三島由紀夫にとっての右翼とは、一口で言えば体をはる人間のことであった。口先だけでは右翼ではないのである。大東塾が靖国問題で実力行使に及んだことを三島は高く評価したのである。靖国の霊を国が神道の祭祀に従って顕彰すべきであるのに、それがねじ曲げられることを怒ってぶん殴ったのである▼三島の言い分は明快である。「政治家をぶんなぐることがいいかどうかはわからない。ただ影山氏の塾の人がやったことは、ある一つの思想をとおすには、どうしても法的にも、議会政治の上でも、どうしてもとおらない。しかしそれが日本にとって本質的なものだと考えたら、あの方法しかないんじゃないですか。その方法の良し悪しというよりも、あの方法しかないからやったんでしょう。そういうふうな、どうしてもやらなければならんことで、ほかに方法がないということをやるために右翼団体というものはあるんだと思うし、塾というものがあると思うんだ」(林房雄との対談「現代における右翼と左翼」)と述べたのである▼自らが決起することを計画していたから、ついつい本音が出たのだろう。とくに権力に対しては番犬にならずに、厳しく対応するのが本来の右翼なのである。サヨクにもしばき隊というのがあって暴力を肯定しているようだが、あくまでも二番煎じでしかない。これまでの経過からしても、右翼団体がその道ではプロなのである。
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