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「江戸繁昌記 三編」を読む 62

(牧之原市勝俣、秋葉公園のアジサイ/昨日)

午後、十辺舎一九講座の第三回で、静岡長田生涯学習センターへ行く。今日は一九の代表作、東海道中膝栗毛についての話であった。一九について、ただ作品を読むだけではなくて、色々な切り口で研究されている。その一部の照会があった。

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「江戸繁昌記 三編」の解読を続ける。「愛宕」の続き。以下、瀬戸物屋、またガラス製品なども扱う店先の様子である。

場を過ぎ、寺に循(そ)いて、南に折れ、巷(ちまた)に入る。珠簾(たますだれ)風に向いて、玉几日に輝き、雲母屏風月を籠め、玻瓈彩籠、星を綴る。葡萄紫を繋げ、千年運(オモト)碧を栽(う)ゆ。風に(おびたま)鏘々扁鏡烱々、銀流れ氷碎く。
※ 珠簾(たますだれ)- 玉で飾った美しいすだれ。
※ 玉几(ぎょくき)- 玉で飾った机。壮麗な机をいう。
※ 雲母屏風(うんもへいふう)- 雲母を張った美しい屏風(びょうぶ)。
※ 玻瓈(はり)- ガラスの異称。
※ 千年運(おもと)- オモトは普通「万年青」と書かれる。「千年運」という書き方もあるのか、ルビが振られている。
※ 佩(おびたま)- 腰に下げるかざりの玉。
※ 鏘々(そうそう)- 玉や金属が触れ合って鳴り響くさま。
※ 扁鏡(へんきょう)- 平たい鏡。壁に掛けた鏡。
※ 烱々(けいけい)- 物がきらきら光りかがやくさま。


或るは疑う、水晶宮に遊ぶかと。真に崑崙山に上る。障内の珠毛、額(ひたい)面の玉、西施、眉目明徹、精神人を射る。正にこれ江妃世に遊び、王母天より降りる。金剛石(ギヤマン)、假水晶(ビイドロ)、唐物百色、煌々光を(てら)
※ 水晶宮(すいしょうきゅう)- 水晶で造り飾った華麗な宮殿。
※ 崑崙山(こんろんざん)- 中国の西方にあり、黄河の源で、玉を産出し、仙女の主である西王母が治めている仙境とされた。
※ 障内(しょうない)- 障壁の内。
※ 墻(かき)- 垣。
※ 西施(せいし)- 中国、春秋時代の越の美女。王昭君・貂蝉・楊貴妃を合わせて中国古代四大美女といわれる。
※ 明徹(めいてつ)- 物事にあいまいな点がなく、はっきりしていること。
※ 江妃(こうき)- 中国唐代の皇妃。玄宗皇帝の寵姫の一人。楊貴妃と寵愛を争ったといわれる。
※ 王母(おうぼ)- 西王母のこと。西方にある崑崙山上の天界を統べる女性の尊称である。天界にある瑶池と蟠桃園の女主人でもあり、すべての女仙を支配する最上位の女神。
※ 衒う(てら)- みせびらかす。ひけらかす。
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