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「江戸繁昌記 三編」を読む 71

(N氏宅庭のアイストゥインクル)

朝、体育委員で会計を受けたので、区の体操教室に講師料を届けに行く。今日は一人用のトランポリンを使った体操だという。準備して行かなかったので、参加はせずに帰る。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「寄(よせ)」の項終り。

また聞く、足音响(ひびき)を送るを。また一婆々(ばば)を声出しす。一婆問う、吾が翁在りや。猴(小僧)(い)う、在り在り。主、唱喏し道う。爺なお陽(ウワキ)なり。(あね)を労す(=ねぎらう)。今日は斯(ここ)に在り。また掛念せざれ。今且つ、偕(とも)に歌う。請う、姐もまた和せよと。
※ 唱喏(しょうだく)- あいさつの口上を唱えつつお辞儀する。
※ 姐(あね)- あねご。あねさん。同輩親族の年長の女性。
※ 掛念(けねん)- 気に掛ける。


三線(三味線)調(ととの)う。二羽二宮。三弦(三味線)善く六絃の声を為す。爺唱え、婆和し、猴、賡(つづ)き、権、吼(ほ)ゆる。権の音は大濁、猴の声は高清、叟、急音喉を扼するが如く、婆、舌音にして洩るゝ。互いに歌い、代る代る和す。漸々遠く往く。微音断続、有無(くう)に入る。
※ 二羽二宮 -「羽」も「宮」も調弦(弦の音律を調えること)の用語。
※ 六弦(ろくげん)- 和琴の別称。
※ 扼する(やくする)- おさえつける。
※ 揵(けん)- 挙げること。
※ 有無(うむ)- 存在と非存在。


春蠺(しゅんさん)葉を食らい、微雪窓を撲(う)つ。一般、也(また)似たり。却って聴く清、漸く清。濁稍(ようや)く濁。弦、に、声還える。主人道(い)う、興(きょう)(もと)めきたり。須(すべから)く別して奇を弄(ろう)すべし。猴道う、更に既已(すで)に深し。
※ 春蚕(しゅんさん)- はるご。4月中旬に孵化した蚕。
※ 皦(きょう)- 純白。明るく光る。


百談、怪を験(ため)すなり、何如(いか)ん。僉(みな)(い)う、好し好し。清話濁説、百談怪を極め、忽(たちま)き聞く、風雨驟(にわか)に至るを。風声蓬々、雨声淅々、戸を閉める声、窓を引く声、猴苦を叫び、権驚を呼ぶ。一撲(ひとなぐ)り、地聞き得たり、物の墜つる声。衆音鎮圧、百事(=万事)(とみ)休す。
※ 蓬々(ほうほう)- 風が強く吹くさま。
※ 淅々(せきせき)- 風の音のするさま。
※ 衆音鎮圧(しゅうおんちんあつ)- 皆な黙り込む。
※ 頓に(とみに)- 急に。にわかに。
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