ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

お寺さんも読めない投資運用

2013年02月28日 | 研究・書籍

 「高野山真言宗 宗会解散 巨額損失 運用失敗 六億八千万円」なんとも生臭いニュースが入ってきた。丁度、『お寺の経済学』中島隆信著を読んでいるところだった。 

戦前、戦中と国家が民衆に神道への帰順を強要しそのことが戦争を助長したとの反省から憲法20条(信教の自由、国家の宗教活動の禁止)の精神に沿って戦後、「宗教法人」の意味づけがなされた。宗教法人の設立は「認可」制よりもはるかにゆるい「認証」制、それも都道府県レベルの審査基準。また認証後においてもモニタリング(監視活動)がきわめて困難な法人といわれている。

宗教法人はタックスヘブン(税避難地)。御守り、お札、おみくじは非課税。法人所有なら相続税もかからない。また、兼業の保育園、幼稚園、学校、マンション分譲なども22%軽減税率が適用。(一般法人税は30%)。その他に高額過ぎるとの批判がある戒名の料金問題もある。
 
空海が泣いている
 
今回、高野山真言宗では、さい銭や信徒のお布施を含む資産を証券会社に委託して金融商品で運用された。信者民衆から預かった浄財は清貧に堅実に管理すべきものなのに、それを財テクに手を出すとは呆れた聖職者たちだ。ただこうしたことは高野山真言宗だけに限ったことなのだろうか。多くの宗教法人に共通したものではないとは言い切れないのでは・・。

今後20〜30年でお寺の数は半分になるともいわれている。少子高齢化で家族葬が増え、家墓の半額の永代供養墓に人気が集まっている。境内などに散骨する自然葬や樹木葬などへと人々のニーズも多様化。法人税制も含めてまさに聖域中の聖域の宗教、及び宗教法人のあり方が問われていると思う。
 
 
お寺の経済学
中島隆信 著
東洋経済新報社
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僕が64歳になっても・・When I'm Sixty-Four

2013年02月24日 | 愛しのオールディーズ

今夜、友人の訃報を受けました。前橋の中学時代からの親しい友人N君。懐かしい妹さんからの悲しい電話でした・・。

ポポロ開園以来の友の昇天

東京在住。「ポポロの広場」にとってはスタートからの来訪者(愛読者)であり住人です。当方が毎回アップするに当たり、自然と目を通していただける人達を思い描いてしまうものです。テーマ別によってもその都度対象は変わりますが、しかしN君はどの話題でも必ず読んでいてくれているだろうと確信がありました。広場へ直接のコメントこそありませんでしたが賀状とメールの交信でも、わずかな添え書きから熟読してくれていることが分かってうれしかった。実際に会っていなくても、ポポロの広場でお互いが同じ時間を過ごしているような感じでした。

中学校2年、3年と同じクラスでしたが、その後も結びつきは強く長かった・・。N君も私もアメリカンポップスが好きで、レコードの貸し借りも頻繁にしました。彼が特に好きだったのはトーケンズの『ライオンは寝ている』。昼休み、この曲を歌いながら私のところに近寄づいてきた彼の姿が今でも思い浮かびます・・。
悲しき街角』でヒットしたデル・シャノンも二人の共通のお気に入りのシンガーだった。

彼の他界の知らせに接し、なぜか今夜はビートルズの「 When I'm Sixty-Four (僕が64歳になっても)」が聞こえてきます。行年64歳のN君の旅立ちに謹んで捧げます。


【歌詞の一部から】
僕に葉書をよこし、一筆したためてください
思ったことを言いながら
正確に言いたいことを表してくれよ
答えを用紙に書き込んでね
とわに僕の君

Will you still need me
Will you still feed me
When I'm sixty-four
まだ僕を必要だと思ってくれるかな
まだ僕の食事の支度もしてくれるかな
僕が64歳になったとしても

The Beatles - When I'm Sixty-Four

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石原莞爾翁、晩年のリベラル性

2013年02月23日 | 研究・書籍

版権フリーの青空文庫で『新日本の進路ー石原莞爾将軍の遺書』を読む。亡くなった年の昭和24年の書なのでまさに最期のメッセージと言えるものだった。

「人類歴史は統制主義の時代にある」「日本は統制主義国家として独立しなければならぬ」「日本は世界に先駆け平和憲法を制定した」「大政翼賛会は完全に失敗、東亜的統制主義を確立」「組合経営的な農工一体の体制を」・・

