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「江戸繁昌記 三編」を読む 65

(散歩道のマツバギク/一昨日撮影)

午前中、金谷宿大学の年次総会に出席した。何事もなく無事に終わって、現役時代の、株主総会が終わったときに似た、安堵感を久し振りに感じた。学長が来年度の学長人選をするように、冗談半分に事務方に話していたが、学長の思いは、まだ実現の半ばの気がする。学長の思いを実現するに、最短でも3年は勤めてもらわなければなるまい。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。

    寄(ヨセ)都俗招聚のいい、これを「寄せ」という)
太平を鳴らし、繁昌を鼓する。手技(テヅマ)や、落語(ヲトシバナシ)や、影紙(カゲエ)や、演史(コウシャク)、百眼と曰い、八人芸と曰う。昼に夜に、交代して技を售(う)る。七日を以って、限(=区切り)を建つ。限を尽くす。客(きゃくせき)減ぜざれば、また日を延ばし、更に期を引く。大概(おおむね)一所、楼(=大きな建物)を用いて場を開く。
※ 都俗(とぞく)- 都会の風俗・習慣。
※ 招聚(しょうしゅう)- 人を招き集めること。
※ 百眼(ひゃくまなこ)- 種々の目鬘(めかつら)で変相しながら小噺(こばなし)などをする寄席芸。
※ 八人芸(はちにんげい)- 一人で八人分の楽器や声色(こわいろ)などを聞かせる芸。
※ 舃(せきのくつ)- 奈良時代に男女がはいた「履」のことで、爪先が高くなっているので「鼻高履」ともいう。
※ 坊(ぼう)- 方形にくぎられた町の区域。市街。まち。


その家の檐角籠招子を懸け、書して曰う、某々(なにがし/\)出席、某(ぼう)の日より、某の日に至る。夜分は火を上(のぼ)す。肆(みせ)端に錢匣(ぜにばこ)を置き、匣上に塩を堆(も)ること三堆、一大漢、側に在りて叫声す。請う、来たれ。請う、來たれ。夜娼(ヨタカ)、客を呼ぶ声、甚だ似たり。匣に面する壁間に、履屐を連らね懸け、小牌(=下足札)を繋ぎて、識(=識別)を為す。牌銭、別に四文を課す。乃(すなわ)ち、銭無くして至る者、親(みずか)ら履(はきもの)を懐にして上る。俗語、このを名じて、これを油虫と謂う。
※ 檐角(えんかく)- 軒のかど。のきさき。
※ 籠招子(かごしょうし)- 商店名を記し入り口に懸けた行燈(あんどん)方看板。
※ 大漢(たいかん)- 大男。
※ 律(りつ)- 音調。調子。拍子。
※ 履屐(りげき)- 草履と木ぐつ(下駄)のこと。
※ 牌銭(はいせん)- 下足札銭。
※ 曹(そう)- 仲間。また、一族。
※ 油虫(あぶらむし)- 人につきまとい、害を与えたり、無銭で飲食、遊楽などしたりするのを常習とする者をあざけっていう語。たかり。
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