くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「兄の終い」村井理子

2020-12-27 20:05:20 | エッセイ・ルポルタージュ
ツイッターで見かけて、いつか読んでみたいと思っていた本。久しぶりに一気読みしました!
村井理子「兄の終い」(CCCメディアハウス)。舞台は宮城県多賀城市!

琵琶湖のほとりに暮らす村井さんに、ある日塩釜警察署から電話がきます。確執のあった兄が、突然亡くなったと。発見者は小学生の息子(筆者にとっての甥)。
離婚した元妻、娘、叔母とともに現地に向かい、様々な手続きと住居の始末をしながら、兄の人生と自分との関わりを見つめていく作品です。

学生時代は優しくて、様々な特技を持っていた兄。しかし、会社が倒産してからは自分の生活を立て直すことができません。
母親と共依存のような関わりを持ちながら、突然宮城県に転居し(出身は静岡県とのこと)、何かにつけて妹をけなしていく。新居の保証人になってほしいと言いながら、頷かずにいると暴言を吐き、次いで母親から取りなしの電話がくる……。
そんな兄が暮らしたアパートは、異臭とたくさんのモノで溢れていました。
ベッドマットを外して捨て、ペットの亀と魚を小学校に預かってもらい、息子を引き取る書類を作る元義妹と行動し、その傍らで様々なことを記録していく。

途中で「多賀城跡」について、
「やっぱりあるんだね、お城の跡! あの人、お城が好きだったから、そういう理由で多賀城を選んだのかもね」
という台詞があるのですが。
……多賀城跡って、いわゆる「お城」ではないですよね、古代の城柵ですから。
でも、きっと村井さんと義妹さんにとっては仙台藩の出城みたいな印象が残ったんだろうなと思います。

亡くなってから改めて考えた兄のこと。
もっといろいろなことを知っておくべきだった、という思いは、でもやはり失ったからこそそう思うのではないかとも感じました。
村井さんは私と同年代。身近な人も、自分も、不意に何があってもおかしくない年齢なのですね。

ところで、著者略歴で村井理子さんとはあの「ぎゅうぎゅう焼き」の村井さんだと知りました。えーっ、お仕事ジャンル幅広くない?

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