くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「女王さまの夜食カフェ」古内一絵

2017-04-18 21:26:57 | 文芸・エンターテイメント
 シャールさんに再会できて、嬉しいですー。
 「女王さまの夜食カフェ マカン・マランふたたび」(中央公論新社)。今回も身体と心にきくお夜食が満載ですが、わたしが最も惹かれたのは「冬至の七種うどん」ですね。
 「七種」は「ななくさ」と読み、ニンジン、レンコン、ギンナン、カンテン、キンカン、ナンキン、ウンドン(うどん)の七つ。全部の具を入れて作ってあります。
 シャールさんの言葉を借りて説明すると、「全部の種にンが二回入るのよ」「どうして、ンが二回つくかっていうと、冬至は一陽来復、陰極まりて、陽に帰るって言ってね、一度終わりきったものが再生する日だからなの」。
 この物語では、シャールさんの友人柳田が視点になっています。
 娘が高2も後半のこの時期に、イルカの研究をしたいから理系に転科したいと言い出して頭を抱えています。
 娘は生粋の文系。理科教師の柳田には無謀だとしか思えない。
 シャールさんの店を訪ねたとき、久しぶりに男の恰好をしている姿に愕然とします。いつもは女装を否定する柳田なのに。
 やりとりの中で、柳田を「親友」と語るシャールさんにニヤリとしてしまいます。柳田は照れて「知り合い」なんて言ってますが。

 あとは、発達障碍の疑いのある子どものいるお母さんや、派閥に悩む派遣社員、マンガ家の夢を諦めざるを得ない男が、どうやってマカン・マランにたどり着いたのかが描かれます。
 こういうお店、憧れますよね。
 読み終わったとき、「マカン・マラン」にも「ンが二回ついている」と思ってしまいましたよ。

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