ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

いろんなできごとを面白がってしまおうと思っています。
日常のあれやこれや記事です。

京大の小出助教「原子力は危険」と最終講演 

2015-02-28 12:49:22 | 原発

  今朝の東京新聞記事から抜粋します。

●「原子力は徹底的に危険で差別的」 小出助教 最後の講演

 京都大原子炉実験所(大阪府)の小出裕章助教(65)は3月の定年退職を前にした27日、公開勉強会で最後の講演をした。
 「原子力は徹底的に危険で差別的。事故が起きれば古里を追われる」と話し、あらためて原発の危険性を訴えた。

 事故により原発に絶対的な安全はあり得ないと明らかになったのに、国は安全性を確認したとして再稼働を進めようとしていると批判。
 「巧妙なすり替えだ。福島の事故はまだ終わっていない」

 国や電力会社が原発の利点を宣伝し、多くの人がそれを無批判に信じてきたとして「いいかげんに夢からさめなければならない。大人はみな事故になにがしかの責任がある。『だまされた』ではすまない」と指摘した。


キラキラの生け垣

2015-02-27 10:10:49 | うれしい

 このところ朝の散歩が少し遅い時間になっています。7時すぎてからお出かけ。
 そのおかげで、今朝はすばらしい光景を見ることができました。
 生け垣がキラキラ輝いてたの。
 たぶんカイズカイブキだろう葉っぱにたくさんのしずく、そこにお日様の光があたってまるでダイヤモンドを振りかけたようにキラキラしていたんです。
 昨夜の雨が葉に残ったこと、散歩の時間がお日様が出てからになり、その時間にちょうど良い角度でしずくに陽光があたったこと。そのおかげでステキなものに出合えたんですねえ。感謝。
 しばらく見とれていたんだけど、道行く人たちにちょっといぶかしげに見られちゃった。
 ヨレヨレの犬がゆらゆらふらふらしてて、その引き綱の先にマスクとめがねと帽子とロングコートのあやしげな姿がボケーと突っ立ってるんだもんねえ。ぼけたおばさんがぼけた犬と徘徊してる……。 そう思われても当然でありましたな。タハハ。
 今日もありがとう。


どこが、なにが、アンダーコントロールだ

2015-02-26 11:15:34 | 原発

 東京電力福島第一原発の排水溝から高濃度の汚染水が外洋に漏出し、現在も外洋への汚染が続いていることが明らかになったけど、東電、原子力規制委員会、政府のあまりのお粗末さに「どこまでなめられてんだ、日本国民は」とまたもやガックリ。
 今朝の東京新聞1面の記事をまとめてみました。

●汚染水漏れ1年以上前報告 規制委、対策指示せず
 東電は13年11月ごろ、排水溝を流れる水に含まれる放射性セシウムなどの濃度が高いことを原子力規制委員会に報告。
 規制委は14年2月には「15年3月末までに濃度基準を下回るように」と文書で求めたが、東電は「検討中」「データの整理中」などの答えを繰り返し、改修案はうやむやになった。

 その一方、東電は14年4月から1週間に1回、排水溝の流量や放射性物質の濃度などの測定を開始。日常的に汚染された水が流れ、雨になると濃度が急上昇する状況を明確につかんでいた。

 しかし規制委は、東電がどんな対策を練っているのか積極的に把握しようとせず、今月24日に東電が高濃度汚染水の漏出のデータを報告するまで明確に状況を把握できていなかった。
 田中俊一委員長は25日の記者会見で「排水溝は雨水などがあり、コントロールできない。放置していたわけではなく、会合で議論していた。(規制委に)責任問題はまったくない」と述べた。

◆政府なお「状況コントロール」
 政府は遅くても2013年11月以降、継続的な汚染水漏れを把握しながら、外洋への影響を否定してきた。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は25日の記者会見で「港湾外の海水の濃度は法令告示濃度に比べ十分に低い。汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている」と述べた。
 安倍晋三首相は汚染水漏れが続いていた14年10月の参院本会議で、2013年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会での「アンダーコントロール(管理されている)」との発言の撤回を求められた際も、「全体として状況はコントロールされている」と繰り返した。

 てやんでぃ、アンダーコントロールだと?福島原発事故は管理なんかされてないじゃんけ。
 東電は隠し、原子力規制委員会は見ぬふり&コントロールできないと言い、政府はコントロールされているとうそをついている。
 そんでもって、だーれも責任はとりまっせん。

 今日の東京新聞社説では「すべての情報を公開せよ」と言ってる。すべてを公開すれば解決するわけじゃないけど、まずは明らかにしないと対策も立てられないじゃんか。
 社説から抜粋します。

