ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

いろんなできごとを面白がってしまおうと思っています。
日常のあれやこれや記事です。

調整力が必要

2013-11-30 12:17:43 | 本や言葉の紹介

 「いじめるな! ――弱い者いじめ社会ニッポン」(香山リカ 辛淑玉 角川書店「角川ONEテーマ21」)からの抜粋、その3です。やっとたどり着きました、ふう。

●多様性と向き合え
辛  日本で、たとえば多様性をテーマに掲げた講演会などがあると、「いろんな人がいて、それぞれが個性や特質を生かしながら、みんな仲良くすることが大事だ」という話に必ずなる。国際化というと、「みんな仲良く、笑顔で一緒に手を取り合って」とか。なんとズレてるんだろうと思う。
 多様性とか国際化というのは、不愉快でも、嫌いなやつと何とか一緒に生きていくこと。顔も見たくないやつと一緒に生きていく空間を作っていくことだよ。つまり、調整力をもつこと。
香山 そうですね。調整の基本は、受け入れること。不愉快も嫌いも含めて、受け入れるところから始まる。
 例えば、障害をもっている人たちも一緒に暮らしていける社会にするには、能率が下がるということもあるかも知れない。あるいは心の病にかかった人たちと一緒に生きるといったら、犯罪のリスクも少しは上がったりするかもしれない。それも含めて、受け入れるというのが調整ということだよね、本当は。
辛  ボランティアをやろうという人の中には、美しいことを言って、感謝と賞賛を得たいだけの人、自己満足でやっている人もいる。人権は好き、だけど当事者たちのことは嫌いという人、いっぱいいるからね。いじめはいけないと言っても、いじめの本質とかいじめと向き合っていこうともしないし、いじめられている人を支えることもしない。

  うん、「受け入れて終わり」じゃないのよ。そのあとの調整力って必要だねえ。
 一時避難することだって調整だよ。


特定秘密保護法案と国家安保会議法

2013-11-28 10:29:05 | 特定秘密保護法

 今朝の東京新聞「こちら特報部」で、特定秘密保護法案についてむのたけじさん(98歳)にインタビューした記事が載っているので抜粋します(順序は変えています)。
 むのさんは1936年に報知新聞記者に、40年に朝日新聞へ。従軍記者を経験し、敗戦の日に「戦争責任を取る」と辞職したジャーナリスト。

●疑心 人間関係崩す  戦争 民の沈黙から

  「秘密保護法を制定する目的は戦争以外考えられない。米国の国際戦略で日本、自衛隊が利用されるということ」
 この解釈は日中戦争の前夜から太平洋戦争の敗戦、そして今日までの肌身の実感に根ざす。現在の社会の空気を「かつての戦争突入時に似ている」と感じている。

  戦争は秘密に始められた。政府は慈善に国民に相談などしない。
  「敵国を欺く前に自国民をだますのが戦争の秘訣。そのために必要なのが、国民を脅して見ざる・言わざる・聞かざるにする『三ザル法』。今の秘密保護法はまさにそれだ」

 蘆溝橋(ろこうきょう)事件で日中全面戦争へとなだれこんだ37年の翌年に国家総動員法が成立。戦争遂行に従わないと「非国民」と弾圧される社会が到来した。
 「法律ができただけで、国民を脅せる。これが今回の秘密保護法とそっくりなんだね」
 新聞や出版などの統制が強まったが、実体は自主規制だったという。
 「内務省や軍部は記事の内容や写真にいちいち文句を言わなかった。だけど、その前に新聞社側が二重、三重に自分たちで検閲するんだよ」

 軍の輸送船に乗っているときに「襲った女性を子どももろとも殺して、証拠隠滅のために火を付けた」という兵士の会話も聞いた。「そういうことは一字も書かなかった。だって国の方針に逆らう非国民になるからね」
 社内ではポツダム宣言の受諾を、事前の8月12日に分かっていたという。だが、玉音放送を待つということになり、報道はしなかった。記者として自らの戦争責任を取ろうと、辞職した。

  このまま秘密保護法案が成立したら
 「成立の日から廃止に向けて戦うだけだ」


 一面の記事からも抜粋します。

●国家安保会議法成立 秘密法案は参院審議 解釈改憲への第1弾

 外交・安全保障政策を協議する日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法が二十七日、可決、成立した。来月四日に発足する。
 会議の設置は政府の憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するなど、自衛隊の海外派兵路線の第一段階。秘密保護法案まで成立すれば、外交・防衛政策に関する情報は政権の意のままに隠せ、重要な政策変更も検証できなくなる恐れがある。

