「高野山真言宗 宗会解散 巨額損失 運用失敗 六億八千万円」なんとも生臭いニュースが入ってきた。丁度、『お寺の経済学』中島隆信著を読んでいるところだった。
戦前、戦中と国家が民衆に神道への帰順を強要しそのことが戦争を助長したとの反省から憲法20条(信教の自由、国家の宗教活動の禁止)の精神に沿って戦後、「宗教法人」の意味づけがなされた。宗教法人の設立は「認可」制よりもはるかにゆるい「認証」制、それも都道府県レベルの審査基準。また認証後においてもモニタリング(監視活動)がきわめて困難な法人といわれている。
宗教法人はタックスヘブン(税避難地)。御守り、お札、おみくじは非課税。法人所有なら相続税もかからない。また、兼業の保育園、幼稚園、学校、マンション分譲なども22%軽減税率が適用。(一般法人税は30%)。その他に高額過ぎるとの批判がある戒名の料金問題もある。
空海が泣いている
今回、高野山真言宗では、さい銭や信徒のお布施を含む資産を証券会社に委託して金融商品で運用された。信者民衆から預かった浄財は清貧に堅実に管理すべきものなのに、それを財テクに手を出すとは呆れた聖職者たちだ。ただこうしたことは高野山真言宗だけに限ったことなのだろうか。多くの宗教法人に共通したものではないとは言い切れないのでは・・。
今後20〜30年でお寺の数は半分になるともいわれている。少子高齢化で家族葬が増え、家墓の半額の永代供養墓に人気が集まっている。境内などに散骨する自然葬や樹木葬などへと人々のニーズも多様化。法人税制も含めてまさに聖域中の聖域の宗教、及び宗教法人のあり方が問われていると思う。
お寺の経済学 | |
中島隆信 著 | |
東洋経済新報社 |