●汚染水が海へ 全ての情報を公開せよ
 まだ懲りていないのか。東京電力は、福島第一原発の汚染水が外海に流出し続けていたのを放置し、公表もしなかった。原子力につきまとう隠蔽(いんぺい)体質を改善しないと、事故処理も進まないだろう。

 安倍晋三首相は言った。
 汚染水は「全体としてコントロールされ、影響はブロックされている」と。

 ところが、高濃度の放射能汚染水が原発構内から外洋に漏れ続けていたことが、明らかになった。
 2号機の建屋の屋上にたまったものが雨で流され、排水溝から外に出た。雨が降るたびに放射性セシウムやストロンチウムの濃度が高くなっていた。
 問題なのは、東電がこのことを13年11月には知っていながら公表せず、応急措置も施していないことである。

 住民の健康や漁業者の生活に直結する重大な情報こそ、コントロール(操作)され、ブロック(遮断)されていたのである。

 情報を表に出したがらないムラ社会の体質が、福島の事故につながったという指摘も多い。これだけの惨事を起こしていながら、変われないのはなぜなのか。生命や安全を軽視し続けるのはなぜなのか。

 電力会社に不利な事実やデータをも洗いざらい公開する姿勢がないと、不信はぬぐえない。国民の不安は募る。誠意がなければ理解は得られまい。

 首相は汚染水の監視とデータの解析、公表を、命じられないのだろうか。コントロールとブロックを約束したのだから。

 

 あーあ、安倍首相は「国民をアンダーコントロールしてるからこのままで大丈夫」とでも思ってるんだろうと……。


猫の血糖値、安定しててうれしいが

2015-02-22 10:03:36 | 犬猫

 幸太君の月に一度の血糖値検査、「こわいぐらい良い状態です」ですと。
 ンとね、うれしいんだけどねー、もうちょっと表現のしようがあるような気がしちゃったわね。「こわいぐらい」なんて言われちゃったら次に何かおこるんじゃないかって思ったりして。
 そういえば「医者だって客商売なのに」って怒ってた人がいたなあ。

 それはさておき、このところ気になるのは痙攣(けいれん)の発作。先月と今月1回ずつ起きてしまい、痙攣の時間が数分続くようになったら、もしくは3か月以内に起きたら検査するということに。それまではようす見です。無事でいてほしい。

 安倍首相はどんどんと「戦争したいぞ、できるように憲法でも何でも変えていって国民からの縛りを断ち切り、世界中の紛争や戦争に首をつっんで、武器製造・輸出で儲けて、俺らのやりたい放題ができる“美しい日本”をつくるぞ」ってすすめてる。
 あたしゃイヤだね。第二次世界大戦のときのようになるのはイヤだ。
 防寒用の毛皮と食料用の肉を得るために飼い犬の供出をさせられるようになるのはイヤだ。
  動物を飼ってると「この非常時に食糧不足のときになんてことだ、非国民」とギャンギャンいわれるような状態になるのはイヤだ。
 
 あ、その前に原発でテロでも起きたら、原爆でも落とされたら、日本壊滅でパーか。そんなことになったら“政府要人”なんかは「日本を救うためには安全なところから指揮をする必要がある」なんて言っちゃって高飛びしてるんだろうなあ。
 
 私は平和と安全を支持するよ。


犬用の給水器、グーッド!

2015-02-11 09:51:16 | 犬猫

 ハルトはほとんど目が見えないため、水入れを床に置くと足を突っ込んだりひっくり返したりしちゃう。
 口が水面に届くように床より高い位置になるようにしたら、壁と水入れの接点に頭を突っ込んで動けなくなって吠えまくる。ふつうならあり得ないけど、認知症なので予想外のことをするのよ。いろいろ工夫してみたのだけどダメ。
 今、柵をたくさんつないで3畳ぐらいの円形にして、ぶつかっても大丈夫なようにクッションになるふとんなどを取りつけたところをハルトの居場所にしています。なので、柵に取りつけられるような給水器があればいいなと思って調べてみたところ、「リッチェル ペット用 ウォーターディッシュ」というのを見つけました。
 柵に取りつければ足を突っ込むことはないだろうけど、ぶつかって水をこぼしたり壊したりするかもしれないし、そこで水を飲めることがわからないかもしれない。でもとにかくやってみようと思い、近所でペット用品を取り扱っているところを探したら、3件目で見つかりました! Mサイズはピンクだけだったので、それを購入。



