今の経済学の論争は需要重視か、それとも供給重視の違いかだといわれる。そもそも景気をよくするための処方箋が異なるのだ。このことについて上条勇が『 グローバリズムの幻影』のなかで分かりやすく解説している。「ケインズ経済学は、需要重視の経済学であるという特徴づけがなされる。ケインズ主義のもとで行われてきた累進課税政策は、消費性向の高い低所得層へ所得を再分配することを通して、消費を拡大することを意味した。また、減税政策は消費拡大政策を意味した」のである。それに対して新自由主義は供給重視なのである。投資を活発にし、経済を活性化するためには、民間活力が大事だとして、金持ちを優遇しようというのだ。減税をする場合でも、貧乏人は対象外なのである。それよりも「金持ちに対して減税するならば、貯蓄を増やし、やる気を出して投資を活発化していく。こうして、経済が発展し、その結果として財政収入も増える。減税するとかえって税収が増える」という考え方である。新自由主義が批判されるのは、そうせいなのである。規制緩和もその流れであり、金がある強者に活躍の場をどんどん与えようというのだ。これでは経済的弱者はたまったものではない。負け組は徹底的においつめられてしまうのである。レーガン政権以来アメリカは供給重視の経済政策を進めてきた。その結果が格差社会の拡大なのである。日本も小泉政権時代にそれを実行してとんでもない目にあった。その過ちを安倍政権は繰り返すべきではないだろう。そんなことをすれば、喜ぶのは日本の国柄を破壊しようとする勢力である。
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