 もし今国会で秘密保護法案がNSC法とセットで成立すれば、政府は議論の中身や判断の材料となった情報の大半を「特定秘密」に指定する見通しだ。そうなればNSCは完全に「ブラックボックス」となる。議事録の作成も義務づけられていないため、国民はその決定が正しかったのかどうか検証さえできなくなる。

 さらに、安倍首相は国外で同盟国が攻撃されたときに反撃できる集団的自衛権を行使できるよう、政府の憲法解釈を変えることに意欲を示している。現在、首相の私的諮問機関である有識者会議で議論を進めていて、その報告書を受けて解釈変更に踏み切ろうとしている。

 NSC法の採決では自民、公明、民主、みんな、日本維新の会、新党改革の各党が賛成。共産、社民、生活の党の三党が反対した。


 
 特定秘密保護法は26日に自民、公明、みんなの賛成多数で可決してしまった。参議院で審議されているけど、どうか通りませんように。っていうか、通しちゃいけないと思うよ。参議院ってなんのためにあるのさ。参議院は「良識の府」「再考の府」なんでしょ?
 


いいお酒といいつまみ、おいしいおそばで幸せ

2013-11-26 09:03:03 | おいしい

 昨夜は那須家宗庵さんへ。


 御酒は「日輪田 蔵の華 山廃純米酒」(萩野酒造 宮城県栗原市)と「天の戸 純米吟醸」(浅舞酒造 秋田県平鹿町)。
 日輪田は山廃とあったので酸味がきついかなあと思ったのだけど、他に飲みたかった御酒が売り切れだったので頼んでみたら大当たり! うまみが濃くて芳醇。天の戸は日輪田よりすっきりしてる。どっちもおいしい。
  突き出し(那須家さんの呼び方だと「心意気」)はたぶん紅大根のスティックと桜エビで作ったアメリケーヌソース。気がきいてるというかオツというか、こういうのはとっても嬉しい。少し食べてしまってから写真を撮りました。
 あと、カキフライも頼んだんだけど写真を撮るのを忘れて食べてしまった。がっついてますな。うへえ。


 おそばがまた美味しい。おそばやさんなんだから当たり前なんだろうけど、でも美味。これで小盛りなのよ。東京の某有名店だったら、同レベルのおそばがこれより少量で1人前のうえに値段が4倍だわさ。
 そばつゆが前よりほんの少し甘めに感じたけど、季節やそば粉にあわせて調節しているんだろうなあ。
 いつもおそばを注文する前に飲み過ぎちゃうので、初めからおそばを頼んでおいたんだけど、そうしといてよかったわあ。

↓ 前にいただいたホタテとわさびパンナコッタと濃厚チーズのタラモサラダもおいしかったなあ。

 確実においしいお酒と食べ物をいただけるいいお店が近場にあるのは本当にありがたい。本当に幸せ。ありがとう!


うほっほっほ いい御酒3つも!

2013-11-23 17:55:52 | おいしい

今日はラグビーの早慶戦でいい試合を見せてもらった。日本障害馬術ですてきな馬さんを見せてもらった。
 Kさん、テレビを見せてくれてありがとう。

 で、その余韻がさめないうちにと御酒をいただいておりますのよ、3種類も。全部が好みなので嬉しいのなんの。



「銀嶺月山(ぎんれいがっさん) 純米原酒」(月山酒造 山形県寒河江市)
 いただきものなの。おいしいの。選んでくださって、お持ちくださって、ありがとう! ありがとう!!!



「酒一筋 新酒・純米吟醸しぼりたて」(利守酒造 岡山県赤磐市)
  ラベルに、「行く先に わが家ありけり かたつむり」とあり、これは 《杜氏が酒造りのために米を担いで蔵へ向かう姿をうたったものです》 だそうです。
 うふ、冷やして飲むほうが好き。おいしい。
 


「伊予賀儀屋(いよかぎや) 無濾過 味口本醸造 青ラベル」(成龍酒造 愛媛県西条市)
 味にふくらみがあって、でも、くどくなくてびっくりした。
 これ、森田商店さんにうかがったときに、たまたま賀儀屋さんのかたが本醸造と吟醸を持っていらしていたおかげで両方とも味見させていただいたのです。
 私が純米好きなのをご存じの森田商店の洋子さんが「本醸造もぜひ味見してみてください」とかなりプッシュしてくださったのも当然だよねえと納得しました。両方いただいてみて、常温なら本醸造のほうが好みでした。

