『答えにくい子どもの「なぜ?」に お釈迦さまならこう言うね!』(増田俊康 主婦と生活社)から。
●「愛ってなに? こたえ 相手から好かれたいという気持ち」
仏教では愛とは元々、相手を自分の思い通りにしたい、好きな人から自分も好かれたい、というわがままな気持ちを指す言葉です。
相手に何かを求めないで、こちらから与える気持ちは、愛ではなく慈悲というのですが、今は慈悲のことを愛と呼んでいるのがほとんどです。だから今は、愛と一言で言っても、わがままな愛と慈悲の愛、二つの愛があるんだね。
みんながもし、相手に何かをしてあげるときに、何かが返ってくることを望んだら、それは慈悲の愛ではなく、わがままな愛と思ってください。本当の愛(慈悲の愛)とは、相手から何かを返してもらおうというものではなく、すべての人に対して、私たちの心からどんどんあふれて湧いてくるものなのです。
イエズス会宣教師が日本に来て日本語=ポルトガル語辞典(日葡辞書 1603年出版)を作ったとき、「愛(神の愛)」を日本語に翻訳するのに大変苦労したそうな。なぜならば、その頃の日本には神の愛(慈悲の愛だねえ)という概念がなかったからだって。
結局「御大切」という言葉を選んだ。うまい選び方をしたねえ。