補足として「統制主義は全体主義と混同されたが、統制主義は専制主義、全体主義ではない。経済の法則は自由経営と官公営、いうなれば資本主義と社会主義とを巧みに按配して総合運用すべき時代になっている・・と、混合経済社会を述べている。

石原翁の云う「統制主義」を今風に言うなら「社会民主主義(民主社会主義)」に置き換えるとぴったり当てはまり今日的な意義を放ち続けていると思えた。これからは「組合国家」の形態に発展するという考えも面白い。その後の日本社会はそうとは言えない形で進行しているが・・。敗戦の経験を踏まえて、当時の石原翁の新日本構想にリベラル志向が感じとることができ興味深かった。

東條内閣とは真っ向対立

若者たちが歴史の授業で石原莞爾の名を知ることはまずない。私も石原莞爾を知ったのは社会人になってからだ。私の親世代(戦前戦中派)の方々はご存じのはず。政策・方針をめぐって東條英樹と激しく衝突した人物として石原莞爾は知られている。東條が制定した『戦時訓』(生きて虜囚の辱めを受けず=捕虜になるくらいなら自害せよの意)についても石原は、直ちに激怒し「明治からの『軍人勅諭』で十分良い。何もこんなものは読むべきでない」と言い放ったという。日中戦争(支那事変)と太平洋(大東亜)戦争でも東條英機とはことごとく対立し解任され、晩年は一予備役として退官していた。

【写真】リアカーに乗りしばしば東京裁判法廷に出向く。膀胱癌を患っていたがリアカーでの帰路途上、事故の衝撃で世を去る。行年60歳。

石原莞爾(いしはらかんじ) (1889-1949)山形県鶴岡生れ。陸士陸大卒。満州事変の首謀者。日中戦争勃発時の参謀本部作戦部長。世界最終戦論を唱え東亜連盟を指導。日蓮信者。

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石原莞爾の予言
稀代の戦略家が見通した日本の未来
PHP研究所
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4月21日大泉町長選、町議選

2013年02月19日 | 地域・一般

当ポポロの広場にお越しの皆さんの検索キーワードを拝見しますと、このところ「町長選挙」でアクセスされている人が日に日に増えている傾向が伺えます。

4年前の町長選は、突然降って沸いたような太田市との合併話が投げかけられ町民の大きな関心を呼び起こしました。当広場もシリーズ掲載で大川村・小泉町合併の過去の記録も調べ意見表明をいたしました。興味をお持ちの方は当広場の左側「カテゴリー」の「地域・合併問題(36)」をご参考にしてください。

現在3名が立候補表明

さて今回の町長選、町議選は4月21日(日)が投開票日です。新聞各紙の報道を集約しますと、これまで名乗りを上げた立候補者は3人。現町議の村山俊明氏、元町議だった槻岡行支氏、そして新顔の大塚政尚氏。

無投票当選で再選が決まるような自治体もありますが、候補者が複数現れ民意を問うという形は地域民主主義にとっては好ましいものです。各候補者の政策・主張がいかなるものかまだ把握しておらず論評をするだけのものを持ち合わせていません。ただ大泉町の将来のために一住民の視点から当広場も町長選・町議選について関心を持ちたいと思います。

【写真】成人式を祝う「広報おおいずみ」紙。本文とは直接関係ありません。

 

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がれき処理、反対意見が正しかった

2013年02月17日 | 原発震災・原発問題

6倍もふっかけた計画だった

被災地の震災がれきを全国各地の自治体で処分する「広域がれき処理」が来月末で終了することとなりました。環境省は被災地のがれき量を当初400万トンと見積もっていました。しかし今年に入って見直したところ69万トンに下方修正。当初見積もりの6分の1、ゼネコンに儲けさせるため巨額の予算をつけ必要以上に大きく見積もっていたことになります。

