江藤淳に「戦々兢々(せんせんきょうきょう)」というエッセイがある。江藤は陸奥宗光を政治家として高く評価する。陸奥は日清戦争の開戦と、日英条約の改正、議会の解散を、わずか一カ月の間にやってのけてしまったからだ。陸奥には「戦々兢々と薄氷を踏むような思いで事に処すという精神」があったというのだ▼その一方で江藤は、勝海舟の弟子で二代目の日銀総裁であった冨田鉄之助の陸奥批判も、的を射ていたとの見方をする。外相であった陸奥と首相の伊藤博文が姑息にも、内政上の失敗を覆うために、開戦と選挙とを同時に行って日本を戦争に引きずりこんだことを問題にしたからである▼陸奥は国家の舵取りをする責任を痛感していた。これに対して批判的な者たちは揚げ足取りではなく、冨田のように本質的な議論を展開した。がっちり四つに組んでいたのが明治という時代であったというのだ▼翻って戦後の日本はどうであったろう。江藤は外交がなおざりにされていることを嘆き、大衆民主主義の弊害に危機感を抱いたのだった。「ところが人口一億余り、国民は男女とも参政権を持っているという大衆民主主義の今日、批判は揚げ足取りばかりだし、政府・与党はぼんやりしている。図体だけでかけなって、脳みそがといさくなったという印象を与えているのはまことに困ったことです」。今の日本は中共の脅威に直面しており、政治家も国民も明治の気概を取り戻さなくてはならないのである。
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