出産当日に書いた文章ですね(笑)。やっぱり文章ってタイムマシンだわー。そのときのことがいろいろと浮かび上がります。
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「図南の翼」
十二国のなかでも最年少(十二歳!)の王・珠晶(しゅしょう)が、豪商である家を飛び出して登極するまでの物語。最年少といっても、王侯に関わるものは仙籍を所有するから年を取らないだけで、陽子が景王になったときには、もう彼女は九十年も恭国を治めている。
これを読み終わったのは、二二時二二分。携帯の画面を見たらぞろ目になっていて、ちょっと笑った。
実は私、この日第二子を出産するために入院したんだけど、陣痛が遠のいてしまって、ただ泊まりに来ている状態だった。読み終わって、さて寝るか……と思ったら、そのうち再び痛みがやってきて、あれよあれよという間に、早朝、女の子を産みました。
陣痛というのは、痛みと痛みの間にまるで何でもない時間があるものだが、その間私の頭の中には、まだ珠晶の冒険の余韻が残っていた。白兎を盗まれたときの悔しさ、黄海で迷子になったときの不安。ちょっと生意気でこまっしゃくれた珠晶と、困惑しながらも彼女を助けようとする猟尸師(りょうしし) 頑丘(がんきゅう) 、旅人の利広。妖獣の住む黄海を旅して蓬山に至るまでに、幼い彼女の王としての「器」が示されている。これ、同年代の子が読んだら、ぜったいはまる!
なんといっても珠晶の思いきりの良さ、勝ち気な顔の裏にのぞく健気さがいい。
前作『風の万里 黎明の空』で、恭国の少女王は印象的に登場しているし、文庫裏のあらすじで結末は判っているんだけど、収まるべき所に話が収まっていくのは、安心して読めるものだ。
実は、入院中読もう! と荷物に準備しておいたのは、二作目の『風の海 迷宮の岸』だった。どうしても我慢しきれなくて次々と手に取って、結局既刊は全部退院前には読み終わってしまった情けない私……。
さらに、かなり前に全巻買ってしまっていたので、この話のあらすじを読んだときには、主人公の身近な人が王に選ばれるのだろうなーと誤読していた。てっきり自分が王になるとばかり思っていた女の子が、それで身の程を知る話なのかと……。だって、こんな書き方では誤解しない? しないか……。
何不自由なく豪商の娘として育った少女・珠晶は先王の歿後、荒廃した恭国を憂い自ら王となるため蓬山を目指す。侍女の衣を失敬し家を抜け出したものの騎獣をだましとられ、苦難の末に辿り着いた蓬山には自らを恃む人が溢れていた。だが、最後に麒麟が跪いたのは……。十二国供王誕生への遠大なる旅の物語!!
「黄昏の岸 曉の天(そら) 」
やっぱり、戴国と驍宗のことは気になるよー。
なぜ、高里は還ってきたのか。彼の側についているモノは何か。彼が戻るべき場所は何処なのか……。この謎が今回解けたものの、驍宗は果たしてどうなったのか、泰麒はこれからどうしていくのかという新たな謎が出てきてしまった。でも、新刊は出ない。ううう。
慶国金波宮に突然飛来した騎獣と女。女は戴国将軍劉(李斎)と名乗る。彼女の口から語られたのは、戴国で王を陥れる策があり、王も麒麟も行方が判らないというものだった。景王の陽子は、自分を頼ってきてくれた李斎のために、十二国の麒麟たちに頼んで蓬莱国での泰麒の探索を行う。麒麟としての資質を封じられた泰麒は果たして戻ってくることができるのか。
前回『魔性の子』を読み返しておいてよかった! 細部まで楽しめた。私は李斎が好きなので、彼女が片腕を失ったときには心が痛んだ。驍宗が誰に陥れられるのか、そう思うとはらはらして一刻でも先に読み進めようと思ってしまう。十二国の他の国の王も姿を現して、この世界の構成をもっと知りたくなってしまう。
産後なのにえらい勢いで本を読んでいていいのか私! と言いたくなるが、長男を産んだときには、『伊東家の食卓 二〇〇一』と『声に出して読みたい日本語�』を読んでいたっけ……。