環境省、森の防潮堤案を認めず

「多額の費用をかけて遠方まで運ぶ必要はなかった。受け入れ先の住民が放射能汚染を心配するのも無理はない。もともと国のトップダウンで決まった政策だ」と広域処理に固執してきた環境省や県の姿勢を相沢光哉・宮城県議(自民)が批判しています(東京新聞2/11)。相沢県議は、当初から広域処理でなく「森の防潮堤」案を提唱していた一人だけに「生活の一部であったがれきを1千年先まで生かすのが森の防潮堤構想。実現していれば広域処理などで余計な迷惑をかけずに済んだ」と認めなかった環境省への怒りが収まらないという。

まどかさんのマンガは正しかった

地元にがれき処理を託せば雇用創出にもつながります。結局は税金の無駄遣いでした。反対していた人たちの意見が正しかったことがやっと証明されました。まさに主婦の漫画家、まどかさんの「ガレキ処理の疑問」の通りでした。

参考(再掲):まどかさんのガレキ処理への疑問

西邑楽3町の撤回も正解

昨年7月、西邑楽3町も狸塚を最終処分場に、一時は危うく震災がれきを受け入れようとしていました。(お隣の太田市は、早々とがれき処理の矛盾は見抜いていた)。阪神大震災では、がれき処理がトン当たり2万3千円、今回も東北被災地で処理すれば2万円程度、それをわざわざ北九州市までトン当たり17万5千円をかけて運びました。それも政府、マスコミの狂騒曲にのせられ“絆”の美名のもとに。

一時、反対派は非国民視

時の流れとは怖いものです。一時は広域処理を受け入れない自治体や住民は、あたかも“非国民”といわんばかりの雰囲気がありました。それもつい1年前のことです。かれき処理はなんとかメドがたったものの除染の問題は今も進行中です。除染の方法、あり方はこれでよいのでしょうか。利権に群がるゼネコン、原子力むらの影がここでもちらついています。

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【アンコール:昨年03月に掲載】 がれき広域処理の本質的問題(要約版)

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東京家族、“群馬家族”?

2013年02月14日 | 映画・芸能

後味の良い映画でした。今公開中の『東京家族』。
入館前、これは爆睡して周りに迷惑をかけないようイビキに要注意だなと思って恐る恐る席に着きました。しかし意外や意外、終始スクリーンに惹きつけられイビキが出るどころか代わりに時々涙が出てしまうほどでした。

最後の字幕で「この作品は小津安二郎監督に捧げる」とありましたが「東京家族」は小津監督による「東京物語」(1953年)のリメイクだという。「おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です・・」とコピーに書かれていますが、確かに現代のどこの家でも存在する共通した事柄、家族関係を素材に自然なタッチで描かれていました。

親から見て、出来の良い子どもと、そうでない子・・。それぞれを育て、育てられた幼児の時からその違いに互いに反発し合ってはいたものの、心の奥底では親は子の行く末を心配し、子も親のことは気にかけていた・・。しかしそれがはっきり表に出て分かりあえる時がおとずれるのは、肉親の死や婚姻など家族にとって大きな出来事がきっかけになって・・。
子どもたちが故郷を離れ東京に集結したので東京家族、もし大阪なら“大阪家族”、群馬であれば“群馬家族”・・

広島の離島に住む元教師の平山周吉(橋爪功)とみこ(吉行和子)老夫妻。その子でフリーターの次男、昌次役に妻夫木聡、その恋人でしっかり者の書店員間宮紀子(蒼井優)。東京で開業医の長男、幸一(西村雅彦)、そして長女(中嶋朋子)は都内で美容院経営・・。
特別に社会的なメッセージを発するような硬い作品ではありませんが、それぞれの登場人物に今の社会の各層に脚本家の思いが入り表わされているように感じます。
3.11大震災のボランティアに出動して次男、昌次のカップルは知り合った。控え目ながらも「この国はどうなるのだ・・」といった問題意識もチラッと感じさせられました。 

【写真】映画館での注意書き

  にほんブログ村 雑感

東京家族 オリジナル・サウンドトラック
山田 洋次、 平松 恵美子
ユニバーサル シグマ
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民主党の新綱領に必要なもの

