ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

ゆがんだ報道に喝!江森啓治著『秋篠宮』

2022年06月26日 | 研究・書籍
弟として、父として、皇嗣として何に苦悩され何を考え、何を語られたか。秋篠宮邸に合計37回通ったジャーナリストの率直な対話の記録。

著者は毎日新聞客員編集委員。これまでにも『秋篠宮さま』(毎日新聞社)が出ている。今回、「さま」が無いので一連の週刊誌のような批判的な内容なのかと一瞬思ってしまいましたがその心配は無く、きわめて客観的、公平な記述で好感の持てる内容でした。

それにしても昨今の週刊誌のお下劣きわまりない秋篠宮家に対するバッシングには閉口しています。女性誌のほかに一流と目されるメディアまでが皇室批判報道に明け暮れているさまは、実に見苦しい。

最近の眞子内親王の結婚問題以外に、本書では過去の報道についても触れている。例えばクリントン大統領の来日歓迎の宮中晩さん会に秋篠宮がタイに行き欠席されたことを「公務を放り出し私的なナマズ見学など言語道断」と当時の週刊誌評。さらにそこから尾ひれが付いて「殿下は親しくしているタイ女性に会うためではないか」とまで。

真相はこうだ。ナマズの研究は阪神淡路震災で延期になった。クリントン来日も変更になった。タイ調査は事前に天皇陛下に了承済み。これまでも晩さん会を欠席した皇族は少なからずいた。米国であろうとタイであろうと差をつけるわけにはいかない。タイ女性報道に関してもまったく根も葉もない話。

加熱する報道に対しては、秋篠宮はある種の諦観を感じられているようだ、とも著者。

誤解された報道に対しても、一般国民のように感情をむき出して怒ることも、簡単に訴え反撃に出ることもまかりならない皇族の方々。本書を読んでいて、特権と不自由さがセットになっているようで気の毒でならなかった。

東京三洋電機、ご見学に

秋篠宮殿下が学習院初等科に在学の1978年2月、群馬県大泉町の東京三洋電機に社会科見学の一環でお見えになった。「礼宮さま、ご見学に」の様子が同社の社内報グラフニュース25周年特集号に載っている。ちなみに紀宮さま(黒田清子さん)は1982年3月に東京三洋電機の工場見学にお越しになっています。少なからず関係したものの一人として感慨深い。


選挙権など参政権はお持ちにならず、社会の事象に対しても公平を重視されご自分のご意思をストレートにお出しにならず抑制した対応をされる皇室の方々。秋篠宮も新聞は各紙お読みになれるようですが、新聞下の週刊誌広告、下世話な見出しだけを目にしただけでもさぞ、心を痛めていることとお察しいたします。メディアの罪は軽くはない。

一人の人間としての秋篠宮殿下を焦点に描かれた本書『秋篠宮』。新しい時代の皇室のあり方を深く知ることを願った著者の気持ちは、十分伝わり受け止めることができました。


 


【秋篠宮さま】56歳の誕生日で会見 長女・小室眞子さんの結婚などについて話される
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新刊「日本がウクライナに・・」

2022年06月11日 | 研究・書籍
『日本がウクライナになる日』(河東哲夫著 CCCメディアハウス2022年4月発行)を読んでみました。

文明国同士では、ありえないと思っていた戦争が起きた。自由と平和を守るために知っておきたいこと。著者はソ連・ロシアには4度12年滞在の駐在歴があるベテラン外交官OB。

「日本がウクライナになる日」とはいかにも予言めいたタイトルで、どのような内容かと思いましたが題名ほどの扇情的なものではなく、ごく常識的は本でした。むしろ最終章の「日本をウクライナにしないために」これからの安全保障体制、が題名副題にふさわしい。

ロシア軍の弱点は何か?

「素人は戦略を語る、プロは兵站を語る」と言う。著者も「戦争は補給で決まる」とロジステックの重要性を指摘している。
私も感じていたことですが、なぜかロシアの空軍の出動が少ない、姿を見せないのには何か謎めたものを感じる。

今回の宇露戦争の落としどころは?

著者はオーストリアの例をモデルに紹介している。もし宇露両国が互角のまま停戦になった場合、ウクライナの中立化、諸外国による保証を取り付け、先の大戦でドイツに併合され、戦後中立国として再出発したオーストリアが好例になるのではないかという。ぜひ、そういう方向に一刻も早く進んで終結してほしいですね。

日本はウクライナにならないためにどう対処したら良いものか?

戦後の呑気な時代は終わりタブーを振り払って防衛論議を行おう、と著者は問題を提起。
日米同盟とNATO。核兵器をどうとらえるか。「防衛のイロハの学習を」と私たち国民の自覚を促す。

国連改革については、旧敵国条項の削除をさせることを指摘している。ここはもっと突っ込んで解説が聞きたいところでした。

ただ日頃、国防についてのリアルな知識からは縁遠いだけに、進行中の宇露戦争の概略、日本の立ち位置を確認し自覚するうえではとても刺激的な新刊書でした。





【木工さんの写真】制作 矢嶋秀一 / フォト 田口大輔


 
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どうしたら戦火は消えるのか

2022年06月03日 | Weblog
2月から6月に、冬から春を経て夏を迎えてしまいましたが一向に鳴りやまないウクライナの砲火、本当に困ったものです。

原発事故後では国民はにわか“原子力評論家”、コロナ騒動では“感染学者”、今ウクライナ戦が始まってからは、猫も杓子も“軍事評論家”なったかのようです。テレビやネットでは自衛隊OB、職員、これまで縁のなかった防衛研究員が登場。現地の様子や戦況をくまなく解説している。

いま私たちが知るべきことは、そのことだけなのだろうか。
今この時間も、死亡者がでている戦闘をどうしたらやめることができるかの議論や解説が必要なのでは?

B4版の「戦争絶対反対」の反戦ポスターを首から提げて街を行くお坊さんの投稿が載っていました。
(2022年6月3日朝日新聞「声」欄)

投稿者はこのほど8年間の高野山真言宗の修行を経て正式の僧侶になった74歳の新人僧だ。「蟷螂之斧でのいいから、仏教徒としてせめて反戦の意思を示そう」との思いから。

「あなたがそんなことして何になるの?」
「そんなことで戦争はなくならないよ」
「単に自己満足じゃないの」
と言われる・・。


それでも新米の老僧は戦争終結を願って行動をつづけている。

素晴らしい!
私はこのお坊さんの意思を尊重し敬意を表します。
ポポロ通信舎のスピリットにも通ずるものです。

この空しさの空気にまけずに翼をください、がんばりましょう!!





【翼をください】スーザン・ボイル ウクライナ侵攻 戦争反対 Проти війниоргнення в УкраїнуУпіхів NO WAR Wings To Fly Susan Boyle
コメント (2)
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