共同体のつながりが生まれた、という三つだと言います。

 そこで茶谷さんが気付いたことは、「まち歩きは社会の質を変えるかもしれない」ということ。

 それはライブ感覚の回復や自由であることの楽しさ、つながりのうれしさなどで、知らないところを好奇心に従って歩き回ることは経済的でそのうえ知的なスポーツの様な喜びがあるのかもしれない、とも。

 全く同じことが大阪の「大阪さん歩」でも起こり、歩くことが観光コンテンツとして評価されたことは結果として極めて有効なまちづくりに繋がっていると茶谷さんは考えています。


       ◆ 


 ところがこの同じまち歩きという観光コンテンツの継続的活動に対して、大阪と長崎は全く対照的なアプローチをしています。

 長崎はいまだに長崎市がほぼ丸抱えでこれに市民が協力しながら支えていて、ともするとガイドさんたちのマンネリ意識や今後の方向性が希薄化しているのではないかという不安要素もあります。

 一方大阪は、徹底的に野放し型にすることで参加者からはちゃんと高いお金をもらってガイドにもお金が回り、しかしそれを行う組織を管理することにはほとんどお金を使うこともなく、行政もほとんどお金を出さない自律的な継続性を保っています。

 さらに言えば、ニューヨークでのまち歩きガイドは事前の予約もないという自由さ。

 パリではパリ市民ならば市内の美術館で模写する権利があるなど、市民が自分たちの美術館だという意識をしっかり醸成しているのに対して、では大阪市民が文楽を自分たちの文化だと楽しんで意識して誇りや自慢のタネにしているでしょうか。

 そういう文化を自らが支えていないのに、オリンピックが始まるというので突然「文化を大切にしましょう」というムーブメントになる。

 ただそれを批判するのではなく、この動きを上手に使って文化を一人一人に根差したものになるようするべきだ。

 
      ◆   

 結局は外からのお客を迎えるということを考えた時に初めて自分たちのまちがどういうところかを真剣に考えるということなのでしょう。

 本気にならざるを得ない状況を自ら作り出して、本気の市民がどれだけ増えるかが鍵なのではないでしょうか。

 
 参加者ならびに関係者の皆様、お疲れ様でした。

コメント
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