ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

いろんなできごとを面白がってしまおうと思っています。
日常のあれやこれや記事です。

ピース天火

2007-08-28 16:21:43 | Weblog
 ガス台の上にのせる天火(オーブン)ってご存じですか?
 
 今はキッチンにオーブンが組み込まれているのがふつうなのだと思いますが、20~30年ぐらい昔の庶民にはそんな概念がなかったのですよ。

 でもそのころにもピース天火(てんぴ)という「上乗せ式オーブン」があって、これはとっても使いでがありました。

 私は高校生のとき焼き菓子を作るのが大好きで、このピース天火をガス台に乗せて、クッキーやケーキを週に3日は作ってたっけ。

 将来は、たとえばちっちゃな子が「これちょうだい」なんて言ってガラスの壺に入ったクッキーを指さし、握りしめてた10円玉を数枚渡してくれるような、言うなれば“西洋駄菓子屋さん”をやりたいなあと思ってました。

 おっと、なんでそんなことを思い出したかなのですが、たまたま某デパートに行き、“昔懐かしい味”と銘打った銀座の老舗の「○○ビスケット」を買って食べたことがきっかけでした。もしかしたら、銀座を闊歩したモボ・モガと呼ばれたようなかたがご健在でこれを召し上がったら本当に懐かしい味なのでしょう。でもね、「自分で作ったクッキーを食べたい」と思った。

 ピース天火はだいぶ前に製造されなくなったため、今では手に入りません。欲しいなあ。譲ってあげるというかた、ご連絡いただけたらとっても嬉しいです。

自分のエネルギーを

2007-08-23 16:27:41 | Weblog
 今年の5月以降いろんなことがどっさりと次々とおき、“なんなんだ?!”状態でした。

 それが先日、友人から「大きな転換だね」などと言われ、“いよいよリセット最終章”だったのかと腑に落ちました。

 感じてはいたけど、言葉にするとはっきりしますね。プライベートも仕事も両方とも、やっとあるステップが完了しつつあるようです。しかし、今から振り返ってみると、かなり厳しいお試しを受けてましたね。フウ。こまめにケアしてくれているI・Kちゃん、ほんとに感謝です。

 今の、そしてこれからの当分のテーマは「自分のエネルギーを上手に使う、上手に使っていただく」ではないかと思っています。


 「賢くってつよい人は、優しくって明るい」!

 もっともっと自分を笑える客観性とつよさをもとうと思いました。

「ロハスの思考」

2007-08-07 16:29:35 | 本や言葉の紹介
 このところ立て続けに、環境問題について考える機会がありました。

 私は福岡伸一さんの考え方が好きです。福岡さんについては2006年12月6日にも書きましたが、今日は「ロハスの思考」(木楽舎 ソトコト新書)から抜粋してご紹介します。


 なぜ、私たちは他の生命を奪ってまで食物をとり続けなければならないのだろうか。それは生きるということが、私たち自身の身体を、地球における分子の大循環の中にさらして、環境そのものに参加するということにほかならないからである。そのとき環境は、私たちの体の中を通り抜けていく。環境を考えることは、私たち自身の在り方を考えるということである。

 環境の世紀といわれる今、私たちが再考せねばならないことは何か。
 第一に必要なのは、環境が人間と対峙する操作対象ではなく、むしろ、人間を通り抜けている流れそのものだという視点である。炭素でも窒素でも、地球上に存在する各元素の和は大まかにいって一定であり、それが一定の速度で流れゆく中で作られる緩い“結び目”が、それぞれの生命体である。
 流れはめぐりめぐってまた私たちに戻ってくる。そこで第二に必要となるのは、できるだけ人為的な組み替えや加速を最小限にとどめ、この平衡と流れを乱さないことが本当の意味で環境を考える――すなわち、私たち自身の生命を大切にする――ことにつながるという認識である。

 実は、専門家のいう“科学的な”言説ほど、私たちが自分にぴったりした生き方を見つける上で阻害的に働くものもない。なぜか。単純なことである。完全に中立な専門家などいないからだ。専門家は職業であり、彼らはそのテクノロジーが広まることで糊口をしのいでいる。だから常に彼らはある選択しに関して、リスク対ベネフィットの説明に一定の省略を行い、何らかのインセンティブを設けて、そのテクノロジーを受け入れる方向に誘導する。
 専門家がもし素人に対して、何らかの優位性があるとすれば、そのテクノロジーの“危うさ”に気がついている、ということだ。

 「時間」だ。組み換え作物と品種改良が同じだとする議論には時間の観念が抜け落ちている。長い時間の中で自然はその平衡点を見出す。それを私たちは自然だと感じる。急いで部分を組み換えたものは平衡からはずれ、いずれ自然はそのズレを取り戻すために揺り戻しを行うだろう。だから私たちはそこに不自然を感じるのだ。
 私たちが今、探すべきコトバはおそらく“時間”のように基本的で懐かしいコトバのはずなのだ。なぜなら、それは私たちの五感に、等身大の知覚に基づいたものだから。永い永い地球史のプロセスにおいて、私たちはこの感覚によって安全なものと危険なものを、自然なものと不自然なものを、見分け、嗅ぎわけ、選び取ってきたのだ。それは今もなお少しも変わっていないはずである。

「東京バンドワゴン」

2007-08-05 16:31:55 | 本や言葉の紹介
 笑った!

