今朝の東京新聞「筆洗」欄です。
さらに2つの発言を、社会面(30面)掲載の「辺野古着工 識者に聞く」欄から抜粋します。
●法治ではなく政治(せいち)主義(白藤博行・専修大教授)
翁長知事による埋め立て承認取り消し処分に対し、防衛省沖縄防衛局は処分の取り消しを求める審査請求と執行停止を国交相に申し立てた。しかし行政不服審査法は国民の権利救済を目的としており、行政機関の申し立てを想定していない。
それなのに国は「私人の立場で申し立てた」と「国民」に成り済ました。国交相は本来、「不適法だ」として却下すべきだったのに本体工事を始めるため、なりふり構わず執行停止の決定をしてしまった。
防衛局の審査請求の適法性を審査庁として審査する国交相が、一方では、代執行手続きで知事の承認取り消し処分を違法とする。これでは、答えが分かった国による、とんだ一人芝居ではないか。
●本土のため続く差別 (高橋哲哉・東大教授)
政府は沖縄の民意を聞く耳を持たなかった。県民の八割が反対してもゴリ押しできる背景には、沖縄への構造的な差別がある。
普天間の移転先が沖縄でなければならない軍事的な必然性はない。だが米国側が海兵隊の撤退や県外移転案を何度か検討したときも、日本政府は拒否し、沖縄に引き留めてきた。
しかし、在日米軍基地を必要だとしているのは政府だけではない。本土の八割を超える圧倒的多数が日米安保条約を支持している。ならば、本来負担すべきものをしわ寄せしてきた本土の側が、沖縄の基地を引き取るのが筋だ。
安倍政権の暴走ぶりも表れた世論が反対多数のなか安保法制を強行成立させた形にし、脱原発の世論が多数でも原発を再稼働させた。今回も民意を無視し、行政不服審査請求を「私人と同様の立場」と強弁して利用した。民主主義にも法治主義にも反し、まるで独裁政治のようだ。
八百長を見逃していいの?
独裁を許していいの?
あたしゃいやだけどねえ。
見ないふりをしてそれに荷担するのもいやだねえ。