「平和なくして平等なし
平等なくして平和なし」
故市川房枝のモットーです。
「憤慨バアさん」とは青島幸男(元都知事・作家)が市川房枝につけたものらしい。「私は憤慨しとるんですよ!」が口癖だったからとか。
今、市川房枝が生きていて震災後の政治状況を見るならばきっと連日「憤慨しとるんですよ!」の連発なのではないでしょうか。
彼女の掲げた「理想選挙」。派手な金のかかる活動は一切せずに、清潔質素に徹した選挙のあり方。その流れは一時、青島幸男に受け継がれていたかもしれない。今日でいえば山本太郎がそれに近い気もするが市川房枝のそれとはまた少し違うようにも思えます。
筑摩書房編集部の新刊書『市川房枝』では、戦中の「やむなき方向転換」の記述もありました。各団体が大政翼賛会に解消される中で、市川房枝は大日本婦人会審議員として大日本言論報告会理事に任命された。戦後そのことが理由で公職追放になりました。女性の悲願の参政権獲得、地位向上のために時代のうねりの中で悩みながらの苦しい妥協は止むを得なかったように思います。
戦後、女権こそ向上をみせたものの戦争参加に向けた法整備は急ピッチで進み「平和」は脅かされています。ブラック企業は減ることなく一方、非正規雇用が当たり前のように増えています。所得格差は拡大し「平等」も危ぶまれる。不明朗な政治資金、さらに追い銭のような政党助成金は政治浄化に結び付いていない。「理想」とはほど遠い汚れた政党政治を前に、今こそ市川房枝的な政治家、政治潮流の出現が待ち望まれています。
市川房枝: 女性解放運動から社会変革へ | |
ちくま評伝シリーズ 筑摩書房編集部 | |
筑摩書房 |
写真:理想選挙を話し合う木工さんたち(撮影:田口大輔)
映画 『八十七歳の青春-市川房枝生涯を語る- 』