中学生が日頃感じる疑問をQ&A形式で解説した『戦争するってどんなこと?』(C・ダグラス・ラミス著/平凡社)を読んでみました。
発行は2014年7月ですから、今の時局にぴったりの内容です。中学生の君たちはもしかしたら日本が戦争に参加するようになって徴兵制もあるかもしれない。その時に日本政府がどうするかは分からないですが国によっては「良心的兵役拒否」の制度があります。ナチスの時代には拒否者は死刑、戦時中の日本でも拒否制度というのは聞いたことがありません。赤紙による招集を拒否したらすぐに憲兵が来て逮捕されたことでしょう。
アメリカでは軍隊に入れるのは18歳から。親の許可があれば17歳からも・・なんだか急に浮上してきた「18歳選挙権」の動きとかぶりますが私の思い過ごしであってほしいと願います。
基地は「戦争の磁石」
著者のC・ダグラス・ラミス氏は1936年、米国生まれ。元海兵隊将校で沖縄にも駐留経験があります。大阪外大の日本語科で学び津田塾大から沖縄国際大教授に。本書では「沖縄について」も1章を設けていますが琉球王国の歴史にも精通されています。琉球王国の尚泰王は明治政府に基地だけは置かないでほしい、と願いましたが・・。基地は敵を呼び寄せる「戦争の磁石」とも。同氏は「日本は今、人々の気持ちが戦争を許す方向に傾いている」と危惧されています。
日本は第二次大戦後軍事行動はとらず、一度も人を殺していません。一方、同盟国のアメリカ合衆国は、1950年からの朝鮮戦争を始めベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など実に30回近い軍事行動をとっています。そのちがいは、ひとつに日本に憲法9条(平和憲法)があったからだと思われます。
止められない戦争中毒
なぜ戦争になるのだろう。
「領土」「資源」「軍需産業」「宗教」・・
資本主義産業は消費率を、つねに上げなければなりません。大量消費をする戦争は、皮肉なことに景気を回復させます。そこで「戦争中毒」という言葉も出てきます。
本書は中学生と言わず選挙権を持っていても、それをしっかり考えて行使をしていない大人たちにもぜひ読んでいただきたいものだと思いました。
C. ダグラス・ラミス 語るに落ちる:麻生副総理の憲法改正発言「ナチスに学べ」のほんとうの意味