ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

4分極化する労働者たち

2013年02月04日 | 経済

エコノミスト、浜矩子=写真=の『スラム化する日本経済』を読んでみた。副題が「4分極化する労働者たち」

分極化は対立ではない

かつては「資本」と「労働」の基本対立であったが、今の時代は労働者たちの分化が進み「正規労働者」と「非正規労働者」に2分され、やがて「外国人労働者」が現れ3元論。さらにネットカフェ難民に代表されるような「労働難民」が加わって4元対立と著者はいう。分極化の現象を「対立」ととらえることには早計と思うが・・。

一方「資本」の方は「政府系ファンド」「投資ファンド」が“ファンド資本主義”を形成している。投資ファンドは擬似資本家、擬似経営者が投資対象企業へ厳しいコスト管理と効率性を求める→賃金抑制→労働者の4分極化へ・・。

若い労働者の職場環境は厳しい

本書は2009年春に出版。つまり民主党による政権交代直前の時期の書。この頃、プロレタリア文学の『蟹工船』(小林多喜二著)がなぜか世間でリバイバルヒットした。労働現場で階層分化が進み、苦しい状況の中で働く若年労働者たちの欝憤が『蟹工船』で描かれた労働地獄への共感となってリンクした。またその鬱積された浮動票がパワーとなり、その年の政権交代実現へと結んだ要因ともいえる。

著者はオバマ大統領の誕生にも期待を寄せていた。4年経った今日の経済環境の中で、労働者の4分極化現象は一向に改まってはいない。著者はグローバルジャングルの時代を「新・資本主義」ととらえている。またしばしば「地球経済」という言葉を用いる。この辺の現状把握の感覚は良く理解できる。政府系ファンドについてもしょせん「ハゲタカファンド」と批判的に見る著者は、良心的なエコノミストだ。彼女の評論にはこれからも注目をしてきたいと思う。

今回もタブレット型電子書籍端末で、書籍サイトから購入したものを読む。紙の本と変わらず目の疲れは特に感じない。むしろパソコン画面の方が長時間だと集中力が続かず疲れる。電子ペーパー(E-lnk)技術のお蔭なのだろうか。

にほんブログ村 日本経済

 

スラム化する日本経済 4分極化する労働者たち (講談社新書)
浜矩子
講談社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする