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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

中国四日目 ハルピンの旅

2006-01-13 23:49:28 | Weblog
 中国珍道中の四日目です。旅も半ばを過ぎました。

 今日は
■ハルピン市をお訪ねする
■ハルピン氷祭り の2本です。

【ハルピン市をお訪ねする】
 ハルピン(哈爾濱)市は中国で一番北にある黒龍江省の省都である。ここは中国東北部の経済・文化の中心でもあり、東北経済地区では第二の都市なのだそうだ。

 ハルピンの詳細はここ(→ハルピン紹介)を見ていただくとして、ここではいよいよ極寒のハルピンにおいて氷祭りその他での雪氷のエネルギー利用、あるいは観光利用の現状を視察しようというものだ。

 この日のハルピン市は前日の夜から普段は降らないような10センチもの積雪に見舞われて、市内は雪一色。

 しかし車のタイヤにスタッドレスタイヤなどはなく、全部が夏タイヤそのままなのだ。もっとも冬のハルピンは気温が常に氷点下なので雪が解けて滑りやすくなるという事もないのだそうだ。

 斜面に融雪剤を播くという事くらいはしていたが、あとは雪かきで道路維持をするのだが雪かきの手段は全て人力!
 約10人ほどのパーティが組になって雪を押しては一カ所に溜めてそれをリヤカーやトラック、果てはゴミ収集車にまで乗せては運んでいる。機械除雪の体制が整っていないという事もあるだろうが、人が出る事でお金にもなっているのだから人海戦術とはすごいものだ。
 
    *   *   *   * 

 そんな雪の中をまずは世界三大氷祭り(ただし他の二つがどこかは知らない)の一つであるハルピン氷灯祭の実行委員会をお訪ねする。この実行委員会、実はハルピン市役所の中にあり、応対に出てくださったのはハルピン市旅游局(意味は観光局)の馬副局長さん。

 馬さんは最初の内は通訳を介して会話をしていたが、後半は流ちょうな日本語で説明をしてくださった。伺えば黒竜江大学の日本語学科卒のエリート。今の中国東北部の指導者層には日本シンパが多い事を心強く思うとともに、中国における日本語ほど日本における中国語はまだ一般的にはなっていない彼我の差を感じる。

 氷灯祭りは樺太の北に注ぐアムール川の支流である松花江が全面結氷する12月初旬から準備を進め、川から氷を切り出して巨大な氷像を何基も作るのである。氷の切り出しにどのような工夫をしているかと思ったが、なんとほとんどが人力による切り出し。中国で一番安いのはここでも人海戦術なのだと納得。

 しかしわずか一ヶ月弱で約30万トンもの氷を切り出して、川のすぐ側の会場で氷を組み立てて行くというのだからすさまじい勢いだ。

 氷灯祭りは1月5日から2月末まで開会中、ということは要は融けるまでやっているということ。しかしこの間の観光入れ込みは600万人というから市にとってこれによる観光収入は絶大なものがある。

 当然札幌の雪祭りの事もご存じで、「あれだけの雪像を作っていながらわずか十日で壊してしまうというのはもったいない話です。日本では雪像を自衛隊が作っているという事ですが、こちらではこれがビジネスになるということで全て民間の力で作っていますよ」とのこと。中国の方がよほど民間力を上手に使った商売が出来ている。

 さすがに氷を冷熱エネルギーとして使っているという事はないそうだが、コストに興味を持たれていた。

 しかし中国の方が氷灯祭りを商売として優れた祭りとしてプロデュースできていることに驚いた。雪祭りもうかうかしてはいられない。商売のあり方を考えさせられてしまった。

【ハルピン氷祭り】
 この日の午後はハルピン工程大学で雪氷の冷熱エネルギーに関する意見交換と交流を行い有意義な会談をする事が出来た。

 また夜にはハルピンを案内してくださっている黒竜江省外事弁公司の計らいで会食をセットしていただき意見交換を行った。ここでも日本所の所長さんは山形県に一年いたそうで日本語がぺらぺら。ここでも中国エリートの語学力を見せつけられた。

 この夜の目玉はなんといっても氷灯祭りの夜間訪問。ハルピン氷灯祭りは夜の灯りが美しいという事なので、なんとしても夜の姿を見なくてはならないのだ。連れて行ってくださった車の温度計は外気温をマイナス18℃と示していたがどう考えてもマイナス20℃以上よりも下がっている感覚。

 会場は入場料が一人110元(=1800円くらい)で、円の感覚では日本では1万円くらいの感覚だろう。それでも皆喜んで払って会場入りをしている。

 会場は広くて回るのに時間がかかり、中国軍隊が来ているような外套を借りてやっとの思いで会場内を回る。今年はロシア建築がテーマなのだそうで、それらしい氷の寺院などが内蔵した赤、黄、緑などの色つき蛍光灯の輝きで美しい。

 会場内では犬ぞりやら自転車、バギー、スノーモービルなど各種のアトラクションもあって厳寒の中を家族連れやアベックが楽しんでいる。どんなに寒かろうが環境が厳しかろうが、参加者が楽しんでいるという事が観光の基本なのだなあ。

 さすがの規模に圧倒されながら会場を後にした。日本の祭りがスケールの大きさを競う必要はないだろうけれど、少なくとも中国のスケール感を肌で感じられた事は最大の収穫だ。この皮膚感覚を忘れまいぞ。

    *   *   *   * 

 さて、実はこの日は朝から腹痛気味で食事がほとんど取れなかった。前日の場末の餃子屋が悪かったのか、と思ったけれど同行のKさんはけろっとした様子。

 「何?お腹の調子が悪い?そりゃお茶だよお茶!ぬるかっただろう。だから僕は警戒してビールばかり飲んでいたんだよ」それを先に行って欲しかった…。ひー、いてて…(続く)

コメント (2)
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