 あーしあわせ。

 今日のつまみも、ものすごくかんたん。ショウガをせん切りにしてお醤油に漬けたもの、ネギをきざんでお味噌に混ぜておいたもの、紅大根の塩漬け+オリーブオイル、牛筋煮。
 あーしあわせ。ありがとうございます。


イベントは日常じゃないのよ

2013-11-23 10:16:56 | 本や言葉の紹介

「いじめるな! ――弱い者いじめ社会ニッポン」(香山リカ 辛淑玉 角川書店「角川ONEテーマ21」)からの抜粋、その2です。 

●イベントに頼ってはいけない
辛  イベントのなかでしか手をつなげないと、日常生活でイベントばかりやりたがるの。一時、メンタルな自己啓発セミナーがとても流行ったことがあった。あれに行くと、みんな急に心が分かち合えて、親密な友だちができた気持ちになる。自分がすごく変わったような気になる。そんな、自己啓発セミナーの快感にはまってしまうと、日常、普通のことをしていても刺激が感じられなくなって、どんどんセミナーばかりで生きていくようになる。セミナー中毒、勉強会中毒みたいな状態。そこでの高揚感を求め続けてしまう。日常の生活に全然それを変換できない。
香山 日常を変えるというのは、自分たちで動くこと、自分たちで考えることなんですよ。

 イベントがお祭り騒ぎが日常になっちゃう、いや日常にしてしまうのって、はたから見てると痛々しい。何から目をそらしたいのかなあ。
自分でも薄々わかってるから、さらにイベントにのめり込むんだなあ。


差別の苦労はひとを美しくしない

2013-11-20 16:29:32 | 本や言葉の紹介

「いじめるな! ――弱い者いじめ社会ニッポン」(香山リカ 辛淑玉 角川書店「角川ONEテーマ21」)

 辛淑玉(しん すご)さんの発言を読むと、自分はたくさんのことに気がついていなかったなあといつもガックリくるんだけど、だからこそ知ってよかったと思うのよねえ。
 人材育成コンサルタント・辛淑玉さんと精神科医・香山リカさんの対談というこの本から、3回に分けて抜粋します。

●差別の苦労はひとを美しくしない
辛  差別されたりいじめられたりという環境下で懸命に頑張ってきた子どもって、エネルギーを使い果たして、途中でポキッと折れてしまうことがけっこうあるの。だから、私、「苦労なんか、しなくて済むならしないほうがいい」とよく言うのね。
 苦労すれば報われるとか、苦労したほどいいことがあるなんていうのは、幻想。弱者をたぶらかす権力者のわなだと私は思っている。弱者が美しいものだなんて、まったくのウソだよ。ひどい苦労をしつづけて、人間が美しくなるはずがない。権力とか社会のどうにもならない力のようなものを身をもって知ると、人間はそれに対する強烈な怯えを抱く。いじけちゃうし、簡単に心を開けない。それが普通。
 むしろ、苦労なんか知らないほうが、社会のあり方に素朴に疑問をもつことができて、「こんなのおかしい」と眺めるようなところがあるね。これは正しい、これはおかしいという社会の正義や秩序といったものを信じてきているからね。
香山  子どものころ、ホームルームの時間に、「○○君はいけないと思います」と言えていたような人。
辛  そうだね。ちゃんとぬくぬく育つって、そういうことだと思うのよ。根本的に社会を信じることができている。だから、正義は正義、それを押し通すことのどこがいけないんだ、と向こう見ずに突っ込んでいける。
 だけど、苦労しても報われない事実をいやというほど見て、裏切られたりだまされたりというのをたくさん味わっていたら、人も社会も信じられない。やっぱり生育環境というのは大きく影響する。多くの場合、苦労は人を美しくはしないよ。

 
 うん、「無駄な苦労は金を払っても背負うな」って言葉は本当だなあとしみじみ思う。


紅大根

2013-11-16 21:34:35 | よもやま話

 あら、紅大根と書いてある箱の中に、こんな形のがあった。

 形のおもしろさで買っちゃったけど、どうしたら美味しくできるかなあ。
 
 紅色は皮だけで、中は白。普通の大根より水気が少なくて緻密なので煮るといいかなと思ったけど、そうすると色が飛んじゃいそうなので、とりあえず塩もみに。
 出た水分は灰色っぽいので、これにお酢を入れたら鮮やかな色になるんじゃないかなと思ってちょっぴり入れたら、思った通りきれいなピンク色になりました。
 水気を軽く絞ってお酢を混ぜて一晩おいたら、あらきれい。淡いピンク色が全体を染めています。
 葉っぱは炒めて干しアミを混ぜてみました。ふりかけふうでおいしいよ。
 
