ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

農基法改定と食糧安保

2024年02月26日 | 経済
「農政の基本方針を定める食料・農業・農村基本法が25年ぶりに見直される。食料安全保障を新たな柱に位置付け、供給不安をが生じる事態への備えを拡充する・・」。本日2024/2/26の毎日新聞社説から。

農業で生計を立てる基幹的農業従事者は、過去20年で半減、平均年齢は70歳近い。
食料の自給率は38%、肥料種子、燃料の輸入依存を加味すれば実質自給率は10%の低さだ。

「農業界の憲法」ともいわれた農業基本法が制定されたのは1961年、農業と他産業との所得格差是正が目的でした。しかし制定からこれまで、農家の多くが離農もしくは兼業化し都市に流出することになってしまった。農業基本法は途中、1999年に「食料・農業・農村基本法」に交代した。このたび岸田政権は「食料・農業・農村基本法」の改定案(新基本法)の提出を試みている。

食料自給率を見ても日本の食と農は海外の食糧戦略に、してやられた情けない状態です。まさにこの分野も“失われたシリーズ”の「失われた60年」版といえそうです。

現行基本法では「食料自給率」への言及がありましたが、今度の改定案では「食料自給率」の言葉がない。自給率の向上はすでにあきらめているようだ。

「主食米の生産を抑えて米価を維持する現在の政策は、食料安保と矛盾する」(毎日・社説)。新自由主義的な発想で農業を見てはいけない。仮に海外との競争力が乏しくとも自国の農業は、生存・防衛上守らなければならない。

原発は燃料を海外から調達、そしてひたすら稼働を続けむき出しに乱配置。さらに食料も深く海外に依存しているようでは、もし有事になったらどうなる?わが日本はイチコロの状態に置かれるのではないでしょうか。

私たち日本で暮らす者の生存にかかわる大事な食の法案が、いつものようにどさくさ紛れで通過しないよう注視していきたいものです。


写真:館林の農家のタヌキさんたち

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中島飛行機の終戦

2024年02月25日 | 研究・書籍
『中島飛行機の終戦』(新葉館出版 2015年)を読んでみました。著者の西まさるは1945年東京生まれ。群馬出身でない中島研究者であるところに興味を持った。
本書は愛知県半田市にあった「中島飛行機半田製作所」の終戦時の業務資料を中心に調べている。当時オール中島で25万人、半田製作所にはその約一割2.6万人が働いていた=動画ご参考

創業者の中島知久平は、豪快な人物で社内は「自由闊達な雰囲気」だったようだ。どことなく三洋電機の創業者と中島飛行機小泉製作所のあとに進出した「自由闊達な社風」の東京三洋電機をも連想させられた。

中島知久平は、早くから軍艦中心を改め航空機に戦力を転換することを主張していた。「アメリカとの国力の差は段違い、戦争は無謀」「米軍の大型爆撃機が量産されれば、日本は焼け野原になる」の発言には憲兵隊が逮捕を検討したとも。今になれば彼の予言は的中していたということになる。

学徒動員と朝鮮人徴用工
本書の第4章「学徒動員と朝鮮人徴用工」は半田製作所の徴用工の記録から、今なお論争の絶えない徴用工問題を解く上でのヒントも得た。

朝鮮半島からの徴用工は「応徴士」(おうちょうし)と呼ばれ、手配師(募集業者)によって朝鮮半島から集められて来た人たちだ。作業内容は会社の指示によるが、直接の雇用関係はなく派遣社員というよりも、外注先、下請け先だ。中間には「組(親方)」が入る。手配者も組もまとめ役は、応徴士の尞の近くの民家に住む。いずれも朝鮮から同行した人たちだ。半田市内の国民学校(今の小学校)には412人の朝鮮人児童が在籍。親は中島飛行機や関連の清水組(清水建設)で働き子供たちは学校に通っていたという。学校でも地域でも庶民レベルでは大した違和感もなく生活していたと当時の住民は語る・・。


平成になり賃金の未払いと慰謝料を求める訴訟が出ているが、「組、親方」を通していたので「未払い」が生じるというシステムにはなっていなかった・・。

中島飛行機の創業者には、大空を仰いでのロマンがあった。いずこも一代目はスケールが大きい。本書では中島飛行機の戦後、苦悶の再建への歩みを記録している。
「中島飛行機」をもう一つ、別な角度から読ませていただき理解を深めることができた。(敬称略)



 


中島飛行機半田製作所
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怪しいぞ 東証市場最高値

2024年02月24日 | 経済
株価の動きが活発です。日経平均株価の最高値更新。3万9千円台は80年代のバブル期以来だと。日本市場の再評価の海外から始まった??いろいろな憶測が飛んでいます。

日本の成人は8人に1人しか株はもっていない。今年1月から新NISA(ニーサ、小額投資非課税制度)が始まった。18歳以上対象、生涯で1千8百万円の非課税枠をうたって新規の投資を狙っている。すでにiDeco(イデコ、個人型確定拠出年金)も走っている。 
そういえば、むかし「財形貯蓄」に、証券型、銀行型、労金型・・などの種類がありましたね。
株価が上がるのは、人気投票に似ていて多くの人がブレークすると思ってファンになるからだ。その最たるものが「バブル景気」。

「資本主義では、時折バブルが起きます。それがいつ崩壊するか、それを予測することは誰もできません。ただこれまでの歴史で、すべてのバブルは必ず崩壊しています」と経済アナリストの森永卓郎氏。これから株や投資信託をやろうとしている人に対しては「生活に影響しない範囲で、投資をするべきでしょう。間違っても老後資金を投資したり、ましてや借金をして投資してはいけません」と忠告されている(「『Moteco』2024/3)。

株式市場では鯨(クジラ)との異名の公的マネーのひとつGPIF(年金機構)。潤沢な年金用資金を、たしか安倍政権下で株支えに投入し消失した記憶があります。モリタク先生(森永卓郎)のアドバイスを政府自身が守っていないことになります。

若い人たちには、新しい資産制度も決してバラ色ではないことを見抜き、今の怪しい株式市場の高揚に流されないでいただきたいと思います。老婆心(老爺心)ながら。




『Bags' Groove』を時々聴いています♪ 学生の頃買ったマイルス・ディヴィスのレコード。1954年12月24日のセッション70年前の作品!
「バグス」の意味が同曲のヴィブラフォン奏者ミルト・ジャクソンのニックネームであることは最近知りました。


【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔

 



Bags' Groove(take 1)- Miles Davis
コメント (1)
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