河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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0189- インバル ベルリン 夜の歌1989-9

2007-02-05 20:45:00 | コンサート・オペラ





当時唐突な組み合わせでやってきて、マーラーの7番と翌々日ブルックナーの3番を振っていった人がいる。

1989年7月11日(火) 7:00pm サントリー・ホール

マーラー 交響曲第7番 夜の歌

エリアフ・インバル 指揮 ベルリン放送交響楽団

エリアフ・インバルが一番輝いていたのは、1974年から1990年にかけて常任指揮者をしていたフランクフルト放送交響楽団の時代であったと思う。
1970年代の、今となってみればガラクタかもしれない現代音楽(時代音楽)などを一生懸命振っていた当時の活力。合わせてマーラーから現代に至る系譜の音楽も精力的に振っていた。
フランクフルトの録音は当時から音質抜群でNHK-FMでよく流れていた。今の今でも貴重な録音があり、テープがあればまた聴きたいものだ。
そのインバルが、この年なぜかベルリン放送交響楽団と<東京の夏>音楽祭のオープニングにあわせてやってきた。

ベルリン放送交響楽団は、それまでに聴いたことがあるかどうかすぐには思い出せないが、このときの音というのは、黒く青くそして骨組みが太くそれでいて先まで見通せるような、建築中のビルの鉄骨の間から先が見えるような、そんな音であったと思う。これは、指揮者のマーラーの譜読みが、そうなっていたからかもしれない。インバルはマーラーのスペシャリストとして名高くなってしまっていたので、聴く方もある一定のイメージがあったのかもしれない。

マーラーの7番。
一番最初に耳にしたのはクーベリックの棒によるレコード。そして初ナマは1977年のミヒャエル・ギーレン指揮N響、このときは連日聴いた。
昔は、6番は日本人は演奏不可能みたいな雰囲気があり、演奏は出来たかもしれないがあまり聴けたしろものではなかったということだろう。7番はどうであったのだろうか。出来上がった造型があまりにも、変、であったためかなかなか演奏される機会がなかった。日本では。
最初に聴いたときは、思うように長調になってくれない第1楽章にやきもきしたものの、第5楽章ですっきりさわやか、トランペットをはじめとするブラスがフォルテッシモからピアニッシモに変幻自在な強弱のなか見事なエンディングをむかえる大変に魅力的な曲であった。
最近聴いた生ですごかったのがバレンボイム指揮のベルリン・シュターツカペレのもの(2005.2.20)。超へヴィーで宇宙の底に沈んでしまいそうな演奏であった。それでいて妖しく艶やかであった。

また、トンデモCDもある。
オットー・クレンペラーの超スローな第5楽章。
タイミングが第5楽章だけで24分10秒。これがいかにスローなものか、聴きこんでいる人はすぐにわかるはず。アクセルとブレーキが同時進行する第5楽章冒頭のティンパニを聴くと、クレンペラーの頭の中を覗き込んでいるみたいな錯覚に陥る。

それで、インバルの夜の歌は大変に鮮やかなもので骨太の演奏にいたく感動したわけだが、インバルのマーラーで思い出した演奏会がある。
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1977年6月18日(土)7:00pm
東京文化会館
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モーツァルト交響曲第40番
マーラー交響曲第1番
エリアフ・インバル指揮
日本フィル

このときの1番も素晴らしかった。
線はやや細めながら、次第に熱くなる演奏が印象的。
この日の演奏、たしかCDで出たような気もするが定かではない。
1936年生まれの指揮者だからこれからも日本で棒を振る機会もあるはずだ。
おわり