  お皿型で、取りつける高さを自由に調節できます。
 市販の500mlペットボトルで給水し、飲んだぶんだけ水がたされます。 飲んだ量がわかりやすいのもありがたい。
  取りつけ位置をなんどか変えてみてハルトを数回誘導したら、何となくわかったみたい。
  昨日取りつけてまだ1日しかたっていないけど、今のところ問題なし。私にとっては最近まれに見るヒットでした。 
 ラッキー! ありがとう


「非軍事の徹底こそ、日本独自の国際平和協力」と

2015-02-06 09:44:18 | まじめな話

 今回の日本人人質事件についての政府の対応などが、今日の東京新聞「こちら特報部」に書かれていました。その中の「今後の国際貢献 どうあるべきか」から抜粋します。

 最悪の結果を迎えた直後、安倍首相は「罪を償わせる」との談話を発表。海外メディアは「報復」宣言と受け取った。
 今回の結果が小泉純一郎政権時代のイラクへの自衛隊派遣、そして安倍首相の「積極的平和主義」宣言の帰結と指摘する有識者は少なくない。
 紛争地域で活動する「日本国際ボランティアセンター(JVC)]の長谷部貴俊事務局長は05年から7年間、アフガニスタンで活動した。
 自らの経験から、長谷部さんはこう断言する。「非軍事の徹底こそ、日本独自の国際平和協力。私たちも防弾車や銃は使わず、非武装で現地に溶け込むよう努力している。紛争地で武力を使わなかったから救われた命がたくさんある。武器を持たないことが信頼を生み、安全を保証してきた」


 武力で解決しようとするのは永遠の負のサイクルをつくり出してしまうことだよねえ。「報復」が「報復」を生み、それがつながっていく。
 知力で、理性で解決する力が人間にはあると思うのだけれど。


「イスラム国」にどう対応するか 識者の意見2/2

2015-02-05 10:54:15 | 本や言葉の紹介

●鎌田実・医師・中東の難民を支援するNPO法人「JIM-NET」代表
 金銭的困窮の中で働き場もなく、勉強する機会もないと安易に原理主義に走り、いつしか過激派の兵士になってしまう。負の循環を断ち切る生活支援や教育支援が必要だ。

●孫崎亨・元外務相国際情報局長
 紛争の根底には貧困がある。貧困の解消に向かわせるような人道支援は地域の安定に不可欠だ。日本が果たすべき役割はそこにある。

 今回の人質事件は、難民向けの人道支援の表明が端緒になってしまった。本来なら、人道支援のあり方自体がもっと議論されなければいけないはずだが、国会もマスコミも「人質救出のために国が一丸になるべきだ」として政府の対応を見守るだけ。最悪の結果を迎えた今も、何が問題だったのか検証する動きが出てきていない。

●野中章弘・早稲田大学教授・アジアプレス代表
 そもそもアラブ社会が日本をどう見ているかという視点も大切。いくら人道支援といっても、「イスラム国」からは日本と米国は一体化しているとみなされている。現地の感覚を軽視したまま、欧米と共同歩調をとるかぎり、効果的な人道支援になり得ない。


「イスラム国」にどう対応するか 識者の意見1/2

2015-02-05 10:52:13 | 本や言葉の紹介

 昨日(2月4日)の東京新聞「こちら特報部」紙面に、「テロとの戦いで解決せず 負の連鎖断つ人道支援を」という記事がありました。そこからいろいろなかたの発言を抜粋します。

●黒木英充・東京外国語大教授(中東地域研究)
 軍事行動は根本的な解決にはならない。「イスラム国」側の主張に大儀を与えることになり、人材(兵士)のリクルートも容易になる。

 安倍首相がイスラエルでネタニヤフ首相と並んでテロとの戦いに取り組む姿勢を発表したのは、発言のタイミングや影響を考えていなかった。日本が米国追随とみられた原因の一つだろう。今後は、欧米と一体化しているとみられる行動も慎むべきだ。

 「イスラム国」に対し、感情的な敵対心の表明をしても何もならない。「イスラム国」を経済封鎖で包囲し、孤立させることも必要だ。「イスラム国」には、トルコとの国境を越えて金や物が渡っている。この国境を厳しく監視するよう、トルコに働き掛けるべきだろう。

●臼杵陽(うすきあきら)・日本女子大教授(中東現代史)
 「テロとの戦い」は、結局、際限がなくなってしまう。「テロとの戦い」という言葉を振りかざすこと自体も、中東の住民を一方的にテロリスト呼ばわりすることになり、相互理解を妨げる危険性をはらんでいる。

