ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

難民救った樋口季一郎

2014年07月28日 | 研究・書籍

「命のビザ」で難民を救ったリトアニア日本領事館の杉原千畝の存在とその話を正確に知ってからまだ10年にもならない。「杉原ビザ」が1940年、それより2年半前1938年に樋口季一郎なる人物が、同じようにユダヤ難民を救ったことを本書(今年6月初版)で知りました。

「1938年3月、満州国と国境を接したソ連側のオトポール駅に、ナチスのユダヤ狩りから逃れてきた避難民が、吹雪の中で零下数十度の原野にテントを張って露営していた。飢餓と寒さのため凍死者が続出し難民の命は危険な状態にさらされていた。樋口は、天皇陛下なら人道主義の途をとるだろうと考えた。日露戦争の大恩をユダヤ民族に返すのは今しかない。命にかけて、このユダヤ難民を助けるぞ・・。自らの信念と情熱で難民を救った・・」

「大恩」とは、日露戦争の戦費をユダヤ人銀行家・シフが日本公債として500万ポンド引き受けてくれたことを指す。明治天皇は「この恩は決して忘れない」と記録に。

杉原千畝と同じように、樋口も妻、静子に「クビになるから帰国の荷造りを」と言う。部下の松谷中佐からは「閣下、独断専行は無謀です」とたしなめられる。しかし決断!。当時、樋口はハルビン特務機関長の将官。「満洲国は八紘一宇、五族協和を国是とした一種理想国家。日本・関東軍やナチス・ドイツに遠慮は無用」の信念が樋口の心にはあった。予想通り後日、ナチスから猛抗議があり、東条英機参謀長からの査問も受けることに・・。

民族の融和に尽力

「大恩」とは、日露戦争の戦費をユダヤ人銀行家・シフが日本公債として500万ポンド引き受けてくれたことを指す。明治天皇は「この恩は決して忘れない」と記録にあるという。
新生満洲国では、民族の協調を一つの理想に掲げていた。それでもユダヤ人と白系ロシア人との血なまぐさい暗闘もあった。樋口は親睦のクラブを作るなどして両者を仲介した。こうした「仲介」はアラブとイスラエルの対立など、今まさに日本が平和国家として国際的に行うべき役割です。一方の側にくみする「集団的自衛権」ではないでしょう。

敵将兵の捕虜の扱い方も人道的で樋口の指揮下では虐待は一切なかった。アッツ島、キスカ、占守島の闘いでは参謀本部第二部長としての樋口は「全兵力の撤退」を提案するなど、実現はしなかったにしろその行動の一つひとつが人道主義に基づくものであった。

ヒューマニスト、樋口季一郎。こんな人物もいたのか!まだまだ知らないことが次から次。そのたびごとに歴史認識を微調整です。

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ユダヤ難民を救った男 樋口季一郎・伝
木内是壽 著 (2014年6月)

アジア文化社

 

 

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放射線に負けない生活を

2014年07月19日 | 原発震災・原発問題

「放射線への取り組みについて」福島市ウェブサイトでは「生活習慣のポイント」と「食生活のポイント」を公示しています。

http://www.city.fukushima.fukushima.jp/life/16/161/403/


放射線に負けないからだをつくろう
「生活習慣のポイント」
新陳代謝がよいと、もしからだの中に放射線物質が入っても、早くからだの外に排出されるといわれています。

1 新陳代謝をよくするための生活習慣
(1) 早寝・早起き・良質な睡眠をとれるような生活リズムをつけましょう。
(2) 朝ごはんをしっかり食べましょう。
(3) バランスのとれた食事をとりましょう。
(4) 適度な運動を習慣にしましょう。(散歩や外で遊ぶことも大切です)
(5) 過度な心配はしない。ストレスをためこまないようにしましょう。

2 日常生活の中で心がけたいこと
(1) 窓を開けて室内の換気をはかりましょう。
(2) 洗濯物は日光にあてましょう。
(3) 天気の良い日は布団を干しましょう。
(4) 外から帰ったら手洗い、うがいをしましょう。

これを実行して放射線に勝つことができれば何も言うことはないのですが・・
確かに健康には良いことばかりです。
ただ相手がなんせ化け物のような「放射線」。
敵の上陸に備えて、竹槍で訓練し備えた戦時中のあの頃と少しも変わっていないようにも。

 

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片平里菜【Come Back Home】 ロケ地: 福島

 

夏の夜、ComeBackHome他
片平里菜
ポニーキャニオン

 

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「集団的自衛権」焼身男性の場合は

2014年07月11日 | エスペラント

集団的自衛権の行使容認が閣議決定される直前の日に、抗議の焼身自殺未遂がありました。
さいたま市に住む63歳の男性が、新宿駅南口で拡声器を使って事前に演説。「70年間平和だった日本が本当に好きでした。集団的自衛権で日本がダメになる・・」そして与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」の歌を朗読し事に及んだという。(東京新聞7/8記事参照)

私はこのニュースを知り、はるか昔の2つの事件を思い出しました。
一つはエスぺランチスト(エスペラント語愛好家)の由比忠之進さん(73歳)のべトナム戦争への抗議。焼身自殺したのは、アメリカの北ベトナム爆撃を支持した佐藤栄作首相が訪米するのをきっかけに。由比さんのお顔は当時の私の日記(1967.11.15)に貼ってあった新聞写真から。