2013年02月11日 | 政治

今、多くの人たちが、もはや民主党が復権する可能性はかなり少ないと見ています。民主党に期待したかつてのエネルギーは維新の会やみんなの党に流れていると判断するのが現実的でしょう。

民主党は新綱領のたたき台を提示しました。「前文」と「綱領」からなるものです。綱領を制定するという作業は、ずいぶん遅いにしてもとにかく着手したことは再生の第一歩といえます。

「脱原発」見当たらず

前文では「東日本大震災及び福島第一原発は、未曾有の被害をもたらし我々に生き方や物質文明、科学技術のあり方まで問い直している」としてますが、そのためには「持続可能な社会の再構行使築」と抽象的に述べるのみで、脱原発には一切言及をしていません。

綱領の基本的な立場としては「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」に拠るとしている。「幸福のための成長」としては経済的弱者の視点を忘れない、は同感です。安全保障では外交の基軸を「日米同盟の深化」と記している・・。

全体を読んで、きわめて保守色が強く、リベラル(革新)な言葉は少ないと感じました。これでは相変わらず「第二自民党」的であるといわれても否定できません。2009年の政権交代で、民主党に投票した有権者の多数は、自民党政治に飽き足らず新しい政治の担い手としての同党に期待をしていた。ところが大震災、原発問題の対応にしても往年の自民党流政治と少しも変わることのない官僚主導、利権誘導、民衆不在の愚策が露呈して次第に支持を失う結果となってしまいました。

新綱領案を見ても民主党が目指しているのは保守の一角、それも旧来の保守勢力の一角に入り込みたいとしか感じられません。具体的には自民、公明、維新との勢力圏に身を置きそこでの競合政党で甘んじようとしているように映ります。

「維新」でなく「みんな」との連携を

民主党は「生活者」「働く者」の立場を踏襲しようとするなら、ふるさとの山河と人々の健康を守り抜くためにも放射能被害とは断ち切り「脱原発」の一点は明記しなければならないでしょう。一足先に、みんなの党は原発ゼロ政策や電力自由化で政策合意が得られないからと日本維新の会とは一線を引く態度を明らかにしています。民主党は今、みんなの党の一貫したこの姿勢を見習わなければなりません。また民主党が本気で党再生をめざすなら、これから肩を組む相手は自民、公明や維新ではなく、みんなの党や社民党など中間・リベラル諸派とであって、それらとの共同・連携に同党がリーダーシップを発揮することで存在感がよみがえってくることでしょう。

脱原発は綱領で鮮明に

まだ綱領はたたき台の段階。最低でもエネルギー政策では「脱原発」の方向を鮮明に打ち出してください。また同盟国の大義なき戦争にも自動的に巻き込まれかねない「集団的自衛権の行使」へ道を開くような危険な政策は採らないことです。そのためには日米同盟は「深化」でなく「維持」に書き留めることが賢明かと思います。

このままの流れでは、中道・リベラル勢力は夏の参議院選挙でもかなり苦戦を強いられそうな気配です。とりわけこれ以上の民主党の凋落は日本の政治にとってプラスにはなりません。そのためにも民主党は、有権者の期待に応える綱領を早急に制定し出直していただきたいと願います。

【写真】綱領検討を報じる「民主」2013年2月1日号

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保育士は足りないのに・・厳しい保育現場

2013年02月09日 | 医療・福祉

先日、大泉保専の保育科卒業生にばったり街角で会いました。元気そうでしたが今は保育の職場は辞めて別の仕事(販売)をしているという。ほんとうは保育士を続けたかったけれどいろいろあって・・とさみしそうでした。性格の優しい明るい女性で保育の世界にはぴったりと思っていただけに、とても残念です。

多い福祉職の潜在資格者

全国的に待機児童は多くまだまだ保育士は足らないはず。現に都市部に住むわが家の娘夫婦の子供も待機児童の状態。これでも大泉町はまだ良い方かもしれません。保育士資格を持ってはいても保育士の職に就いていない「潜在保育士」は全国でその数57万人。ちなみに潜在看護師は約60万人で同数に近い。また介護福祉士は確かな数値はないものの30万人ほどと推定される。