 軍事力だけに頼れば、イラク戦争と同じく不安定要素をうみ出すことになる。
  中東の人々には、欧米の介入を嫌う傾向が強い。中東諸国の政治的な尊厳を保つため、中東の問題を中東内で解決するための構図をつくることが必要だ。日本としても、エジプトやサウジアラビアと連携することで、中長期的な側面支援を果たすことができるだろう。


ワイツゼッカーさんの「荒れ野の40年」演説から

2015-02-04 10:07:05 | 本や言葉の紹介


 前々回の2月1日に、統一ドイツの初代大統領となったワイツゼッカーさんの言葉を紹介したけど、今日の東京新聞に「荒れ野の40年」演説として知られる戦後40年を節目とする連邦議会での演説の要旨が掲載されました。
 最後のところを抜粋します。

 人間は何をしかねないのか、われわれは自らの歴史から学ぶ。だからわれわれはこれまでとは異なる、よりよい人間になったなどとうぬぼれてはならない。
 究極的な道徳の完成などあり得ない。われわれは人間が危険にさらされていることを学んだ。しかしその危険を繰り返し克服する力も備えている。
 ヒトラーは常に偏見と敵意、憎悪をかき立てるように努めていた。 
 若い人たちにお願いしたい。他人への敵意や憎悪に駆り立てられてはならない。対立ではなく、互いに手をとり合って生きていくことを学んでほしい。自由を重んじよう。平和のために力を尽くそう。正義を自らの支えとしよう。


 そして同じく今日の東京新聞「こちら特報部」欄の「テロとの戦いで解決せず 負の連鎖断つ人道支援を」記事の「デスクメモ」を全文紹介します。

 安倍首相は、日本人人質事件に絡み、ついに九条改憲に言及した。有志国連合による空爆などの後方支援についても憲法違反には当たらないと明言した。テロの脅威にかこつけ、今なら国民の反発は少ないと踏んだのだろうか。火事場泥棒のような言動だ。後藤さんが望んでいた方向と逆を向いている。


 安倍首相、あなたにワイツゼッカーさんの言葉を贈ります。
 他人への敵意や憎悪に駆り立てられてはならないし、ほかの人のそういう思いを駆り立てることもしてはならないんだよ。

 憲法改悪に反対。戦争に駆り立てる安倍首相、安倍政権に反対。


戦争ができる国にするために利用するな 

2015-02-03 10:45:32 | まじめな話

 安倍首相は、ジャーナリスト後藤健二さんの“処刑”を、日本が戦争できる国にするきっかけの一つに利用しようとしていると思ってるんだけど、今日の東京新聞「本音のコラム」でルポライター鎌田慧さんが発言してた。抜粋します。

●本気だったのか
 後藤健二さんの生死は、政治に翻弄され、悲しみと不信感だけが残った。
 この間、安倍首相の発言は矛盾だらけだった。

 後藤さんが亡くなった後の言葉は「国民の命、安全を守ることは政府の責任であり、その最高責任者は私」だった。「人命第一」「早期解放」を目指しながら、人命の命と安全を守れなかったのはなぜか。「最高責任者」を気取る割りにはその自責がない。「テロとの戦い」。空疎な大言壮語。
 こころあるひとたちが悲しみ沈んでいる間に、自衛隊による「邦人救出」「積極的平和主義」をもちだす。死者の前で売れ残り商品を売りつける。火事場泥棒のように、品がない。
 
 平和を願っていたジャーナリストが自衛隊の海外派遣の露払いにされるのでは、死んでも死にきれない。


 なんかねー、日本国民の怒りに火をつけて「復讐」「テロつぶし」をあおり立て、自衛隊の海外派兵や平和憲法改悪を当然のものとするためにあえて見殺しにしたんじゃないかと邪推しちゃう。“あえて”じゃなくて、国際情勢を判断する能力も交渉力もつながりもなくての結果だとしたら、日本の先行きはさらにとっても危ないよね。
 だってね、安倍首相は記者会見のときに日の丸とイスラエルの国旗を並べていたそうな。これについて、鎌田さんは次のように言っている。

 アメリカが「イスラム国壊滅作戦」を声高に主張しているときに、アメリカと有志連合を組む、イスラエルとの仲を誇示する。無神経にすぎる。


 “イスラム国よもっと日本を憎め、たくさんテロを仕掛けてこい、そうすればするほど「やっちまえ、戦争だ」の声が高まるから都合がいいのさ” って声が聞こえてくる……。

 その反面、インターネットの交流サイトなどでは、処刑された残虐な映像ではなく、戦禍に苦しむ子どもたちを救うため取材してきた後藤さんの姿を広める動きが広まっているそうです。以下も東京新聞の記事なんだけど。 


