くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

宮沢賢治記念館

2013-04-01 05:11:46 | 〈企画〉
 夫と花巻に行ってきました。宮沢賢治童話村と記念館、二館で五百五十円でした。
 すごく寒くてどうしようかと思うくらい。雪までちらついて、館内の暖房が嬉しい。前に行ったときは夏だったので、広場を走り回っている子どもも多かったんですが、銀河トレインも運休。リボンフラワーのおきなぐさが素敵でした。賢治の世界をログハウスで紹介しているところがあって、わたしはそこが好きなんですよね。入り口付近では賢治が作詞作曲した「星めぐりの歌」が流れています。いい曲ですよ。
 急ぎ足で回って、記念館に行きました。いつも思うけど、坂がものすごい。急だしカーブしてるし。
 わたしは高校生のときに初めて来てから、五回くらい来館していると思うんですが、今回は「スペース」だの「ビブリア古書店」だの「花もて語れ」だのを読んでいたので、なんだかこれまでよりもじっくり見られたように思います。
 例えば、農学校を退職すると決意した賢治が教え子に書いた「告別」という詩。
 展示を読んだ時点で非常に胸に迫ってきました。で、つい最近これを何かで読んだはずだという確信があるのですが、それが思い出せなくてイライラするんですよ。うー、うー、と考えていたらひらめきました。平田オリザ「幕があがる」! 先生が女優になるために学校をやめるとき、演劇部の部長高橋さおりに伝えた詩です。あぁ、重なるんだな、と感無量でした。
 この物語は、賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしています。そのことも含めて、なんともしんみりとしました。
 実をいうと、わたしはそれほど賢治が好きではありません。高校の文化祭で企画展示したことがあるし、短編をいくらか読んだくらいで。でも、賢治を愛する人たちの情熱のようなものが、感じられます。
 あとは、棟方志功が描いたという挿絵や、賢治が自分で描いた「月夜のでんしんばしら」の絵も味がありました。(上手なんです)
 平泉を訪れたときの資料を集めた企画展をしていました。修学旅行でいったそうです。こんなのを詠んでいますよ。
「桃青の夏草の碑はみな月の青き反射のなかにねむりき」
 桃青は芭蕉の昔の筆名ですね。義経の時代に思いをはせた芭蕉のことを、後年賢治が思う。そのつながりが、しみじみと伝わります。