団塊の世代のすぐ後に生まれた者として、やっておかなくてはならないことは、戦後体制の総決算である。世界は暴力の海のただなかにあるのに、日本人が憲法9条を口にすれば、平和が維持されるという甘い見方は、すぐにでも改めるべきだろう。民主党政権が誕生し、鳩山由紀夫、菅直人という団塊の世代が総理大臣になって、なおさらその傾向が強まった。このため、現実とのギャップによって、政権運営がままならなくなっており、大幅な軌道修正を迫られている。戦後の日本は、世界の平和を達成するために、応分の負担をすると言う気概を失った。連合国による日本弱体化によって、実力を行使する力を奪われたからだ。しかし、それでも歴代の自民党政権は、憲法の制約下であろうとも、それなりの国際貢献を模索してきた。しかし、民主党政権になっては、それが大幅に後退した。目前に迫った民主党の代表選でも、そうした国家論をめぐっての議論はなおざりにされたままで、権力の争奪に血眼になっているだけだ。それでいて、その場しのぎに終始する菅首相は、中国への警戒感から、米国との軍事的な同盟関係の強化に踏み切ろうとしている。国家観と戦略を欠いているために、日本自身が主導権をとれず、米国の言いなりである。戦後体制を否定するというのは、自国の領土は自国で守るという原則を貫くことであり、米国との役割分担を明確にすることだ。清水幾太郎は晩年になって「日本よ国家たれ」と訴えた。六十年安保闘争で、全学連主流派と行動を共にした清水は、国家ビジョンという羅針盤を日本が持つことを望んだのだった。これから予想される政界再編のキーワードは、まさしくそれではなかろうか。漂流を続ける日本丸では、前途が危ぶまれてならないからだ。
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