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「江戸繁昌記 三編」を読む 45

(小国神社の御朱印)

昨日の小国神社で、御朱印を頂いた。日付を見て、令和ももう一ヶ月経ったのだと思う。月日はどんどん流れてゆく。

参道に杉の巨木が並木となって並んでいる。小国神社に最初に訪れて、もう半世紀も過ぎてしまった。見る度に杉並木が巨樹に生長しているのが分かる。樹齢1000年とも言われ、「大杉」と呼ばれていた御神木は、昭和47年(1972)の台風により倒れたが、今も板屋根を掛けられて保存されていた。その板屋根を覆って、セッコクが繁茂し、今花盛りであった。

(小国神社「大杉」の根株とセッコク)

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「書舗」の続き。

一医生至る。懐抱より数冊を取り出して曰う。これは、日前の買う所、不侫(=小生)(にわか)に帰省す。且(しばら)く、これを還さん。伴(頭)曰う、唯々薄を翻して、これを照らす。曰う、これなり、これなりと。珠盤(そろばん)を引きて算了し曰う。原價(元値)四銖。今、これが三分を除きて、現金三銖有奇、還し奉る。請う、収めよ。
※ 懐抱(かいほう)- ふところ。
※ 不侫(ふねい)- 働きがない。自分を謙遜していう語。
※ 唯々(いい)- 同意・承諾を表す語。丁寧な返事に用いる語。「承知しました」位か。
※ 薄を翻す(うすをひるがえす)- 本の薄紙を裏返して、奥付を見ることを示すか。(売値の確認)
※ 有奇(ゆうき)- あまり。はした。


(医)生、驚きて曰う、吁々(ああ)これ数日前の事に係る。纔(わずか)に数行を閲し、、未だ折らず。紙、未だ毛(=消耗)せず。三分を除く、また、已甚からずや。且つ聞く、原價二を除くは書賈常格と。何ぞ貪(むさぼ)る、何ぞ貪る。伴(頭)曰う、二分を除くは旧本の例。箇(これ)はこれ新本。新古、自(おのずか)ら別なり。且つ、他の何如(いかん)を管せず。本舗はこれを以って(常)格と為す如し。尊意に満たざるは、請う謝し。請う謝し。(医)生、少く怒りを帯びて曰う。(常)格は則ち然るべし。但し、人情をなん。請う、これを二にせよ。十請百謝、伴(頭)(常)格を執りて変えず。(医)生、卒(つい)(常)格に服し、銀を収めて出づ。
※ 色(いろ)- 表情としての顔色。
※ 装(そう)- 書物の体裁。装丁。
※ 已甚(いじん)- はなはだしい。
※ 書賈(しょこ)- 書籍を商う人。書籍商。
※ 常格(じょうかく)- 定まっている格式。いままでのしきたり。
※ 謝し(しゃし)- わびる。
※ 十請百謝(じゅうせいひゃくしゃ)- 十回請い、百回わびる。
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