恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

冬眠

2006年11月17日 | インポート

Photo_41  いささか旧い話になってしまいましたが、恐山は10月31日をもって、今年も閉山しました。写真は雪囲いの様子などです。外側だけでなく、中の方もなかなか大変です。来年5月までは使用しないので、あらゆるものを一度運び出さなければならないのです。以前にお話したようなイオウガスの影響がありますから、金属や機械類は持ち出せるだけ持ち出します。エアコンもはずして、別の場所で保管するのです。また、大型電子機器の基盤なども、可能なら外して来年取り付けなおします。

Photo_43  10月も20日を過ぎると、お山全体が閉山準備に動き出し、それまで開いていた扉が板止めされ、それまで飾ってあった装飾が片付けられ、さらに25日からは宿泊止めになりますから、宿坊内もひっそりして、急に寂しくなってきます。気温も朝晩は10度を切ります。今日はもう11月も半ば過ぎですから、朝晩は0度近く、雪も降ったかもしれません。Photo_44

 降ったかもしれません、などど言うのは、私もこの時期はむつ市内の本坊に戻り、恐山のリアルタイムの状況を知らないからです。いま、お山には冬の間の管理をしていただく男性2人がとどまっています。この人たちが一冬、いわば山篭りして、お山の無事をまもってくれるわけなのです。例年ですと年明けぐらいには、4~5メートルの積雪になり、本坊から除雪部隊を組織して、本格的な雪下ろしとなります。今年は暖冬と言われていますが、どうでしょうかね。

 かくして、お山はいよいよ「冬眠」です。すっかり片付いた山内を見回ったとき、ふと、人間にも冬眠があれば、みんながもう少し楽に生きられるような気がしてきました。冬の間恐山がまるまる閉じてしまうのはもったいないと言ってくれる人もいるのですが、案外、この冬眠が恐山の恐山らしさを護ってくれているのかもしれません。

 右側一番下の写真は、31日、私が下山直前に撮影した恐山です。 Photo_45