 「東京バンドワゴン」(小路幸也 集英社)という小説で、60歳の伝説のロッカーが孫に言った言葉。


「家出は若者の特権だねぇ。年取ってからやると失踪者になっちゃうからねぇ、今のうちにどんどんやりなさい」

「ケンカは若者の特権だねぇ。年取ってからやると犯罪になるからねぇ」



 もう、ブヒャーと吹き出して大笑いしてしまいました。
 この本は、日常のささやかなハテナから発生した事件を素敵に解決していく短編集。読了後のさわやかさ、好きです。

「自閉っ子、こういう風にできてます!」

2007-08-04 16:35:04 | 本や言葉の紹介
 びっくりしました、「自閉っ子、こういう風にできてます!」(ニキ・リンコ 藤家寛子 花風社)。

 ニキ・リンコさんと藤家寛子さんは、おとなになってからアスペルガー症候群(知的面、言語面での遅れを伴わない自閉スペクトラム)であることがわかり、自分の体験を語ってくれている貴重な存在です。この二人に、定型発達(いわゆる健常者のこと)の編集者で花風社代表取締役である浅見淳子さんが加わった対談集がこの本。

 アスペルガー症候群の人は、定型発達者にはまず理解できない感覚を持っているということがよくわかりました。


藤家 雨は痛いじゃないですか。当たると。傘さしていても、はみ出た部分に雨が当たると一つの毛穴に針が何本も刺さるように痛くありません?
浅見 痛くありません。
ニキ 痛くない。
藤家 えっ!? みなさんは雨が痛くないんですか?
ニキ 私は雨は痛くないですよ。でも扇風機の風が痛いです。
浅見 はぁ?
ニキ それも、どうやら毛穴の問題らしいんです。この年(三十代後半)になって、先日初めて母に「扇風機の風が痛い」っていったら「変わってるね」って言われました。それで、なんだみんな痛くないのか、と。
浅見 毛穴に感覚過敏があるっていうことなんでしょうか?
藤家 それ、絶対にあると思います。だから、髪を切るとかも、「神経ないんだから、痛くないって」と言われても、毛穴から出てんだから、切るときに触られると痛いんだよっっ(怒)とか、爪も、普通の人だったらまだ切らない長さで、切ります長くなってくると、パツンってやるときに、指に負担が大きいので。でもこんなとき「痛い」とか言うのを、信じてもらえませんでした。痛い理由がわからなかったので、だから、日常生活でかなり泣きっぱなしだったと思います。
浅見 痛みの個性はそれぞれですが、私たち定型発達の人間には想像がつかない痛覚を抱えていることはよくわかりました。自閉スペクトラムのお子さんの療育に携わる方たちには、
・「想像できない場面で痛みを感じているかもしれない」
・「しかもその痛みの感じ方にはそれぞれ個性がある」
と覚えておいてほしいですね。


ニキ マニュアル作業がとにかく多いんですよ。
浅見 そうみたいですね。ニキさんが主宰していらっしゃる「自閉連邦在地球領事館付属図書館」(http://homepage3.nifty.com/unifedaut/)の日記によく「嚥下」の問題を書いているじゃないですか。ときどきつばの飲みこみかたを忘れる、とか。
ニキ 思い出せなくなることがあります。あと寝てるときに誤嚥して、そうすると熱が出たりします。
こういうことがオートマティックにできることのほうが不思議です。


ニキ 不思議なほど知られていないです。自閉者につきまとう身体機能の不具合については。
藤家 私も講演に歩いてみて、自閉のお子さんを持つお母さんや養護学校の先生など、「知っているだろう」と思いこんでいた方たちが精神面とか社会面ばかりに気をとられて、身体機能のことをあまり認識していないので驚きました。
浅見 でも、すべてマニュアル操作だとしたら、人生大変ですよね。
ニキ 自閉はうつとか引きこもりと混同されることが多いのですが、それに私自身、「心の病気」じゃなくて「先天的な脳のつくりの違い」だっていうことの啓蒙には尽力したいと思ってかとどう続けてるわけですが、その私がやっぱりうつや引きこもりを経験しているんです。
浅見 身体機能から発している問題は多いということですね。でもご本人たちが苦しんでいるのに、どうしてこれまで身体機能の問題があまり注目されてこなかったんでしょうか。
ニキ 定型発達の人には想像しにくいというのがひとつ。それに私たちもこの身体がふつうだと思っていたので、定型発達の人たちがそれほど楽をしているとは想像していませんでした。



 とにかくびっくりしました。想像しにくいことが山盛りの本でした。