犬養道子さんというかたをご存じでしょうか。1921年生まれで、五・一五事件の時に殺された犬養毅総理大臣のお孫さんです。私がまだ高校生ぐらいの時に犬養道子さんの著書「花々と星々と」を読み、すごい人がいるものだと思い、その後、折に触れて著書に親しんできました。
犬養さんは賢さも考える力もあるうえに学ぶ努力をし続け、感情や感覚も大切にして、人間が生きることについてを深く考え、いろいろな経験を重ねてきました。そして自分にできることは何かと考え、実践しています。私にとっては、一つの理想的な生き方を創りあげた人と思えるかたです。犬養さんのどの著書を読んでいても涙が出てきてしまうことが多いため、家以外では読まないようにしています。自分のふがいなさへの涙が多いでしょうか。
今おすすめしたいのが次の3冊です。
●「個人と国と国際と」(犬養道子 岩波ブックレットNO.164)
たった62ページの中に、タイトル通りのテーマに沿って、なんと豊かなものがあふれていることか。一部分でも紹介したいと思ったのですが、まず、「ペルソナ」という日本語には翻訳しきれない言葉について理解することが基礎になり、その上に立って話が進められているため、部分的引用は誤解される可能性があること、また、どの部分もすべて紹介したくなってしまうということで、あえて文章の紹介はしません。ぜひ、お読みください。人間という存在、自由とは、マナーとは、モラルとは、人間と国家の関係などなど、いろいろなことを考えるきっかけとなってくれると思います。むずかしくないです。
●「あなたに今できること」(犬養道子 中央公論新社)
福祉・介護を存在理由とも目標とも定め、敷地内に特別養護施設をあわせもつ聖カタリナ女子大学での講義記録です。生きて自分の役割を果たすことはどういうことなのかを語ってくれます。
●「心の座標軸」(犬養道子 婦人之友社)
今年4月に出版されました。クリアで熱い文章は相変わらずなのが嬉しく、いつまでもお元気でいていただきたいと深く思いました。
総理大臣が憲法改正を声高に言っている今、特に読んでいただきたいのが、184ページから193ページです。私は憲法改正には反対で、特に「戦争の放棄」「戦力の不保持」「交戦権の否認」の3つの要素から構成される9条の改正はしてはならないものだと思っています。侵略されないために武力をという声は高いけど、「武力ではなくすぐれた外交を」が私の考えでした。犬養さんはそこのところをもっと深く語ってくれています。日本だけでなく世界中の政治家や外交官、学者たちとも親交が深く、難民の状態を知り抜いている犬養さんの言葉はけっして机上の案ではないのです。
犬養さんは「犬養基金」をもうけて難民援助をおこなっています。ホームページや著書をご覧になって、活動に賛成できると思われたかたは、ぜひご協力なさってください。
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犬養道子基金ホームページ http://www.inukai-kikin.jp
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口座名 犬養基金代表 犬養道子