くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「お友だちからお願いします」三浦しをん

2013-04-22 20:49:16 | エッセイ・ルポルタージュ
 今日の帰りにスーパーに寄ったら、不意に桃がのった杏仁豆腐が食べたくなりました。おそらく昨日読んだいただきもののものすごくおいしい桃と、夢で黙々と杏仁豆腐を切る話が頭に残っていたのでしょう。
 三浦しをん「お友だちからお願いします」(大和書房)です。ふと時間があるときに、ぱっと本を開いて読むにはうってつけなんですよね、三浦さんのエッセイ。おなじみの弟さん、ご両親、お友だちのあんちゃんといったメンバーに、楽しく過ごさせていただきました。
 レギュラー連載と違って、新聞や雑誌に改まって書いたものだという話ですが、いやいやいやいや、どこから読んでも三浦しをん。途中で止まっている別なエッセイも完読したくなる爆発力です。(言い訳しますが、読みかけの方は再読です)
 なんで身辺にそれほど強烈な出来事が重なるんでしょうかね。いや、それも三浦さんの語り口が読ませるのですよね。お蕎麦屋さんでチャンネル変えられちゃったり、アパートに雀のひなが落ちてきたり、友人が地下鉄でいちゃつく男子を目撃したり、という事例以上に三浦さんの「考察」の部分がわたしにはおもしろい。
 例えば、花粉症について。花粉症であることをコミュニケーションの手段だと考える項があるんですが、これが「月を見ると全身に毛が生える」というアレルギーだったら恐ろしく孤独だろうと感じるっていうんです。この感じ方が独特ですよね。誰かと症状について語り合いたくとも、狼男だから逃げられてしまうっていうんですよー。
 わたしの弟は、花粉症が世間に認知される前から発症しており、原因がわからないままあちらこちらの病院にかかっておりました。誰とも分かち合えない。しかも、弟以外家族にアレルギー持ちはいまもいません。
 ほかにも青森にキリストの墓を見学に行くとか旅先でお母さんに悩まされるとか、いろいろエピソードはあるのですが、「走れメロス」の感想文を書かせる講座を担当したときに、メロス以外の登場人物になりきってその遭遇を書いてみては、と提案したら劇になったり絵になったりしたというところが、わたしには興味深かった。
 これ、実は年齢のマナーについての前振りなんですけど。
 本を読むって、自分の関心に引きつけての解釈が多いのかも。無理やりですかね。