草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

夢想に賛成するために現在と未来を拒否する危険な暴徒の登場!

2020年06月15日 | 思想家

戦後の一時期は日本の大学はマルクス主義一辺倒であった。現実の暮らしを論じる経済学までそうであったのだから、とんでもない時代であった。偉そうな肩書の学者の論文は、日本が帝国主義か、それともアメリカの従属にあるか、日本は市民革命を経ていないかどうかをめぐって、それこそ口角泡を飛ばす激論がたたかわされていたのである。現実の世界がどうなっているかよりも、マスクスの文献のどこに何が書いてあるかが重要だったのである▼ソビエトが崩壊したあたりから雲行きが変わってきた。人権とか平和とか環境保護の方に左翼がシフトするようになった。明確なイデオロギーではないので、反論がしにくいから、結構支持者も増えた。共産主義者や無政府主義者が危険な存在であったように、それらを主張する理想主義者もまた、危険な存在なのである▼レイモン・アロンは「夢想に賛成するために現在と未来とを同時に拒否することは、崇高なことではなくて、ばかげたことである」(『歴史哲学入門』服部春彦訳)と書いている。夢想を実現するために暴力を振るうことで、一体何がもたらされるのか、米国で騒いでいる暴徒はその典型である。共産主義という妖怪は姿を消したが、未だに軽薄な理想主義者が跳梁跋扈している。今を真剣に生きるために、どう決断すべきかが問題なのであり、破壊のための破壊は断じて許されないのである。


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次に備えよ! (嫌韓有理)
2020-06-16 14:47:56
 「米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間16日午前4時半の時点で、累計感染者数は約796万7千人、死者数は43万4千人だった。中南米地域の数字が反映されておらず、現地時間15日中に800万人を突破するのは確実な情勢だ。国別では米国が感染者・死者数とも世界最多で、ブラジルが続く。感染の震源地は新興国に移っている。現在、新規感染者が多いのはブラジルやパキスタン、インドといった国が中心だ」(2020/06/16 日本経済新聞)。

 イタリアやニューヨーク市では、新型コロナウイルスによって“医療崩壊”が起こり、誰を助け、誰を見捨てるかを選ぶ“トリアージ”が行われ、その結果、高齢者を見捨て、若い人を助ける措置が行われた。つい先日のことだ。

 だが、早くも夜の街には賑やかさが戻りつつあるという。人間は、どんな辛いこと、苦しいこと、恐ろしいことでも、いつかは慣れる。そして平穏な日々が続けば、辛かったこと、苦しかったこと、恐ろしかったことを、忘れてしまうのだ。ならば、コロナ第2波の到来は必至であろう。それは、より深刻な経済危機を連れてくるだろう。

 そのとき、何がおきるだろうか? 
 「若い女性は外国に行って売春し、転落した団塊ジュニアと資産を作れなかった高齢者は無人島や埋立地に追いやられる。社会から隔絶されたその地域には酒やドラッグに溺れた中年男性がたむろし、認知症の老人が暴れたり徘徊している。朝になると凍死した死体が何体か転がっているけれど、行政サービスが極端に削られているのですぐには回収されずに放置されている。そんな暗澹たる光景が見えてくる」(中村 達彦)とまで言う人もいる。

 なにしろ、現状のママであっても、「老後破綻という言葉を聞いて久しい。現在、生活保護受給者の半数以上が65歳以上の高齢者で、しかも年々増え続けているのが現実だ。元々、平均的なサラリーマンが一人でもらえる厚生年金は、税金や社会保険料を差し引かれると生活保護レベルと変わらないほど安い。
 税金や医療費が無料になる生活保護の方がいいかもしれないくらいなのだ。そして夫婦二人世帯でなんとかギリギリやっていけるのだが、離別や死別で一人になった途端、たちまち困窮してしまう。事実、高齢者の生活保護受給世帯の9割が単身者なのだ」(大村 大次郎)。

 下級国民であり下流老人である、わたしに厳しい時代になることは間違いない。しかし、元々が、4畳半の間借り、共同トイレ・共同炊事に銭湯通いから始まって、「ボロは着てても こころの錦どんな花より きれいだぜ 若いときゃ 二度ない どんとやれ男なら 人のやれないことをやれ」(「一本どっこの唄」♪ 水前寺 清子)と、やってきたのだから驚くほどのことではないのである。
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