もう一つは、これもベトナム戦争に悲観し焼身自殺したフランスの少女フランシーヌ。これは『フランシーヌの場合』として彼女を描いた曲がヒットしましたね。

なお、集団自衛権抗議の焼身自殺報道については、あまりにもNHKを始め日本のメディアが報じなかった怠慢を在ベルリンジャーナリスト・梶村太一郎さんが自身のブログで詳しく述べています。ぜひご覧ください。 『明日うらしま』梶村太一郎の反核覚え書き』

 

フランシーヌの場合ー新谷のり子

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奔放な愛の策士、白蓮

2014年07月07日 | 研究・書籍

NHKの朝のテレビ小説『花子とアン』を見ています。
ドラマの中で花子(吉高由里子)の〝腹心の友〟葉山蓮子(仲間由紀恵)、炭鉱王、嘉納伝助(吉田鋼太郎)とも実在のモデルだけに面白い。

私は『恋の華・白蓮事件』(永畑道子著)を電子書籍キンドルで読んでみました。ドラマに登場する蓮子(柳原子、ペンネーム白蓮)は主人公、村岡花子以上にすご味も厚みもある人物像であることが分かりびっくりしています。

愛情のない25歳年上の炭鉱王の夫との性生活は苦痛そのもの。そこでの白蓮は寝室に代行妻を招き寄せる。つまり正妻公認の〝側室〟と三者で毎夜を過ごすことに・・。

やがて7歳年下の社会運動家、宮崎竜介と互いに姦通罪を覚悟で出奔・・。二人は、この様子をマスコミに知人が多かったこともあり「複数の新聞社に共同発表するよりは1社の特ダネの形にした方が効果がある」として朝日新聞に絞ってリーク。このあたりは、広報センスもただものでなかったことに驚かされます。

宮崎竜介の父、宮崎滔天は頭山満(黒龍会)とは親交があり、白蓮の異母兄で貴族院議員の柳原義秀は、黒龍会によって白蓮事件を追及され議員を辞職している。ドラマでは蓮子を厄介ものにしている冷たい感じのあの意地悪な兄。すべて実在なのですね。

白蓮は、自身で生活が自立できないために嫌いな夫でも嫁ぎ表面上は服従した。しかし、新しい女性の幸せをしっかりつかむために、ある日ある時、大脱走!大~飛躍!

白蓮の長男、香織は学徒動員で戦死した。彼女はこれを機に「悲母の会」→「国際慈母の会」→「世界連邦婦人部」結成へと、晩年は平和運動に貢献している。スケールの大きな女性でした。

わがために泣きます人の世にあらば
死なむと思ふ今の今いま

白蓮の歌は、どことなくニヒルな感じですが、生命力を感じます。
余談ですが、吉高由里子が白蓮の役を演じたらどうなるでしょう。彼女でしたら仲間由紀恵とはまた違った“怪しくするどい魅力”を醸し出すような気がします。そうなったら朝ドラでなく昼ドラの番組ですね(笑)

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恋の華・白蓮事件 (文春文庫)
永畑道子 著
文藝春秋

 

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日本国憲法はメイドインジャパン

2014年07月03日 | 研究・書籍

現在の日本国憲法を創案した鈴木安蔵=写真=に関する動画(Eテレ放映)を引き続きご覧ください。発売元はGHQでも製造元は日本製なのが現憲法です。


与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」の一節

君死にたもふことなかれ
旅順の城は滅ぶとも
滅びずとても 何ごとぞ

旅順(りょじゅん)は現在の中国大連市。この歌は与謝野晶子の弟(旅順口包囲軍)に向けて詠んだもの。
自分の国を守る戦いではなく、外地(外国)での戦争に赴き加担し命を落とすことの空しさを私たちは知らなくてはならない。平和憲法を無視し「集団的自衛権行使容認」した、この政権の暴挙は見逃せない。

日本国憲法の草案はメイドインジャパン

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現憲法は鈴木安蔵、農地改革は須永好

2014年07月01日 | 須永好 研究

憲法学者、「鈴木安蔵」の名前を最近知りました=写真
GHQに日本国憲法の草案を出した中心的な人物です。同じく農村民主化の「農地解放に関する指令」の創案者は、群馬県太田市出身の代議士、須永好でした。

今の憲法は、発行元こそGHQですが、製造元はれっきとしたメイド・イン・ジャパン、日本製なのです。この憲法は、戦勝国からのお仕着せだから変えなければならないと、ここでは左右の論客が入れ替わってしまったかのように、自虐的な思考で捕えている人がけっこういます。しかしこの憲法の生い立ちは日本人の良心、魂が日本人の手によって法文化されたものなのです。不戦を誓った平和憲法に自信を持ちたいものです。

鈴木安蔵の足跡知ろう

集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、平和憲法が窒息死されそうになってしまった今日7月1日、敗戦直後の大衆の反戦心情を憲法に織り込んだ鈴木安蔵に学びたいと思います。彼の足跡を描いた映画『日本の青空』の短縮版をごらんください=動画

後半で、鈴木安蔵たちの草案が新聞発表され妻と確かめる画面がありますが、これを見て私は須永好の農地改革の件と同じだ!と、とっさに連想した。「須永好がGHQに渡した提案書が、彼の原稿そのままといって良いほどの内容で新聞発表された」という意味の記述(『未完の昭和史』288頁、須永徹著)を思い出したからです。

平和憲法も農地改革も、「製造元」は日本であることを知って置きたいと思います。

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日本国憲法 誕生の真相 ~ 映画「日本の青空」(30分短縮版) Truth of "The Birth of the Constitution of Japan"

    未完の昭和史

元衆議院議員 (須永好の孫)須永徹著

日本評論社
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