今日は朝から東京です。昨夜は前泊で行こうとした同僚が飛行機が飛ばなかったとか。冬は新千歳空港も大変です。
今日は
■ローマ人の手紙 です。
【ローマ人の物語】
出張は本を読むのに最適な時間です。今読んでいるのは毎回おなじみ、塩野七生さんの「ローマ人の物語第Ⅸ巻」。
ローマ人の物語は塩野さんが1992年から2006年にかけて一年に一冊ずつ刊行して全15巻にわたる壮大なローマ帝国の物語である。
新刊本一冊を三冊に分けた文庫で第Ⅷ巻の分までが文庫化されているのだが、それ以降がなかなか文庫化されないので我慢できずにとうとうⅨ巻を買ってしまったのである。
第Ⅸ巻は「賢帝の世紀」で、紀元1世紀末からの五賢帝と呼ばれる、傑出した皇帝が続いた時代の物語である。
ローマ人の物語は、一人一人の魅力的な登場人物に加えて、著者である塩野さん自身の歴史観や人物観、多くの引用文献に見られる歴史家達のローマ観が伺えて、二千年以上の時を超えた人間の有り様が生き生きと描かれているのである。
私自身がこれまでに読んだ本のシリーズの中でも、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」と双璧をなす傑作である。
最近は読書の際に「ここだ!」と思ったフレーズには鉛筆で片っ端から線を引いて、後からたどれるようにする癖がついてしまった。だから新刊本なのに、線が引かれるわ耳は折られるわで、本好きのonimasaさんなどからは「本になんてことを!」と怒られるかも知れない。
しかしもう自分の中で、本はそう言う使い方をしようと決めてしまったのだ。古本屋には売れないに違いないけれど、その分自分の血や肉になるような気もする。
今回登場するのは、ローマ帝国の版図を最大にしたトライアヌス、帝国をくまなく視察して統治システムの再構築に励んだハドリアヌス、穏やかな人柄ながら見事な政治を行ったアントニヌス・ピヌスの3人で、帯には「世にいう五賢帝のなかでも傑出した三者の人物像を浮き彫りにした、極め付きの指導者論」と書かれている。
ローマが最も幸せだった時期を支えた皇帝達の物語として非常に優れたものになっている。
ローマ帝国はなぜ滅びたかがよく話題になるが、それは裏を返せば「なぜこんなにも続いたのか」ということである。
なぜこんなにも続いたのかについては著者の塩野さんも様々に書いているが、ローマ人という人種にこだわらずに併呑した部族がローマシステムを採用する限り、一切の差別をせずにローマ市民として扱ったということが最大の要因ではないかということが随所に出てくる。
日本という国のことに置き換えても考えさせられることである。我々は日本という国を永続させるために、何にこだわることが必要で、こだわる必要がないことは何なのかを考える必要があるだろう。
出張は読むにはありがたい時間でもある。有効に利用しなくてはね。
今日は
■ローマ人の手紙 です。
【ローマ人の物語】
出張は本を読むのに最適な時間です。今読んでいるのは毎回おなじみ、塩野七生さんの「ローマ人の物語第Ⅸ巻」。
ローマ人の物語は塩野さんが1992年から2006年にかけて一年に一冊ずつ刊行して全15巻にわたる壮大なローマ帝国の物語である。
新刊本一冊を三冊に分けた文庫で第Ⅷ巻の分までが文庫化されているのだが、それ以降がなかなか文庫化されないので我慢できずにとうとうⅨ巻を買ってしまったのである。
第Ⅸ巻は「賢帝の世紀」で、紀元1世紀末からの五賢帝と呼ばれる、傑出した皇帝が続いた時代の物語である。
ローマ人の物語は、一人一人の魅力的な登場人物に加えて、著者である塩野さん自身の歴史観や人物観、多くの引用文献に見られる歴史家達のローマ観が伺えて、二千年以上の時を超えた人間の有り様が生き生きと描かれているのである。
私自身がこれまでに読んだ本のシリーズの中でも、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」と双璧をなす傑作である。
最近は読書の際に「ここだ!」と思ったフレーズには鉛筆で片っ端から線を引いて、後からたどれるようにする癖がついてしまった。だから新刊本なのに、線が引かれるわ耳は折られるわで、本好きのonimasaさんなどからは「本になんてことを!」と怒られるかも知れない。
しかしもう自分の中で、本はそう言う使い方をしようと決めてしまったのだ。古本屋には売れないに違いないけれど、その分自分の血や肉になるような気もする。
今回登場するのは、ローマ帝国の版図を最大にしたトライアヌス、帝国をくまなく視察して統治システムの再構築に励んだハドリアヌス、穏やかな人柄ながら見事な政治を行ったアントニヌス・ピヌスの3人で、帯には「世にいう五賢帝のなかでも傑出した三者の人物像を浮き彫りにした、極め付きの指導者論」と書かれている。
ローマが最も幸せだった時期を支えた皇帝達の物語として非常に優れたものになっている。
ローマ帝国はなぜ滅びたかがよく話題になるが、それは裏を返せば「なぜこんなにも続いたのか」ということである。
なぜこんなにも続いたのかについては著者の塩野さんも様々に書いているが、ローマ人という人種にこだわらずに併呑した部族がローマシステムを採用する限り、一切の差別をせずにローマ市民として扱ったということが最大の要因ではないかということが随所に出てくる。
日本という国のことに置き換えても考えさせられることである。我々は日本という国を永続させるために、何にこだわることが必要で、こだわる必要がないことは何なのかを考える必要があるだろう。
出張は読むにはありがたい時間でもある。有効に利用しなくてはね。
