ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

五ノ井里奈さんに敬礼!

2023年06月25日 | 研究・書籍
勤務していた自衛隊内でセクハラ被害を受けた女性自衛官の勇気ある告発の書。
『声をあげて』(五ノ井里奈 2023年5月発行 小学館)を読みました。

「失くした尊厳を取り戻すまで。震災を契機に自衛官を夢見た少女は入隊後、絶望を味わった。訓練中の性暴力を告発するも組織は黙殺。行動を決意した彼女の武器は勇気一つ」と本の帯の言葉。まさに簡潔な紹介文、その通りの内容でした。

本書を読み進めていくと「性加害を受けた描写がここから○○ページまで続きます。フラッシュバックのおそれのある方は○○ページから読み進めてください」とありました。
あまり見慣れない記述ですが、そこにもこの書の生々しいリアルが垣間見えます。

こうした被害を訴える場合は、弁護士に依頼をするのが定石かと思いましたが、それには費用がかかります。交通費や書類作成も必要。余裕のなかった五ノ井さんはSNSの活用を思いつく。中でも力になってくれたのがユーチューバーたちだった。今の時代らしい闘い方でした。その発信の中で野党の国会議員にも反応があり、次第に事件が広がりをみせていったようでした。

『声をあげて』には、「わたしが」と「わたしも」という二通りの意味を本のタイトルに込めました。読み終わったあとに一歩踏み出す勇気を感じてもらえたら嬉しいです、と著者の五ノ井さんの声。

巻末には「資料」として自衛隊内におけるハラスメントのアンケートが掲載されています。実際に受けたハラスメントの数々です。呼びかけは五ノ井さん、実施・分析協力は、「Change.org」とありました。

第二のエピローグ的な「取材を終えて」では、岩下明日香さんが「構成」として、自衛隊における女性の存在の解説、著者の素顔や著者本人が述べにくい後遺症のことにも触れている。

すべてが、新しい時代の新しいスタイルのたたかう書のように感じました。良い本でした。


(敬称略)【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔


 


【告発】わたしは複数名の男性に囲まれて毎日繰り返される強制セクハラ被害にあいました。苦しい胸の内を話します。【五ノ井里奈さん】
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追悼 上岡流隠居の美学

2023年06月06日 | 研究・書籍
このブログ内を「上岡龍太郎」で検索してみましたが何もヒットせず。

著書『隠居のススメー好き勝手に生きる』の表紙写真を一時、ケータイの待ち受け画面に使うほど上岡龍太郎の生き方には共感を覚えておりました。書評をアップしたような気がしましたが一度も彼には触れていなかったことが自分でも不思議です。

上岡龍太郎さんが、お亡くなりになりました。81歳。

私は、彼の引き際が、とてもさっぱりしていて、それに好感をもっていました。

『隠居のススメー好き勝手に生きる』の発行は2003年、ちょうど20年前だ。著者60歳の頃ですね。

引退はそれより数年早く、芸能生活40年で、ハイさようならと見切りをつけて完全にフェイドアウト、世間を驚かせました。見事な引き際、その後も表舞台に姿は出しませんでした。

大阪府知事にまでなった横山ノックとコンビを組み、横山パンチを名乗って人気を博していた。時事ネタが多く、いわゆる社会派漫才でした。自身も政界への立候補の誘いは何度もあったようですが、受けることはなかった。

現職・現役と退職者の区切りをしっかりつけた人として見習いたいと思いました。

先の東京五輪汚職事件などでも、退職後も隠然と前職の地位と権力を使い利権にむさぼりついていた輩がいた。

古巣に現れては、元部下たちをあれやこれやと自分の立場を忘れて指図するうるさい奴も見かける。

定年で卒業すれば、もはや肩書はそれまでの期限切れの貸衣装に過ぎない。管理職も平社員もあったものではありません。ふつうの人間同士です。
いいな、いいな、人間っていいな~♪ でよろしい。上岡流隠居術にまなびたいものです。

あらためてご冥福をお祈りいたします。



【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔

 

日本のチベットが差別!?日本の地名にツッコむ上岡龍太郎
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