 
 今度みつけたら煮てみよう。

 で、御酒は「上喜元(じょうきげん) 純米 出羽燦々(でわさんさん)」(酒田酒造 山形県酒田市)。
 辛口ですっきり。


冬だから

2013-11-13 18:24:50 | よもやま話

ん、「冬 ふゆ! ふーゆー!」って認定。

トイレに通うのが2倍になったんだもーん。
そりゃね、寒いから日本酒をいただいて体を温めるのね。
で、おいしくいただくためにチェイサーとしてお水やお湯をいただくわけさ。
だっから、ジョンジョンですわ。
出てくれてありがたいのう。
が、しかーし、そうなると寝ているときに起きる回数も……。
これだけは、どうにかならんかのう。


「森の防潮堤」阻む、国・自治体の「コンクリート信仰」 

2013-11-07 10:17:50 | 大地震関連

 東日本大震災で津波の被害にあったところで、津波も乗り越えられない巨大な防潮堤を作ることが計画されたけど、「なんかおかしいんだよなあ、なんか変だ」と疑問に思っていました。
 そうしたら11月3日の東京新聞朝刊『「森の防潮堤」阻むコンクリート信仰』という記事を読んで腑に落ちました。

 海と陸はつながり、生きている。それをコンクリートで遮断すると、短期では利益があるかも知れないが、長期で見れば、海も陸も死んでしまうことになる。(「いのちを守る森の防潮堤」推進東北協議会会長で輪王寺住職の日置道隆さん)

 防潮堤ができると、水平線が見えなくなる。
 大事なのは自然の力だ。コンクリートの防潮堤は、森から海に栄養分を運ぶ地下水を遮断し、海を腐らせる。(NPO法人「海べの森をつくろう会」理事長の菅原信治さん)

  うん、そうなんだ。命の循環が断たれてしまうことがなんか変に思えたんだけど、人の生活を守るためには仕方がないのかなあ、ほかにいい方法がないならしょうがないのかなあ、でもなんかおかしいよなあと思っていたんだ。
 でも、“森をつくる”という良い方法があったんだ!

 コンクリート造りの防潮堤の代わりに、海岸沿いに震災がれきを混ぜた盛り土を築き、地元に生息する広葉樹を植えるという「森の防潮堤」構想は、震災直後に植物生態学の宮脇昭・横浜国立大名誉教授が提唱。 
 ・木が生長するまで10~20年かかるけど、できあがった森は津波の水位と速度を落とすから避難する時間を稼げる。
 ・津波が引くときに引き水に飲み込まれても、樹木で食い止めることができる。
 ・広葉樹は根が深くて倒れにくく維持管理にも手間がかからない。
 ・コンクリートは百年ももたないけど、森は孫の代を超えて次の氷河期が来るまで持続できる。
 ・震災がれきの処理にもなる。

 すごいじゃん。宮脇名誉教授が言うとおり“一石五鳥”。
 でも「森の防潮堤」構想は広まっていないんだって。

 国や自治体が「コンクリート信仰」を捨てず、従来のコンクリート造りに邁進しているからだ。震災で破壊された防潮堤はすべて復旧させた上で、新設もする。復旧対象の48%で完成や着工している。(9月末現在)

  とのこと。
  なぜ「森の防潮堤」構想が広まらないのか。

・コンクリートは強度の計算ができて、分かりやすいからだ(首都大学東京・横山勝英准教授 環境水理学)
・地元自治体に理解があっても、国交省は、植樹にカネを出そうとはしない。林野庁は、減災効果が少ないマツを植えようとする(宮脇名誉教授)
・海岸の管轄主体が、場所によって国交省、農林水産省、県、市町村などに分かれていることも一因。

 うーん利権の問題もあるんだろうし。
 目に見える結果がすぐ出るもの以外にお金をかけるのはいやなんだろうか。

 宮脇名誉教授は「まず森づくりを前提にして、足りない部分はコンクリートで補うという考え方に、改めるべきだ」と話している。

 私もそう思う。『「森の防潮堤」構想と宮脇昭理論の生態学上の問題点』などの反対意見もあるけどね。

 「森の防潮堤の提案」(いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会のウェブページ)に詳しく説明されています。

 


