勤務していた自衛隊内でセクハラ被害を受けた女性自衛官の勇気ある告発の書。
『声をあげて』(五ノ井里奈 2023年5月発行 小学館)を読みました。
「失くした尊厳を取り戻すまで。震災を契機に自衛官を夢見た少女は入隊後、絶望を味わった。訓練中の性暴力を告発するも組織は黙殺。行動を決意した彼女の武器は勇気一つ」と本の帯の言葉。まさに簡潔な紹介文、その通りの内容でした。
本書を読み進めていくと「性加害を受けた描写がここから○○ページまで続きます。フラッシュバックのおそれのある方は○○ページから読み進めてください」とありました。
あまり見慣れない記述ですが、そこにもこの書の生々しいリアルが垣間見えます。
こうした被害を訴える場合は、弁護士に依頼をするのが定石かと思いましたが、それには費用がかかります。交通費や書類作成も必要。余裕のなかった五ノ井さんはSNSの活用を思いつく。中でも力になってくれたのがユーチューバーたちだった。今の時代らしい闘い方でした。その発信の中で野党の国会議員にも反応があり、次第に事件が広がりをみせていったようでした。
『声をあげて』には、「わたしが」と「わたしも」という二通りの意味を本のタイトルに込めました。読み終わったあとに一歩踏み出す勇気を感じてもらえたら嬉しいです、と著者の五ノ井さんの声。
巻末には「資料」として自衛隊内におけるハラスメントのアンケートが掲載されています。実際に受けたハラスメントの数々です。呼びかけは五ノ井さん、実施・分析協力は、「Change.org」とありました。
第二のエピローグ的な「取材を終えて」では、岩下明日香さんが「構成」として、自衛隊における女性の存在の解説、著者の素顔や著者本人が述べにくい後遺症のことにも触れている。
すべてが、新しい時代の新しいスタイルのたたかう書のように感じました。良い本でした。
『声をあげて』(五ノ井里奈 2023年5月発行 小学館)を読みました。
「失くした尊厳を取り戻すまで。震災を契機に自衛官を夢見た少女は入隊後、絶望を味わった。訓練中の性暴力を告発するも組織は黙殺。行動を決意した彼女の武器は勇気一つ」と本の帯の言葉。まさに簡潔な紹介文、その通りの内容でした。
本書を読み進めていくと「性加害を受けた描写がここから○○ページまで続きます。フラッシュバックのおそれのある方は○○ページから読み進めてください」とありました。
あまり見慣れない記述ですが、そこにもこの書の生々しいリアルが垣間見えます。
こうした被害を訴える場合は、弁護士に依頼をするのが定石かと思いましたが、それには費用がかかります。交通費や書類作成も必要。余裕のなかった五ノ井さんはSNSの活用を思いつく。中でも力になってくれたのがユーチューバーたちだった。今の時代らしい闘い方でした。その発信の中で野党の国会議員にも反応があり、次第に事件が広がりをみせていったようでした。
『声をあげて』には、「わたしが」と「わたしも」という二通りの意味を本のタイトルに込めました。読み終わったあとに一歩踏み出す勇気を感じてもらえたら嬉しいです、と著者の五ノ井さんの声。
巻末には「資料」として自衛隊内におけるハラスメントのアンケートが掲載されています。実際に受けたハラスメントの数々です。呼びかけは五ノ井さん、実施・分析協力は、「Change.org」とありました。
第二のエピローグ的な「取材を終えて」では、岩下明日香さんが「構成」として、自衛隊における女性の存在の解説、著者の素顔や著者本人が述べにくい後遺症のことにも触れている。
すべてが、新しい時代の新しいスタイルのたたかう書のように感じました。良い本でした。
(敬称略)【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
【告発】わたしは複数名の男性に囲まれて毎日繰り返される強制セクハラ被害にあいました。苦しい胸の内を話します。【五ノ井里奈さん】