 英国人ジャーナリストのジェームス・ロングマンさんは、後藤さんを殺害したとされる映像が流れた直後の一日早朝、ツイッターに、シリア北部アレッポで取材中、子どもの横で優しい笑顔を見せる後藤さんの画像を添付して投稿した。
 ロングマンさんは「あの映像を共有するな。彼らのゲームに乗るのではなく、仕事をしている後藤さんの画像を共有しよう」と書き込み、二日午前の時点で約一万四千人のツイッター利用者がリツイート(転載)する反響があった。
 これに呼応して、各国の利用者から「後藤さんのこのような姿こそ記憶されるべきだ」と、画像を広める投稿が相次いだ。


 私はこっちの動きを支持するよ。戦争はダメ。


国民国家が「過去を引き受ける」ということについて ワイツゼッカー元大統領と内田樹さんの言葉

2015-02-01 11:24:07 | 本や言葉の紹介

 今朝の東京新聞1面コラム「筆洗」から抜粋します。

 ユダヤ人虐殺などドイツの過去に目を背け、沈黙することを批判したワイツゼッカー元大統領が三十一日、亡くなった。九十四歳
▼有名な八五年五月の連邦議会でのドイツ敗戦四十年の演説。最も迫力を感じる部分は、「老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません」(『荒れ野の40年』岩波ブックレット)である。それを引き受けるために戦争を知らぬ世代も含めて「老幼たがいに助け合おう」と訴えた
▼自分の世代は関係ないでは「あとにつづくもの」にはなれまい。同じ失敗にもつながる危険がある。この国も同じだ。歴史や日本人ということに引け目を感じることなどないが、元大統領の言った通り「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目」になる


 ドイツ敗戦四十年の演説での、「過去に目を閉ざす者は現在に対しても盲目となる」との言葉も有名だそうです。
 また、1995年夏、ドイツと日本の戦後50年を考える東京新聞の記念講演に招かれたときの演説では、「『和解』や『許し』の言葉は被害者の立場から出てくることが大切」という言葉もありました。

 ちょうど今『街場の戦争論』(内田樹 ミシマ社)を読みかけていて、「うん、そうか」と思ったところとシンクロしているなあと思い出してその部分を読み返してみたら、ワイツゼッカー元大統領のことでもあるみたいでした。ちょっと長くなりますが抜粋します。


 先日ある雑誌の取材で、「韓国に対する謝罪をいつまで続ければいいのですか?」という質問を受けましたので、「相手が『もういい』というまで」と答えました。実際にドイツの大統領はそうしています。かつての占領国に行くたびに、ドイツ大統領は第二次世界対戦の戦死者の墓地に詣でて献花をして、ドイツ国民を代表してナチスの所業についての謝罪をしています。
 ほとんどそれが大統領の主務であるかのように。
 戦争が終わって70年たっても、この謝罪の儀礼は終わらない。戦争に負けるというのは「そういうこと」です。
 自民党のある政治家が、戦争をしたのは私たちではなく先行世代である。彼らの罪について私は謝る義務がないと言い放ったことがありました。この政治家はたぶん国民国家を「株式会社のようなもの」だと思っていたのでしょう。株式会社なら、政策判断を誤っても、倒産すれば、それで終わりです。倒産すれば登記上消滅する。
 事業の過程でどれほどの損害を与えていたとしても、社員(株主のことです)には出資額を超える責任は認められない。それが「有限責任」といくことです。
 でも、国民国家は株式会社ではありません。隣国との間に確執があった場合、そこには「目には目を、歯には歯を」という同罪刑法の原理が適用される。もちろん現代社会ではそのまま適用されるわけではありません。賠償や謝罪に置き換えられます。けれどもそれは「目には目を、歯には歯を」という苛烈な原理の適用を寛大にも手控えているからです。原理そのものは依然として有効なのです。
 どの程度まで手控えるかは報復する側の善意と自由裁量に委ねられている。そういう理屈です。国民国家の過失については事実上の「無限責任」が問われている。

 そんな世界で「自分の親や祖父母たちの世代がしたことだから、私には責任がない」というような泣き言が通るわけがない。


 やっぱり戦争はしちゃいけないのよ。
 こんなことを言うと、「勝てる戦争ならいいんじゃないの」と言われるかもしれない。でもさ、勝てる戦争ってあるんかいな? 勝ち戦の裏には恨みや憎しみや呪詛なんかがべったり張りついている。勝ち戦は次の戦いを引き起こす種になる。それを「勝ち」と言えるんだろうかねえ。
 戦争はいやだ。