goo

「江戸繁昌記 三編」を読む 69

(近所の側溝沿いのアジサイ11/6月25日撮影)

今年のアジサイもこれがラストになるだろう。

裏の畑で山椒の実を収穫してきた。少し遅かったかと思ったが、ネットで収穫時期6月とあったので、まだ良いかと思った。レシピで五分ほど茹でてみたが、中の種が堅い。もう少し何とかして見ようとおもう。味は一粒で舌が痺れた。

********************

「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「寄(よせ)」の続き。

却ってまた、那の(かの)羽生村累女(カサネ)の幽鬼、祟(たた)りを為すの図を照らし出す。霊牌(位牌)前、仏灯暗く、香烟細し。別に一大蘭盆(盂蘭盆)灯を懸け下ろす。那(か)の与右衛門なる者、鉦を敲(たた)きて、仏を念ず。只(ただ)見る、幽鬼の灯篭内より現出するを。
※ 羽生村累女(カサネ)の幽鬼 - 下総国岡田郡羽生村の累ヶ淵を舞台にした、累(かさね)という女性の怨霊とその除霊をめぐる物語から。

(かえ)りて滅し、還りて現じ、漸(ようや)く小、漸く大なり。嚶々(おうおう)(うら)みを訴う。須臾にして澌滅す。乍(すなわ)ち見る、一団の微暈、光を(ほ)て洩さず。朧(おぼろ)月、輝きを収め、鷇(ひな)、卯を破らんと欲す。漸く凝(かたま)り、漸く明々、眉目了々、遂に一大鬼首と作(な)る。鮮血噀(ふ)き、怒眼裂く。
※ 嚶々(おうおう)- 鳥が互いに鳴きあっているさま。
※ 須臾(しゅゆ)- 一瞬。
※ 澌滅(しめつ)- 消えてなくなること。
※ 微暈(びうん)- かすかな光の輪。
※ 葆す(ほす)- たもつ。つつむ。
※ 了々(りょうりょう)- 物事がはっきりわかるさま。


高僧祐天点出す。合掌、経を念じて、一喝、数珠を揮(ふる)いて、怨火即ち消す。只見る、紫雲靉靆、金仏来り合い迎す。蓮花台上、怨魂成仏、妙光四散天花繽紛たり。
※ 祐天(ゆうてん)- 増上寺三十六世法主で、江戸時代を代表する呪術師。強力な怨霊に襲われていた者達を救済、その怨霊までも念仏の力で成仏させたという伝説がある。
※ 点出(れい)- 画面に目立つように描き出すこと。
※ 怨火(えんか)- 怨みの火。
※ 靉靆(あいたい)- 雲や霞などがたなびいているさま。
※ 四散(しさん)- 四方に散ってちりぢりになること。
※ 天花(てんげ)- 天上界に咲くという霊妙な美しい花。またそれに擬して、法会で仏前にまき散らす蓮華の花びら形の紙。
※ 繽紛(ひんぷん)- 多くのものが入り乱れているさま。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )