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「江戸繁昌記 三編」を読む 59

(掛川城公園のカメ/ 6月13日撮影)

古文書講座出席の前に撮影した。大きい方が、アカミミガメ、小さい方がミドリガメ(おそらく)、いずれも外来種である。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「愛宕」の続き。

山麓より増上寺に出る間、曝商(露天商)棚を連らね、席を接す。衣着(=衣類)を懸け、貨物を攤す。団子を貫き、甘醴(かんれい、=甘酒)を爨(かし)ぐ。西に折れ切通しに至る。(方言、鑿道(さくどう)を切通しと曰う)繁雑、殊に劇(はげしく)喧を鼓し、を吹く。小戯場(小劇場)善瞑人(テヅマ)、説史滑稽、道を挟めて、技を售(う)る。貨賈、薬商、百の、爾(すなわ)ち、席を争いて、物を鬻(ひさ)ぐ。
※ 攤す(たんす)- ひらく。ひろげる。
※ 譁(か)- やかましく騒ぎ立てる。「喧嘩」の「嘩」と同意。
※ 善瞑人(せんめいじん)- 手妻(古来より日本に伝わる日本独自の手品・奇術のこと)。
※ 説史(せつし)- 講談の類い?、また「滑稽」は落語の類い?
※ 貨賈(かこ)- 物売り。


正面に南向し、銀鏤小剱を横ヘ、黄金燭台アリ。西方に東向し、描金(マキエ)香盒、珊瑚壓口(オジメ)を居(お)く。東方に西向し、文木火桶を置く。
※ 銀鏤(ぎんろう)- 銀をちりばめる。
※ 香盒(こうごう)- 香を入れる蓋ふたつきの容器。香合。
※ 壓口(おじめ)- 緒締め。袋・巾着などの口にまわした緒を束ねて締めるための具。多くは球形で、玉・石・角・練り物などで作る。
※ 文木(ぶんぼく)- 烏文木(うぶんぼく)のことか。黒檀(こくたん)の異名。
※ 火桶(ひおけ)- 木製の丸形の火鉢。表面は木地のまま、または漆を塗り、内側に金属板を張ったもの。


蒼古の鉄瓶あり。革烟袋、象墜子、数本の春画、数枚の盤針(羅針盤)、古色の茶器、新製の酒具、細玩、色々前面に在り。提灯、懸画(かけじく)、鋸子(ノコギリ)、筭盤(ソロバン)、大小相隣して在り。隅に、博多の帯、鼈甲(べっこう)の櫛、夾嚢(カミイレ)、頭巾、また陳し、また排す(=並べる)。これを望めば、精良。これに近づけば、濫悪。偽製贋作、また委(ゆだ)ね、また曝(さら)す。
※ 蒼古(そうこ)- 古めかしい中に深い趣のあるさま。
※ 烟袋(えんたい)- 多くは「煙管(きせる)」を意味するが、ここでは、「煙草入れ」のこと。
※ 佩(はい)- 助数詞。刀剣など、腰に帯びるものを数えるのに用いる。
※ 墜子(ついし)- 漁網などの錘を意味するが、転じて、ネックレスのこと。
※ 顥(か)- 助数詞。玉・果実など、粒になったものを数えるのに用いる。
※ 細玩(さいがん)- 細かい玩具。
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