ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

「イスラム国」の呼称から整理

2015年01月25日 | 研究・書籍

にわか知識ですが、今回の日本人殺害脅迫事件でいろいろなことが見えてきました。

17日、エジプト・カイロでの安倍首相の会見をみますと「ISIL(アイシル)と戦う周辺の各国に2億ドルの支援をお約束します」と日本語でスピーチをしている。ここでは「イスラム国」とは呼ばず「ISIL」を用いている。

テロリズム経済を専門とする女性エコノミスト、ロレッタ・ナポリオーニの著『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』に呼称についての詳しく記述がありました。

IS(イスラム国)・・米TV局PBSが使用
ISI(イラク・イスラム国)
ISIS(イラクとシリアのイスラム国)・・米メディア使用
ISIL(イラクとレバントのイスラム国)・・米大統領官邸、英国首相官邸が使用
ほかに豪州の一部メディアでは「イスラム国集団」と呼ぶ。国家ではなくあくまで武装集団にすぎないと強調したいから。英語ではISよりISISやISILの発音が聞き取りやすい事と、自分たちはテロリストでなく国家だとする「イスラム国」側の主張を認めたくないからだと。

日本の安倍首相はISILを使った。Islamic State of Iraq and the Levant(al Sham)の略。Levantは地中海の東部沿岸地方シリア、レバノンなどの地域を指す。

まず呼称からしていくつもあり複雑に感じます。しかしいまや中東問題は、お茶の間に飛び出して来たわけですから知らないで済まされない。一つひとつ勉強して行くこととしましょう。

ロレッタ・ナポリオーニさんの動画がありましたのでアップします。彼女の専門はテロリズム経済学・・特異な分野ですね。ローマ生まれの人で幼なじみがテロリスト幹部として逮捕されたのをきっかけにテロ研究家になったとか。彼女はイスラム国について「歴史上初めてテロリストが国家をつくることに成功するかもしれない」との発言で注目された人。テロ経済学的にはイスラム国は「決算報告書を持つほど潤沢な資金源がある」。ちなみに支配地域の原油だけでも1日200万ドル以上をビジネスとしているらしい。

第一次大戦前まではオスマン帝国、さらに古代中世はイスラム帝国として栄えた中東の大国。イスラム国はその時代の領土まで回復させようと試みる。私は世界史図説の『タペストリー』(帝国書院)を横においてイスラームの出現の歴史をひたすら紐解いています。

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イスラム国 テロリストが国家をつくる時 (文春e-book)
ロレッタ・ナポリオーニ著 池上彰解説
文藝春秋

Loretta Napoleoni: The intricate economics of terrorism

【写真】中東問題にもっと関心を持とう、と話す木工さん (写真:田口大輔) 

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