保育士の低賃金、短勤続

ところで保育士の離職理由は、職場の人間関係と労働条件・低賃金が主。男性保育士も増える中、とりわけ安いお給料は当然不満だと思う。同年代の一般事務職に比べても明らかに低い。2011年統計調査で、保育士の平均賃金は22万円(全労働者平均32万円)。勤続年数は8年(全労働者平均13年)。さらに公立保育園においても非正規雇用の保育士が増える傾向にあり3割から4割以上は非正規雇用形態と化している現状のよう。

女性進出には保育の社会化

街で遭ったあの卒業生も勤続5年で保育の職場を去っている。働く親たちが仕事に打ち込み安心して保育を任せられるためには「保育の社会化」は必須の要件です。特に女性の社会進出には欠かせない。自己流の育て方とは違い、専門の知識を学んできた保育士に子育てを委ねることは、少子化解消や子どもの発育・教育のためにも決してマイナスになるどころかプラスの作用が発揮されることはまちがえないのです。

現場にそぐわない法改正

保育士を取り巻く職場環境の問題。低賃金、勤続年数、身分・労働条件は、私が養成校に勤務していた頃と比べてもこの10年間、一向に改善されておらず、むしろ非正規雇用採用が進むなど悪化しているとさえ感じまう。昨年8月「子ども・子育て関連3法」が成立(施行は2015年4月)しました。認定こども園の法律も改定されましたが、法律の文言を読むかぎり、園の規定が細分化されより複雑化してきたように思う。現場と法立案の官僚との思考のズレが、ここ保育の場でも相変わらずかと思うと情けなくなります。

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「メイドインジャパン」は三洋?

2013年02月06日 | 映画・芸能

三洋OBと久しぶりに会いますと必ず今放送中のNHKの企業ドラマ『メイドインジャパン』の話になります。「三洋によく似ているな~」「日本の家電の苦しさがうまく描かれているな~」と注目度は高い。私も興味を持って見ています。

このドラマ、NHKの60周年記念番組ということで、制作にはかなり力が入っています。良い作品です。

脚本家の井上由美子はまだ40代、よくここまで家電メーカーの様子を描いたものだと感心してしまいます。彼女は、テレビ朝日で放送中の現代版「嫁 vs 姑」(黒木瞳と相武紗希が出演)のコミカルなドラマ「おトメさん」の脚本も書いています。

経営危機の中「余命三カ月」の大手家電メーカー、タクミ電機の再建戦略室長、矢作篤志を唐沢寿明が好演している。かつての同僚、迫田貴弘(高橋克実)は今は大陸に渡って中国メーカーの製造技術指導者。タクミ電機のリチウムイオン電池部門の切り捨てによって、迫田は親友、矢作からリストラされた形で職を転じた・・。

ドラマの内容は、日本の家電企業、成長の電池部門、同族経営などがベースで確かに三洋電機との共通性は感じられますが、似て非なりであくまで架空のストーリーです。脚本家の井上由美子は兵庫県神戸出身、立命館の卒業生というだけに土地柄、関西家電の知識は肌で得やすい環境で育ったのかもしれません。

それぞれの社員に家庭がある

社員、一人ひとりにそれぞれ配偶者がいて子どもたちがいる。そこで働く人たちが企業の業績の変化で、大いに家族を含めて人生そのものまで翻弄される。ドラマでは登場人物の家庭の事情にカメラを向けているところも良かった。それは国を越えて中国の人たちにとっても同じこと。一人ひとりに家庭があって毎日働いていることに変わりはありません。国境を超えて誰もが幸せになる道は・・。競争社会ではそれはしょせん夢物語なのだろうか。

「メイドインジャパン」最終回は今週末、2月9日(土)21:00~


【写真】東京三洋電機自販機製造工程(1984年)。武取締役と西本淑子さん(群馬テレビ)=当時。直接文中とは関係ありません。

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メイドインジャパン (リンダブックス)
井上由美子 著
泰文堂
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4分極化する労働者たち

