くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「母性」湊かなえ

2013-04-27 19:04:43 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 昨日、生徒に休日の過ごし方を訊かれたんです。
「うーん、子どもと遊んだり本を読んだり……」
「子どもとどんな遊びをするんですか」
 そこで、ふと気づいてしまいました。同じ部屋にいるけど、遊んではいないな……と。大体わたしは何か読んでいて、子どもは二人で話しているかゲーム。し、しまった。母として駄目じゃん!
 だもんで、夜は娘を抱きしめて寝ましたよ。
 湊かなえ「母性」(新潮社)。湊さんの小説を読んでいるととても嫌な気持ちになるのに、なぜか次から次へと読んでしまう。しかも、今回は珍しくハッピーエンドで後味悪くないのに、それが不満なんて、どうなのか。
 二階の窓から転落した女子高生。事故か自殺か。発見した母親のコメントは、「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて信じられません」
 その記事を読んだ若い英語の教師は、この事件に興味をもち、前任高でその子を教えていたという同僚の国語教師を誘って、居酒屋に向かいます。
 もう途中からこの人が何者なのかは予想がつくのですが、なにしろ湊さんだし、そのあとどんでん返しがあるものと思って読んでいたんですけどね。
 「夜行観覧車」のときもそうでしたが、母親と娘では同じものを見ていても解釈が違うんですよね。でも、二人ともいわゆるツンデレで、相手には愛してほしいと思っている。どちらもおばあちゃんが大好き。周囲を見る目も同じなんですけどね。でも、思ったようには人は動かない。
 全体をリルケの詩が彩り、母親になってもなお自分の母を求めてやまない女性と、その娘の手記が交互に描かれます。リルケを好きだったのは、妻の母親。彼女こそ自分の理想の女性だと思った田所も、根本的なところでは亡くなったおばあちゃんを慕っていたのかも、と思ってしまいます。
 彰子さんのオルグの話が興味深いですね。読者は絶対騙されていると分かるんですよ。でも、読み進めると、田所のお母さんも水晶玉を買わされていることが分かる。
 ところでわたし、最近十時前に眠くなる毎日で、朦朧とした中で読んでいるために伏線を飛ばしてしまったのでしょうか。娘の名前が最後になって明かされるのは、何か意味があるのでしたかね?
 ワインの瓶と二時間ドラマの話は、ちょっとおもしろかった。