くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「十二国紀」4 小野不由美 

2013-03-20 05:39:20 | ファンタジー
「華胥(かしょ)の幽夢(ゆめ)」
 〈十二国記〉番外編。……既刊は、もうない。
 シリーズ中の様々な人物に焦点をあてた短篇集。しかし、それぞれの国でいろんなことが起こっているから、どれがどうなっているのやら……。一度整理してみるかと思って、地図の側に王と麒麟の名前を書き入れてみた。これだけでも、少し頭の中がまとまる気がする。さらに、『十二国記公式アニメガイド』を見ると、話の流れや人物をつかむにはいいかも。
 さて。
 収録されているのは五編。南の漣国を訪れた泰麒の話。祥瓊の父を伐った月渓が王位の代行をするまで。楽俊と陽子の手紙を通しての友情。利広と尚隆の交流。
 そして才国の前王砥尚(ししょう)が禅譲するまでを描いた『華胥』。 私はこれがいちばんおもしろかった。ミステリ仕立てでシリーズの他の巻を読まなくても物語に入っていける。でも、『アニメガイド』をみてはじめて、王の叔母・慎思が現在の采王・黄姑だと判った。えええー、そうなのー?
それで『風の万里 黎明の空』ではあんなおばあさんだったんだ! 読み返したら、ラストで朱夏が慎思に「黄姑」と敬意を表すシーンがあったよ! ううー全然気づかなかったぞ。みんな最初から判ってるの?  この話のあと、彼女が登極するまでにもいろいろあったんだろうなぁ。采麟は最初からこちらを選んでおくことは、できなかったのか。
「私は人を非難することは嫌いです」という台詞は考えさせられる。

 おまけです。
「東亰(とうけい)異聞」
 産前産後ものすごい勢いで読書ができた私には珍しく、三日もかかった。
というのも、前半だらだらと関係なさそうな描写が続いて、やっとおもしろくなったのは二章の途中から。友人がおもしろいとほめていたと聞いたので手に取ったものの、ほんとにぃぃと疑りながら読みすすめていたのが、俄然勢いを増した。もうその後は一気に読んだよ。
 特に四章は、「えっ、そうなの?」、そして「大詰」でやられたッ! びっくりです。そうくるか。前半や各章の冒頭についている浄瑠璃の意味がやっと判った。さらに、「東京のパラレルワールドである東亰」でなくてはならない理由も。
 しかし、本文にもそんなこと一言も書いていないのに、単行本が出たときの読者は、どうしてこの舞台がパラレルワールドであることを知ったのだろう。帯かな? 読んだことのない私でも随分前から知っていたから、周知の事実なのでしょうか。
 名家の長男として生まれながら、何も持っていない直(なおし)と、その弟で呪者の輔(たすく)が好きだ。
 明治の闇のほの暗さとレトロな
、雰囲気もいい。
 あらすじは敢えて紹介しないので、この仕掛けに驚きたいなら読んでみて。ただ、相手のことを思いやりすぎて滅していく直と常(ときわ)の哀れさは美しいけど、そのための手段の細工をしている姿を実際に行っている姿を想像すると何か……うう、もっと別の手段があったのではないのー? と思うのだが。

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 というわけで、「十二国記」をものすごい勢いで読んで、今度は欲求不満状態だったかも。でも、すごく続きが気になります。
 この時期の日記にはまだ本についていろいろ書いてあるので、また時間を見つけて書いてみますね。