蕎麦屋とか定食屋で、蕎麦定食をたのむ。
勝丼とザルそばセットなどというのが昼時の定番。夜であれば一杯飲んだ後の蕎麦。
勝丼とザル蕎麦とお新香、そしてソバ湯が一緒に出てる。最低である。
忙しい仕事の合間、お酒の後のゆっくり〆たいお蕎麦。なのに、ソバ湯を一緒に出してきて、まるで、早く食って、早く帰れ、と言わんばかりである。
よく、通な人間たちが、昔は蕎麦なんてぇのは、早くズズッと食らってさっと帰るのが江戸の粋なんだよ、などと時代錯誤的なものいいをのたまわる連中がいるが、ただの昔の知識の押し売りにしかきこえない。食い方の時間まで何百年も前の真似などしたくもない。
それでザル蕎麦と勝丼を漬物で口の中を味切りしながら交互に食べる。これはこれでおいしいが、目の前にあるソバ湯のさめ具合が気になる。
ようやく食べ終え、さてソバ湯を飲もうかと残りおつゆにソバ湯を注いだころは、完全にソバ水になっている。一番最後に一番まずいものを食らうという妙な現象がおきるのである。
ソバ湯をもう一度たのみなおせばすむことではないのか、というのは浅はかなものいいだ。
だいたいにおいて最初にソバ湯が出てくるような店は、ソバ湯ではなく、ただの湯だったりして、もともと柔軟な対応が出来ないことが多い。また変にシステム化、いいなり作業になっているような店も多く、もう一度たのみなおすとあからさまにいやな顔をしたりする。
ソバ湯が定食と一緒に出てくる店にはあまりリピートしたいと思わないが、なにせ食い物のことだけに背に腹はかえられないのが実態。我慢しながら注ぎすするしかない。
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ラーメン屋に真夜中酒を飲んだ後にはいったらだいたいガラガラ。
テーブル席と壁席がある。お昼は繁盛しているのだろう。夜中は終電が済めば人の数も少なくなる。
それでガラガラのラーメン屋でラーメンを食べようとすると、最近はどこかしこで外国並みに席案内というのがあり、日本でも日常的な光景になりつつあるなか、お店の子が席まで案内してくれる。
昼時の混んだ状況対応しか教えてられないらしく、一人客ではいると、夜中のガラガラななか、猫の額ほどしかない奥行きの壁席へすわれとのたまわる。テール席はガラガラである。
奥行きが30センチほどで顔をあげると壁があるだけの席へすわってそこでラーメンを食らえということらしい。早い話、一人客は4人掛けのテーブル席ではもったいない。ほかの客が座れなくなる。つまりカネが儲からない。儲かるようにするには一人客は壁席へ案内するように教育されているのだろう。その店の教育はそこまで。客が来ない時間帯でも関係ないのだ。
かくして、真夜中に一人で30センチ先の壁をみながら一人ポツリとラーメンを食らうというこれまた奇妙な笑える光景となる。
ラーメン屋も蕎麦屋もそんなものか、と思う。グルメ評論全盛でもなにも変わっちゃいない。
こんな細かいことにケチをつけてもしょうがないような気もするが、いつでも気になることであるため、はけ口とした。
おわり
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