2013年02月04日 | 経済

エコノミスト、浜矩子=写真=の『スラム化する日本経済』を読んでみた。副題が「4分極化する労働者たち」

分極化は対立ではない

かつては「資本」と「労働」の基本対立であったが、今の時代は労働者たちの分化が進み「正規労働者」と「非正規労働者」に2分され、やがて「外国人労働者」が現れ3元論。さらにネットカフェ難民に代表されるような「労働難民」が加わって4元対立と著者はいう。分極化の現象を「対立」ととらえることには早計と思うが・・。

一方「資本」の方は「政府系ファンド」「投資ファンド」が“ファンド資本主義”を形成している。投資ファンドは擬似資本家、擬似経営者が投資対象企業へ厳しいコスト管理と効率性を求める→賃金抑制→労働者の4分極化へ・・。

若い労働者の職場環境は厳しい

本書は2009年春に出版。つまり民主党による政権交代直前の時期の書。この頃、プロレタリア文学の『蟹工船』(小林多喜二著)がなぜか世間でリバイバルヒットした。労働現場で階層分化が進み、苦しい状況の中で働く若年労働者たちの欝憤が『蟹工船』で描かれた労働地獄への共感となってリンクした。またその鬱積された浮動票がパワーとなり、その年の政権交代実現へと結んだ要因ともいえる。

著者はオバマ大統領の誕生にも期待を寄せていた。4年経った今日の経済環境の中で、労働者の4分極化現象は一向に改まってはいない。著者はグローバルジャングルの時代を「新・資本主義」ととらえている。またしばしば「地球経済」という言葉を用いる。この辺の現状把握の感覚は良く理解できる。政府系ファンドについてもしょせん「ハゲタカファンド」と批判的に見る著者は、良心的なエコノミストだ。彼女の評論にはこれからも注目をしてきたいと思う。

今回もタブレット型電子書籍端末で、書籍サイトから購入したものを読む。紙の本と変わらず目の疲れは特に感じない。むしろパソコン画面の方が長時間だと集中力が続かず疲れる。電子ペーパー(E-lnk)技術のお蔭なのだろうか。

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スラム化する日本経済 4分極化する労働者たち (講談社新書)
浜矩子
講談社
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アベノミクスは浦島太郎経済学

2013年02月01日 | 経済

浜矩子さん、一見ふてぶてしそうで強面(こわもて)な感じの経済学者ですが、適切な自説をはっきり述べる人なので好感がもてます。

浜 矩子(はま のりこ 1952年東京生)エコノミスト 。専門は国際経済。一橋大卒ー三菱総研ー現在、同志社大学院ビジネス研究科長。

富をわかち合う=成熟戦略に

アベノミクスを浦島太郎の経済学だという。50~60年前の公共事業バラマキ型の御伽草子のような古典経済学、いずれ気がついて夢から覚める時は遅いという意味で時代錯誤の「浦島太郎」なのだろう。
長い動画ですが、終了10分前くらいに浜矩子の考えが要約されています。「成長戦略」で拡大を追い求め続ける時代ではない。「成長」に対する考えに誤解がある。量的に確実に大きくならなくてもすでに十分に富を蓄えているわけだから、富を分かち合う、包摂度を高めること。(この部分は当広場「アメリカインディアンの包摂思想、POWWOW」を思い出します)量的拡大をめざすゆえに人を振り落とす(リストラ)ようであってはならない・・。

確かにこの10年で民間給与は223兆円から194兆円、14%減までに落ち込んでいる。一方、巨大企業の内部留保は143兆円から260兆円、1.8倍に膨れ上がる反比例を示しています。世の中に出ていないこの蓄えられた富を「眠った金」とせずに、少しでもリストラ防止のため賃金に充てるなら雇用は安定し購買力も呼び戻されデフレ解消にもつながって行くというものです。

【浜矩子氏:アベノミクスは浦島太郎の経済学だ 聞き手 神保哲生氏】

 

アベノミクスでなく「ーリスク」にならないか

おそらく大手広告社とマスコミの合作による造語「アベノミクス」。「10兆円の景気対策をやるのだから国民の生活の改善につながらなければ意味がない。財政出動と金融緩和では、シロアリとハゲタカにエサを与えるだけではないか」としてアベノミクスをアベノリスクと危惧しているのは森ゆうこ参議(生活の党)。「安倍の」+「リスク」(危険)としたところが逆説的でうまい表現と思う。

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