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「図南の翼」
十二国のなかでも最年少(十二歳!)の王・珠晶(しゅしょう)が、豪商である家を飛び出して登極するまでの物語。最年少といっても、王侯に関わるものは仙籍を所有するから年を取らないだけで、陽子が景王になったときには、もう彼女は九十年も恭国を治めている。
これを読み終わったのは、二二時二二分。携帯の画面を見たらぞろ目になっていて、ちょっと笑った。
実は私、この日第二子を出産するために入院したんだけど、陣痛が遠のいてしまって、ただ泊まりに来ている状態だった。読み終わって、さて寝るか……と思ったら、そのうち再び痛みがやってきて、あれよあれよという間に、早朝、女の子を産みました。
陣痛というのは、痛みと痛みの間にまるで何でもない時間があるものだが、その間私の頭の中には、まだ珠晶の冒険の余韻が残っていた。白兎を盗まれたときの悔しさ、黄海で迷子になったときの不安。ちょっと生意気でこまっしゃくれた珠晶と、困惑しながらも彼女を助けようとする猟尸師(りょうしし) 頑丘(がんきゅう) 、旅人の利広。妖獣の住む黄海を旅して蓬山に至るまでに、幼い彼女の王としての「器」が示されている。これ、同年代の子が読んだら、ぜったいはまる!
なんといっても珠晶の思いきりの良さ、勝ち気な顔の裏にのぞく健気さがいい。
前作『風の万里 黎明の空』で、恭国の少女王は印象的に登場しているし、文庫裏のあらすじで結末は判っているんだけど、収まるべき所に話が収まっていくのは、安心して読めるものだ。
実は、入院中読もう! と荷物に準備しておいたのは、二作目の『風の海 迷宮の岸』だった。どうしても我慢しきれなくて次々と手に取って、結局既刊は全部退院前には読み終わってしまった情けない私……。
さらに、かなり前に全巻買ってしまっていたので、この話のあらすじを読んだときには、主人公の身近な人が王に選ばれるのだろうなーと誤読していた。てっきり自分が王になるとばかり思っていた女の子が、それで身の程を知る話なのかと……。だって、こんな書き方では誤解しない? しないか……。
何不自由なく豪商の娘として育った少女・珠晶は先王の歿後、荒廃した恭国を憂い自ら王となるため蓬山を目指す。侍女の衣を失敬し家を抜け出したものの騎獣をだましとられ、苦難の末に辿り着いた蓬山には自らを恃む人が溢れていた。だが、最後に麒麟が跪いたのは……。十二国供王誕生への遠大なる旅の物語!!
「黄昏の岸 曉の天(そら) 」
やっぱり、戴国と驍宗のことは気になるよー。
なぜ、高里は還ってきたのか。彼の側についているモノは何か。彼が戻るべき場所は何処なのか……。この謎が今回解けたものの、驍宗は果たしてどうなったのか、泰麒はこれからどうしていくのかという新たな謎が出てきてしまった。でも、新刊は出ない。ううう。
慶国金波宮に突然飛来した騎獣と女。女は戴国将軍劉(李斎)と名乗る。彼女の口から語られたのは、戴国で王を陥れる策があり、王も麒麟も行方が判らないというものだった。景王の陽子は、自分を頼ってきてくれた李斎のために、十二国の麒麟たちに頼んで蓬莱国での泰麒の探索を行う。麒麟としての資質を封じられた泰麒は果たして戻ってくることができるのか。
前回『魔性の子』を読み返しておいてよかった! 細部まで楽しめた。私は李斎が好きなので、彼女が片腕を失ったときには心が痛んだ。驍宗が誰に陥れられるのか、そう思うとはらはらして一刻でも先に読み進めようと思ってしまう。十二国の他の国の王も姿を現して、この世界の構成をもっと知りたくなってしまう。
産後なのにえらい勢いで本を読んでいていいのか私! と言いたくなるが、長男を産んだときには、『伊東家の食卓 二〇〇一』と『声に出して読みたい日本語�』を読んでいたっけ……。