八分目でOK、あとの二割は

2013-11-05 13:13:47 | 本や言葉の紹介

 「佐高信対談集 君 今この寂しい夜に目覚めている灯火よ」(七つ森書館)からもう一つ。杉浦日向子さんの発言から抜粋します。


 江戸の人って、無理せず楽に生きていたから、ジタバタせずに死ねたのでは。今は、右上がりを強要されていて、生きること自体、つらい。
 だから死に対して敗北感しかもてない。江戸は下降しなければオッケーだったんです。
 教育や仕事も、江戸では、子どもはオヤジの八分目に達すれば合格という。あとの二割は、オヤジが死んでから、いくらでも上に抜けるからって。今は、子ども時分から、オヤジの上へ行けっていわれるからキツイ。

 うん、きついよねえ、そりゃ。

 うーん、ロングスパンで見てりゃあいいんだよね。それにさ、上、下って誰が決めるんだ。

  あ、「自分と同じぐらいの技量だなと思ったら、自分はその相手よりかなり劣っている。自分のほうが上だと思ったら、ようやく同じぐらいだ」というような言葉をどこかで聞いたことがあるけど、これも本当だなあ。


心中外交で水戸黄門文化

2013-11-04 10:31:31 | 本や言葉の紹介

 「佐高信対談集 君 今この寂しい夜に目覚めている灯火よ」(七つ森書館)から、辛淑玉(シンスゴ)さんとの対談を抜粋します。(適宜改行しています)

辛   弱い男ほど暴力を使うでしょ。今、家庭内暴力ってあるけど、もっと形を変えていくと軍国主義。戦争というのは口できちんと対応できない男たちのなれの果てだと思うんですよ。
 日本国憲法というのは、軍事力を放棄しろということではなく、巧みな外交によって国際社会に啓蒙をはかり、口だけで国を守れといったわけ。でもそれを強いられたのは、沈黙は金だとか、質実剛健だとか、黙っていながら相手を理解するとかいうことが美徳だった戦時中の日本の男。つまり、憲法は変わったけど、憲法を担う人間そのものは変わることができなかった。
佐高 日本人には、追いつめられたら心中するというすごい精神があるじゃない。だから日本の外交というのは、いわば「心中外交」なんだね。共に生きる外交ではない。それを転換するんだというのが憲法だったわけ。
辛  そう。私ね、日本って水戸黄門文化だと思うんですよ。じっとこらえて、ぐっと耐えて、町人のフリして我慢して、えんえんと叩かれていながら8時45分になると印籠出して、バシバシ切って終わりだという。全然コミュニケーションする気のない国ですよ。
佐高  コミュニケーションというのは、部分否定の部分肯定なんですよね。だからここはおかしいと話し合って、ここは違うけどここは一致してるねということでしょう。どころがさっきの「心中外交」が証明しているように、一度盟約を結んだら、相手がどんなことをいおうが、どんなことしようが、全部ついていくんだ。あるいは全部離れる。で、離れたらもうおしまい。それは日本が死を美しいと思う文化だからだな。
辛   死を美化したり、一緒になって死んじゃう文化っていうのは、ただ単に情報のない無知な文化なんですよ。国際社会って、嫌いなヤツでもいざとなれば手を取り合うということでしょう。これが日本人にない。
佐高  好きな人とは、とりたてて外交なんかしなくてもいいわけだよ。むしろ嫌いとか、合わないとか、ちょっと違うなというところから外交って始まるものなんですよ。それがないよね。
辛  ない。だってみんな同じだと思ってるもん。
佐高  話せばわかると
辛  いや、話さなくてもわかると思ってる。日本って霊感師の集団ですよ。みんな黙っていながら相手を理解する。

 共に生きるがための外交がない……。コミュニケーションというのは、部分否定の部分肯定。ちょっと違うなというところから外交は始まるのに……。
 うーん、心中外交で水戸黄門文化って、言い得て妙ですなあ。
 高倉建さんってすてきな俳優さんだけど、今回文化勲章を受章したのって、水戸黄門文化と関係あるなあって思っちゃいました。“耐えて耐えて爆発して滅んでいく役”や“男は黙って……役”をたくさんしてきたもんねえ。


澤姫 特別純米 無濾過生原酒

2013-11-01 21:28:47 | ありがとうございます

 

 うみゃいです。甘みがある旨口だなあ。素直ないい御酒だねえ。好きだなあ。
 水で割ってもしっかりうまいのよね。
 前面のラベルには「栃木県産酒造好適米 五百万石 60%精白米使用 下野(しもつけ)の国で若人(わこうど)が醸したまっすぐな酒」。
 うしろのラベルには「真・地酒宣言」って書いてある。
  「がんばっているすてきなお蔵さんなんですよ」と澤姫・井上清吉商店(栃木県宇都宮市)を教えてくれたのは森田商店の洋子さん。ありがたいありがたい。

 うん、またがむばる。