恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

ミスマッチ

2009年03月19日 | インポート

 修行僧時代、ある老師にこう言われたことがあります。

「何と言うか、直哉和尚にも困ったものだな」

「え? 私、まずいことでもしましたか?」

「アンタの話を聞いていると、意味がよくわからないうちに、正しいような気がしてくる」

 私が説教や講演のようなことをし始めたころ、友人が言いました。

「直哉さんは不幸だね」

「何のこと?」

「だって、頭脳と才能がバラバラだもん。キミが頭で考えることはとても現実的で、厳しく言葉を選んでいるけど、最大の才能はアジテーションだぜ。何かを丸呑みして、感情全開のまま言葉を爆発させたら、とんでもない熱狂だってつくりだせるかも」

 そう言えば以前、手相を見るという人に「見せてください」と言われ、何を言うのかと思ったら、

「和尚、アナタに禅は向きませんな。アーメンか、南無阿弥陀仏だったら、大成功したでしょうに」

 所詮、私は救われない、報われないということか? 

 しかり! でも仕方ないんだよ。救われるとは何かわからないし、報われたいわけでもないのだから。

 ただ、私の話を聞いた人! くれぐれも話半分に聞いておくこと!!  念のため。

追記:次回「仏教・私流」は4月10日(金)午後6時半より、東京赤坂・豊川稲荷別院にて行います。